(TV)ジム・ヘンソンのストーリーテラー THE STORYTELLER
(TV)ジム・ヘンソンの新ストーリーテラー/ギリシャ神話 THE STORYTELLER: GREEK MYTHS

作曲:レイチェル・ポートマン
Composed by RACHEL PORTMAN

指揮:デヴィッド・スネル
Conducted by DAVID SNELL

(米Varese Sarabande / VLE-9225)

 ★TOWER.JPで購入


「ショコラ」(2000)「オリバー・ツイスト」(2005)「イルマーレ」(2006)「わたしを離さないで」(2010)「僕のワンダフル・ライフ」(2016)等のイギリスの作曲家レイチェル・ポートマン(1960〜)による「(TV)ジム・ヘンソンのストーリーテラー(THE STORYTELLER)」のスコアをCD3枚組で初リリースしたボックスセット。1、2枚目に第1シーズンの全9話のスコア、3枚目に第2シーズン「(TV)ジム・ヘンソンの新ストーリーテラー/ギリシャ神話(THE STORYTELLER: GREEK MYTHS)」の全4話のスコアを収録。

「(TV)ジム・ヘンソンのストーリーテラー(THE STORYTELLER)」は、1987年製作のイギリスのテレビシリーズ(25分×9話)。「(TV)セサミ・ストリート」等のマペット・クリエーターとして知られ、「(未公開)マペットの大冒険/宝石泥棒をつかまえろ!」(1981)「ダーククリスタル」(1982)「ラビリンス/魔王の迷宮」(1986)等の監督作があるジム・ヘンソン(1936〜1990)が、ヨーロッパ各地に伝わる民話を独自のキャラクターを使って映像化したシリーズ。監督はジム・ヘンソン「ミュータント・タートルズ」(1990)「コーンヘッズ」(1993)「ピノキオ」(1996)「(TV)エクスカリバー 聖剣伝説」(1998)「(TV)トレジャー・アイランド」(2012)等のスティーヴ・バロン(1956〜)、「ジャック・サマースビー」(1993)「コピーキャット」(1995)「エントラップメント」(1999)「ザ・コア」(2003)等のジョン・アミエル(1948〜)、「(TV)スキャンダラス・マーダー/殺意の報復」(1990)「(TV)バーナビー警部」(1997〜2011)「(TV)アルケミスト/背徳の遺伝子操作」(1999)等のピーター・スミス「ハンドフル・オブ・ダスト」(1988)「(TV)ガリバー/小人の国・大人の国」(1996)「フェアリーテイル」(1997)「名犬ラッシー」(2005)等のチャールズ・スターリッジ(1951〜)、「(TV)ミスター・ビーン」(1989〜1995)「シティ・スリッカーズ2/黄金伝説を追え」(1994)「ロザンナのために」(1997)「近距離恋愛」(2008)等のポール・ウェイランド(1953〜)が各話を担当。出演はジョン・ハート、ブライアン・ヘンソン、エリック・リチャード、マギー・ウィルキンソン、リース・ディンズデイル、ウィリー・ロス、フレデリック・ウォーダー、ガブリエル・アンウォー、ブライアン・プリングル、ジョン・キャヴァナー、スティーヴン・マッキントッシュ、ボブ・ペック、ジェーン・ホロックス、ショーン・ビーン、ミランダ・リチャードソン、ジョエリー・リチャードソン、ジョナサン・プライス、アリソン・ドゥーディ、ジェームズ・ウィルビー、ジェフリー・ベイルドン他。脚本は「最高の恋人」(1993)「イングリッシュ・ペイシェント」(1996)「リプリー」(1999)「コールド マウンテン」(2003)「こわれゆく世界の中で」(2006)等を監督したアンソニー・ミンゲラ(1954〜2008)が全話を執筆。撮影はジョン・フェンナー。ジョン・ハート演じるストーリーテラーが、暖炉の前で言葉を話せる犬(ブライアン・ヘンソン)に語って聞かせる昔話という形式で各話が展開する。1987年度プライムタイム・エミー賞の児童番組賞(「ハリネズミのハンス」)と、1989年度英国アカデミー賞の最優秀児童番組賞、衣装デザイン賞を受賞している。

レイチェル・ポートマンのスコアは、CD1枚目冒頭の「Main Title (Extended Version)」がダークでメランコリックかつミステリアスなタッチのメインタイトルで、「The Luck Child」と同じ主題を使用。これ以降は、各話のスコアが2パートの組曲になっている。

「ハリネズミのハンス(HANS MY HEDGEHOG)」「Hans My Hedgehog (Suite A)」は、リリカルなフルートとソプラノサックスをフィーチャーした静かにドラマティックな曲。「Hans My Hedgehog (Suite B)」は、軽快なフィドルをフィーチャーしたリリカルでドラマティックな曲。
「最後の一話(A STORY SHORT)」「A Story Short (Suite A)」「A Story Short (Suite B)」は、バスクラリネットとチェレスタをフィーチャーしたダークでドラマティックかつ躍動的な曲で、エンドタイトルの主題がベースになっている。
「恐怖を知らなかった少年(FEARNOT)」「Fearnot (Suite A)」「Fearnot (Suite B)」は、ミステリアスなタッチのオンドマルトノをフィーチャーしたダークでドラマティックな曲。
「幸運の持ち主(THE LUCK CHILD)」「The Luck Child (Suite A)」は、ダークなタッチのコントラバスーンとリリカルなエスニックフルートをフィーチャーした曲。「The Luck Child (Suite B)」は、躍動的でダークなサスペンス調の曲。
「心のない巨人(THE HEARTLESS GIANT)」「The Heartless Giant (Suite A)」は、トロンボーンによるダークで重厚なタッチからリリカルな主題、メランコリックな主題、ダークなサスペンス音楽へと展開。「The Heartless Giant (Suite B)」は、躍動的な主題、静かなサスペンス音楽、ダークでドラマティックな主題と展開。
「End Title」は、バスクラリネットをフィーチャーした躍動的でミステリアスなタッチのエンドタイトル。

CD2枚目の冒頭「Main Title with Narration (featuring John Hurt)」は、ジョン・ハートの名調子によるナレーションを加えたメインタイトル。

「兵士と死神(THE SOLDIER AND DEATH)」「The Soldier and Death (Suite A)」は、リリカルかつメランコリックな曲で、バスフルートが“死”を、オーボエが“悲しみ”を表現。「The Soldier and Death (Suite B)」は、バスフルートによるメランコリックな主題からジェントルでドラマティックな主題へと展開。
「本当の花嫁(THE TRUE BRIDE)」「The True Bride (Suite A)」は、ジェントルかつダークな曲で、フレンチホルンが大らかなライオンの主題を奏でる。「The True Bride (Suite B)」は、メランコリックでドラマティックな曲で、チェレスタがリリカルな宝石の主題を奏でる。
「三羽のカラス(THE THREE RAVENS)」「The Three Ravens (Suite A)」は、コーラングレ(イングリッシュホルン)によるダークな主題、チェレスタとフルートによるメランコリックな主題、ダークなサスペンス音楽へと展開。「The Three Ravens (Suite B)」は、ドラマティックな主題、サスペンス調、メランコリックな主題と展開する曲。
「運命の指輪(SAPSORROW)」「Sapsorrow (Suite A)」は、ソプラノサックスによるメランコリックな主題、ピアノとフルートによるドラマティックと展開。「Sapsorrow (Suite B)」は、ジェントルな舞踏音楽、ピアノによるロマンティックなワルツ、フルートとピアノによるジェントルでリリカルな主題へと展開する曲。
「Main Title (Short Version)」は、メインタイトルのショート・バージョン。最後に未使用のつなぎ音楽2曲「Unused Bumper A」「Unused Bumper B」を収録。

「(TV)ジム・ヘンソンの新ストーリーテラー/ギリシャ神話(THE STORYTELLER: GREEK MYTHS)」は、1990年に製作された全4話の第2シーズン。監督は「恋におちたシェイクスピア」(1998)「コレリ大尉のマンドリン」(2001)「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」(2005)「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」(2011)「女神の見えざる手」(2016)等のジョン・マッデン(1949〜)、デヴィッド・ガーファス(1945〜)、トニー・スミスポール・ウェイランドが各話を担当。出演はマイケル・ガンボン、ブライアン・ヘンソン、デヴィッド・グリーナウェイ、フランシス・バーバー、デレック・ジャコビ、アート・マリック、デヴィッド・モリッセイ、ジーナ・ベルマン、ジェレミ・ジリー、イアン・ホークス、マギー・オニール、ケイト・ビュフェリー、ロバート・フレミング、ロバート・スティーヴンス、アリステア・ホワイト、ジョン・ウッド、スティーヴ・ヴァーノム他。脚本はナイジェル・ウィリアムズとアンソニー・ミンゲラ。撮影はロジャー・プラット。マイケル・ガンボン演じるストーリーテラーが彼の犬に昔話を語る形式は同じだが、彼らはクノッソスの迷宮に迷い込んでおり、そこで見つけた様々な品物をキーとして物語が語られる。

レイチェル・ポートマンのスコアは、CD3枚目冒頭の「The Storyteller: Greek Myths Main Titles (UK Version)」が、ミステリアスでドラマティックなイギリス版のメインタイトル。

「テーセウスとミノタウロス(THESEUS AND THE MINOTAUR)」「Theseus & The Minotaur (Suite A)」は、ダークでドラマティックかつミステリアスな曲。「Theseus & The Minotaur (Suite B)」は、ミステリアスでドラマティックなサスペンス音楽、エスニックな舞踏音楽、メランコリックな主題と展開。
「ダイダロスとイカロス(DAEDALUS AND ICARUS)」「Daedalus & Icarus (Suite A)」は、メランコリックな主題、サスペンス音楽、フルートによるリリカルな主題と展開。「Daedalus & Icarus (Suite B)」は、フルートとピアノによるジェントルでリリカルな主題、ドラマティックな主題と展開。
「オルフェウスとエウリュデュケー(ORPHEUS AND EURYDICE)」「Orpheus & Eurydice (Suite A)」は、ダークなサスペンス音楽、軽快な舞踏音楽、フルートによるジェントルでリリカルな主題、エスニックな主題と展開。「Orpheus & Eurydice (Suite B)」は、エスニックな舞踏音楽、ダークでメランコリックな主題、不気味なサスペンス音楽へと展開する曲。
「ペルセウスとメデューサ(PERSEUS AND THE GORGON)」「Perseus & The Gorgon (Suite A)」は、メランコリックな主題、ダークなサスペンス音楽と展開。「Perseus & The Gorgon (Suite B)」は、ダークでメランコリックな主題、重厚なサスペンス音楽と展開。
「Main Titles (US Version)」は、ミステリアスでドラマティックな米国版のメインタイトル。最後にボーナストラックとして「Theseus (Suite)」「Orpheus (Suite)」を収録。

レイチェル・ポートマンらしい繊細さとダークさを持ったアトモスフェリックなスコアで、ダーク・ファンタジー的な世界観を上手く表現している。1500枚限定プレス。
(2018年10月)

Rachel Portman

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