クインシー・ジョーンズ
  Quincy Jones

Date of Birth: 1933/3/14
Place of Birth: Chicago, Illinois, USA
Date of Death: 2024/11/3
Mini Biography:
Quincy Delight Jones Jr. was born in Chicago and raised in Seattle. His interest in music began as a child and by the age of 12 he was singing in a gospel quartet. As a junior in high school he began playing the trumpet and continued his musical education at the prestigious Berkelee College of Music in Boston. His professional career blossomed with an offer to tour with Lionel Hampton's band as a trumpeter, arranger and sometime-pianist. By the mid 1950's he had moved to New York where he began arranging and recording for such diverse artists as Sarah Vaughan, Ray Charles, Count Basie, Duke Ellington, Dinah Washington and Cannonball Adderly. In 1957 he decided to continue his musical education in Europe with Nadia Boulanger, the legendary Parisian tutor of composers Leonard Bernstein and Aaron Copeland. He landed a job with Mercury Record's French distributor, Barclay Disques, where he recorded artists such as Charles Aznavour, Jacques Brel, Henri Salvador, Billy Eckstine and Andy Williams. His love affair with European audiences continues through today as co-producer of the annual Montreux Jazz and World Music Festival. In 1961 he became the vice-president of Mercury Records and the first high level black executive of an established major record company. Two years later he won his first Grammy Award for his Count Basie arrangement of "I Can't Stop Loving You." In his three year association as arranger and conductor for Frank Sinatra, he, once again teamed with Count Basie, made history with his unforgettable arrangement of "Fly Me To The Moon;" the first recording played by Buzz Aldrin when he landed upon the moon's surface in 1969. Expanding his career Quincy began scoring music for films, such as "The Pawnbroker", "In the Heat of the Night", "In Cold Blood" and "The Wiz", just to name a few of the 33 major motion picture scores to his credit. His equally numerous television scores include "The Bill Cosby Show", "Ironside", "Sanford and Son", and "Roots", for which he won an Emmy Award. Together with Steven Spielberg he co-produced the adaptation of Alice Walker's "The Color Purple", winning eleven Oscar nominations and introducing Oprah Winfrey and Whoopi Goldberg to the movie audience. This marked his debut as a film producer. Of his many landmarks is his production of "We Are The World", in 1985, whose proceeds went to the famine in Africa and became the best selling single of all time, as well as Michael Jackson's, "Thriller"; the best selling album in the history of the recording industry. He is the all-time most nominated Grammy artist with a total of 77 nominations and 26 winning Grammys. He has won an Emmy, seven Oscars, the Academy of Motion Picture Arts and Sciences' Jean Hersholt Humanitarian Award and The Grammy Living Legend Award. He is also the recipient of honorary doctorates from Howard University, the Berkelee College of Music, Seattle University, Wesleyan University, Brandeis University, Loyola University (New Orleans), Clark Atlanta University, Claremont University's Graduate School, the University of Connecticut, Harvard University, Tuskeegee University, New York University, University of Miami and The American Film Institute.

 

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マッケンナの黄金 MACKENNA'S GOLD

作曲・指揮:クインシー・ジョーンズ
Composed and Conducted by QUINCY JONES

(独Tsunami / TSU 0127)

「真昼の決闘」(1952)「ナバロンの要塞」(1961)等の脚本家・プロデューサーとして知られるカール・フォアマンが1969年に製作したウエスタン。監督は「ナバロンの要塞」「恐怖の岬」(1962)等のJ・リー・トンプソン。出演はグレゴリー・ペック、オマー・シャリフ、テリー・サヴァラス、キーナン・ウィン、カミラ・スパーヴ、ジュリー・ニューマー、リー・J・コッブ、レイモンド・マッセイ、バージェス・メレディス、イーライ・ウォラック、アンソニー・クエイル、エドワード・G・ロビンソン、テッド・キャシディ、エデュアルド・シアネッリ他。ウィル・ヘンリーの原作を基にカール・フォアマンが脚本を執筆。撮影はジョセフ・マクドナルド。フォアマンとは「真昼の決闘」や「ナバロンの要塞」でも組んでいる映画音楽作曲家のディミトリ・ティオムキンが、ここでは共同プロデューサーを務めている。アパッチ族が渓谷に隠した大量の黄金をめぐって、保安官や無法者等さまざまな男たちが死闘を繰り広げるアクション西部劇で、元は3時間を超す大作だったが公開直前に約2時間の長さにカットされたため、ストーリー展開が一部破綻している。

音楽は、本来共同プロデューサーでもあるティオムキンが担当するはずだったが、別の映画(チャイコフスキーの伝記映画)の作曲のために不可能となり、代わりにクインシー・ジョーンズが起用された。ジョーンズはライオネル・ハンプトン楽団のアレンジャーを務めたこともあるジャズ畑の作曲家だが、昔からずっと映画音楽の仕事をしたいと考えており、15歳の時に作曲家のフランク・スキナーの書いた「アンダースコア」という映画音楽に関する本を繰り返し読んで研究したという。彼の作曲した映画音楽はやはりジャズをベースとしたものが多いが、この「マッケンナの黄金」はその中でも最も“アンダースコア”的なオーケストラルスコアとなっていて面白い。

冒頭の7分以上に及ぶ序曲「Overture」は、1発の銃声のS.E.に続くパワフルで印象的なイントロから始まり、途中さまざまな表情を見せ、豪快なメインテーマ、そして明るく親しみやすいタッチの主題歌“Ole Turkey Buzzard”(ヴォーカルはホセ・フェリシアーノ)へと展開していく。続く「Canon Del Oro / Waterhole Trek」も8分近い曲だが、幻想的なパッセージやサスペンスフルなタッチが次々と現れる。「Reve Parisien」はタイトル通りフランス風のワルツで、ウエスタンのスコア中ではやや違和感がある。主題歌のインストゥルメンタル・バージョン「Ole Turkey Buzzard」でのトランペット・ソロや、「Soul Full of Gold」での男声の入り方が、マカロニウエスタン風で面白い。6曲目の「Main Title」でメインの主題が明確な形で演奏されるが、リズミックなアレンジメントがいかにもこの作曲家らしい。「Apache Camp / Massacre Montage」は徐々にサスペンスを盛り上げて行くアンダースコアだが、こういう部分は正統派の手法でしっかりと作曲している。

尚、このCDは以前にRCAレーベルから出ていたサントラLP(米RCA / LSP-4096)と同じ内容をそのままCD化したものだが、このドイツのTSUNAMIというレーベルは特定の国(ドイツ、スイス)の著作権法の隙間を利用して過去の映画音楽のオリジナル音源によるサントラCDを多数リリースしており、自らは合法だと主張しているが実質的には海賊盤と変わらないものである。残念ながらこのスコアのCDは今のところこのレーベルからしか出ていない。
(2001年5月)

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汚れた七人 THE SPLIT

作曲・指揮:クインシー・ジョーンズ
Composed and Conducted by QUINCY JONES

(米Film Score Monthly / FSM Vol.12 No.13)

1968年製作のアメリカ映画。監督は「(未公開)Dr.フーin怪人ダレクの惑星」(1965)「(未公開)地球侵略戦争2150」(1966)「キャサリン大帝」(1968)「最後の手榴弾」(1969)「(TV)暗闇の影に誰かいる」(1982)「(TV)黒の狙撃者」(1989)等のゴードン・フレミング。出演はジム・ブラウン、ダイアン・キャロル、アーネスト・ボーグナイン、ジュリー・ハリス、ジーン・ハックマン、ジャック・クラグマン、ウォーレン・オーツ、ジェームズ・ホイットモア、ドナルド・サザーランド、ジョイス・ジェームソン、ハリー・ヒコックス、ジャッキー・ジョセフ、ウォーレン・ヴァンダース他。「殺しの分け前/ポイント・ブランク」(1967)「ホット・ロック」(1971)「組織」(1973)「ペイバック」(1999)等の原作や「警官ギャング」(1973)「グリフターズ/詐欺師たち」(1990)等の脚本で知られるミステリ作家ドナルド・E・ウエストレイクの原作(リチャード・スターク名義)『悪党パーカー/汚れた七人』を基にロバート・サバロフが脚本を執筆。撮影はバーネット・ガフィ。製作はロバート・チャートフとアーウィン・ウィンクラー。マックレーン(ブラウン)をリーダーとするクリンガー(ボーグナイン)、キフカ(クラグマン)、ゴーフ(オーツ)、ネグリ(サザーランド)たちの一味がフットボール試合中のロサンゼルス競技場からの現金強奪を計画し、見事に成功するが、奪った金の一部が紛失したことで互いに疑心暗鬼になり、血みどろの争いに発展する。後半で悪徳警部ウォルター・ブリル役でハックマンが登場するという豪華キャストの犯罪アクション。

音楽はポピュラー音楽界の大御所クインシー・ジョーンズが作曲しており、これは彼が1960〜70年代に手がけたジャズ・ベースの犯罪映画スコアの1つ。冒頭の「Main Title」は、ダイナミックなイントロからビリー・プレストンのヴォーカルによるクールな主題歌へと展開するメインタイトル。「It's Just a Game, Love」も、アーサー・プライソックのヴォーカルによるジェントルなジャズ曲。「Funny Money / What the Hell」は、軽妙なタッチのジャズ。「Kifka Car Caper」は、アップビートなサスペンス曲。「A Good Woman's Love」は、シェブ・ウーリーのヴォーカルによるカントリーウェスタンの挿入歌。「Pussy Safe Negli / Half a Million Dollars / It's Just a Game, Love」の後半も、クライディー・キングとビリー・プレストンのヴォーカルによる挿入歌。「Kifka, My Driver」「Night Headlights」「Hot Meter」等は、抑制されたサスペンス音楽。「Eleven O'Clock Time / Q.J. March / Frantic Fans / Let's Go」は、いかにも60〜70年代犯罪映画のタッチのハイテンションなサスペンス音楽で、11分以上に及ぶアンダースコア。後半も「Clinger's Waiting」「Two People, Two Rents」「Drawer Fulla Money」「Fine Dead Lady」「Pull the String / Drag Him Over, Escape」等のサスペンス音楽が連続する。「Celebration 」は、ジョン・ウェズリーのヴォーカルによるアップビートな挿入歌。「Shook Up Fuzz / Mac Let's Talk」は、ジョーンズらしいバウンシーなジャズ。「It's Over / Airport / End Title Card」も、ジャズによるメインタイトルのリプライズで締めくくる。ボーナストラックとしてアーサー・プライソックのヴォーカルによる「Main Title」「End Title」の代替バージョンを収録。この米Film Score Monthlyレーベルのサントラはコンプリート・スコアの初CD化で、1500枚限定プレス。

クインシー・ジョーンズが手がけた映画音楽には
「(未公開)Pojken i tradet」(1961)
「質屋(The Pawnbroker)」(1964)
「蜃気楼(Mirage)」(1965)
「いのちの紐(The Slender Thread)」(1965)
「(未公開/TV)Bob Hope Presents the Chrysler Theatre - The Faceless Man」(1966)
「歩け走るな!(Walk Don't Run)」(1966)
「(未公開/TV)Hey, Landlord」(1966)
「(未公開)恐怖との遭遇(The Deadly Affair)」(1966)
「夜の誘惑(Banning)」(1967)
「夜の大捜査線(In the Heat of the Night)」(1967)
「冷血(In Cold Blood)」(1967)
「(TV)鬼警部アイアンサイド(Ironside)」(1967〜1968)
「殺しのダンディー(A Dandy in Aspic)」(1968)
「(未公開)The Counterfeit Killer」(1968)
「(未公開)浴槽に消えた女(Jigsaw)」(1968)
「愛は心に深く(For Love of Ivy)」(1968)
「アフリカ大空輸(The Hell with Heroes)」(1968)
「(未公開/TV)Split Second to an Epitaph」(1968)
「汚れた七人(The Split)」(1968)
「(未公開)Of Men and Demons」(1969)
「マッケンナの黄金(Mackenna's Gold)」(1969)
「ミニミニ大作戦(The Italian Job)」(1969)
「失われた男(The Lost Man)」(1969)
「ボブ&キャロル&テッド&アリス(Bob & Carol & Ted & Alice)」(1969)
「(未公開/TV)The Bill Cosby Show - A Word from Our Sponsor」(1969)
「ジョンとメリー(John and Mary)」(1969)
「サボテンの花(Cactus Flower)」(1969)
「(未公開)Eggs」(1970)
「(未公開)Mother」(1970)
「(未公開)はるかなる南部(Last of the Mobile Hot Shots)」(1970)
「おかしな夫婦(The Out of Towners)」(1970)
「続・夜の大捜査線(They Call Me MISTER Tibbs!)」(1970)
「(未公開/TV)The Bill Cosby Special, or?」(1971)
「(未公開)Brother John」(1971)
「ショーン・コネリー/盗聴作戦(The Anderson Tapes)」(1971)
「(未公開)Honky」(1971)
「バンクジャック($)」(1971)
「(未公開)Dig」(1972)
「(TV)ザ・ビールス/恐怖の病原菌(Killer by Night)」(1972)
「ホット・ロック(The Hot Rock)」(1972)
「センチュリアン(The New Centurions)」(1972)
「ゲッタウェイ(The Getaway)」(1972)
「(TV)ROOTS/ルーツ(Roots)」(1977)
「ウィズ(The Wiz)」(1978)
「(未公開)Wiz on Down the Road」(1978)
「(未公開)ゲット・アウト/青春超特急(Out of Control)」(1984)
「カラーパープル(The Color Purple)」(1985)
「(未公開)Listen Up: The Lives of Quincy Jones」(1990)
「(未公開/V)The Color Purple: The 'Musical'」(2003)
「ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン(Get Rich or Die Tryin')」(2005)
等がある。

また、映画プロデューサーとして
「カラーパープル(The Color Purple)」(1985)
「(未公開)スティール(Steel)」(1997)
「(TV)栄光へのダンクシュート(Passing Glory)」(1999)
「(未公開)禁断の蕾(The Smokers)」(2000)
「STOMPの愛しの掃除機(Vacuums)」(2002)
「(未公開/TV)彼らの目は神を見ていた(Their Eyes Were Watching God)」(2005)
等の製作や製作総指揮も手がけている。

クインシー・ジョーンズは、1967年の「冷血」でアカデミー賞の作曲賞、「夜の誘惑」で同賞の歌曲賞(『The Eyes of Love』)、1968年の「愛は心に深く」で同賞の歌曲賞(『For Love of Ivy』)、1978年の「ウィズ」で同賞の音楽(編曲・歌曲)賞、1985年の「カラーパープル」で同賞の作曲賞と歌曲賞(『Miss Celie's Blues』)にノミネートされており、1994年に同賞のジーン・ハーショルト友愛賞を受賞している。また、史上もっとも売れたアルバム(全世界で1億500万枚以上)であるマイケル・ジャクソンの『スリラー』(1985)や、アメリカのスーパースターが一堂に会して録音したチャリティー曲『ウィ・アー・ザ・ワールド』(1985)のプロデュースでも知られ、音楽家としてグラミー賞に77回ノミネートされ、26回受賞している(現存するレコーディング・アーティストとして最多記録)。
(2009年10月)

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