ジョン・モリス
  John Morris

Date of Birth: 1926/10/18
Place of Birth: Elizabeth, New Jersey, USA
Date of Death: 2018/1/25
Mini Biography:
After studying at the University of Washington and the prestigious Julliard School of Music, John Leonard Morris began his career as a concert pianist and then got into the Broadway musical world as a composer and song arranger. In 1956 he met a young screenwriter, Mel Brooks, who called him a few years later for his first film, "The Producers"(1968). Morris worked with Brooks until 1991 ("Life Stinks"), and he was responsible for the music of the director's best movies; "The Twelve Chairs"(1970), "Young Frenkenstein"(1974), "Blazing Saddles"(1974), "Silent Movie"(1976) and "High Anxiety"(1977). Because Morris displayed in all of them a rare ability to evoke music of the classic cinema with a subtle sense of humor, he became the official composer for films shot by other members of Brooks' troupe, including Gene Wilder and Marty Feldman - "The World's Greatest Lover"(1977), "The Last Remake of Beau Geste"(1977), "The Woman in Red"(1984), and "Haunted Honeymoon"(1986). In 1980, however, he composed the music for David Lynch's "The Elephant Man", a beautiful work that brought him an Oscar nomination and showed that he also has a fine sensitivity when dealing with somber and dramatic issues - a fact further borne out by his magnificent scores for "The Doctor and the Devils"(1985) and "Ironweed"(1987) or his music for the TV productions "The Scarlet Letter"(1979) and "Scarlett"(1994). He has written extensively for the theater and television, and has won Daytime Emmy Awards for "NBC Special Treat"(1975). During the 1970's and 80's, he wrote both theme music and complete scores for many Public Television series.

 


(未公開/TV)スカーレット/続・風と共に去りぬ SCARLETT

作曲・指揮:ジョン・モリス
Composed and Conducted by JOHN MORRIS

演奏:プラハ市フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the City of Prague Philharmonic Orchestra

(Polydor / POCP-7008) 1995

1994に製作費4000万ドルをかけ、世界53ヶ国ロケにより製作されたTVミニ・シリーズで、名作「風と共に去りぬ」の続編(日本では上記邦題で3巻もののビデオがリリースされていた)。監督はジョン・アーマン。出演はジョアンヌ・ウォーリー=キルマー、ティモシー・ダルトン、スティーヴン・コリンズ、ショーン・ビーン、バーバラ・バリー、アナベス・ギッシュ、ジョージ・グリザード、ジュリー・ハリス、メリッサ・レオ、エスター・ロール、ポール・ウィンフィールド、アン=マーグレット、チャールズ・グレイ、ジョン・ギールガッド他。アレクサンドラ・リプリーの原作を基に、ウィリアム・ハンリーが脚本を執筆。撮影はトニー・イミ。1873年のアトランタ。故郷のタラへ戻ったスカーレット・オハラ(ウォーリー=キルマー)は、マミーが病床にあったため、レット・バトラー(ダルトン)に電報を打つが、彼の態度は冷たく、スカーレットに離婚要請書を突きつける。失意の彼女は未亡人を装ってアイルランドを訪れ、英国貴族フェントン(ビーン)に身を委ねるが、フェントンは彼女を罠にかけ殺人の罪を着せる。知らせを聞いたレットは、スカーレットの無実の証明のために奔走する……。スカーレット・オハラ役のジョアンヌ・ウォーリーは1988年から1996年までヴァル・キルマーの妻だったので、この作品ではウォーリー=キルマーとしてクレジットされている。

音楽を担当したジョン・モリスは、メル・ブルックス監督とのコラボレーションで知られるアメリカのベテラン作曲家。「Scarlett's Waltz」「The Masquerade Ball」等でのメインテーマは優雅なワルツ。「Rhett and Mammy, Who's Dying」「Ashley. You've Got to Gon On」等は繊細で素朴な音楽。「Scarlett's Love Theme」は大らかなラブテーマ。「Scarlett Arrives in Ireland」はメインテーマのバリエーションだが、牧歌的で美しい。躍動的な「The Fox Hunt」も良い。最後にナザレの演奏による主題歌「Love Hurts」が収録されているが、あまり印象に残らない(この曲のみオーケストラがミュンヘン・フィルハーモニーになっている)。全体として耳あたりの良い親しみやすいスコアだが、テレビシリーズ用のせいかあまり強いドラマ性やスケール感がなく、また各々の曲が短いのでエモーショナルな深みもない。ただ劇伴音楽としてはベテランらしい手堅い仕事である。

ジョン・モリスがメル・ブルックスと組んだ映画では「ブレージングサドル」でのフランキー・レインのヴォーカルによる豪快な主題歌や、「ヤング・フランケンシュタイン」でのゴシックホラー調のオーケストラルスコア、「メル・ブルックス/新サイコ」でのバーナード・ハーマンばりの大仰なサスペンス音楽等が面白い。ブルックス作品が多いせいかコメディ映画の作曲家という印象があるが、デヴィッド・リンチ監督の「エレファント・マン」での悲痛なトーンの静かなスコアも良かった。彼のスコアは残念ながらあまりCD化されていない。
(2001年6月)

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スペースボール SPACEBALLS

作曲・指揮:ジョン・モリス
Composed and Conducted by JOHN MORRIS

演奏:ハリウッド・スタジオ交響楽団
Performed by the Hollywood Studio Symphony Orchestra

(米La-La Land / LLLCD 1050)

 ★TOWER.JPで購入

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1987年製作のアメリカ映画。監督は「プロデューサーズ」(1968)「ヤング・フランケンシュタイン」(1974)「ブレージングサドル」(1974)「サイレント・ムービー」(1976)「メル・ブルックス/新サイコ」(1977)「メル・ブルックス/珍説世界史PART1」(1981)「メル・ブルックスの大脱走」(1983)「メル・ブルックス/逆転人生」(1991)「ロビン・フッド/キング・オブ・タイツ」(1993)「レスリー・ニールセンのドラキュラ」(1995)等のメル・ブルックス。出演はメル・ブルックス、ジョン・キャンディ、リック・モラニス、ビル・プルマン、ダフネ・ズニーガ、ディック・ヴァン・パタン、ジョージ・ワイナー、マイケル・ウィンスロー他。脚本はメル・ブルックス、トーマス・ミーハンとロニー・グレアム。撮影はニック・マクリーン。コテコテのコメディ映画で知られるメル・ブルックスが「スター・ウォーズ」をパロディにした作品。スペースボール星のスクルーブ大統領(ブルックス)は、薄くなってしまった星の大気を補充するため、近隣のドルイディア星からの大気の奪取を画策し、ダーク・ヘルメット(モラニス)を送り込んでローランド王(ヴァン・パタン)とその娘ヴェスパ姫(ズニーガ)を誘拐する。王は流れ者の船長ローン・スター(プルマン)と愛犬バーフ(キャンディ)に娘の救出を依頼するが……。

音楽は、メル・ブルックス監督の殆ど全ての作品を手がけているジョン・モリス「SPACEBALLS - Main Title」は、「スター・ウォーズ」等の“スペース・オペラ”音楽を意識したオーケストラによる勇壮なマーチ。単なるパロディ音楽ではなく、ベテラン作曲家らしい堂々としたメインタイトルになっているところが良い。このメインの主題は、「Post-Explosion Barf」「Yogurt's Goodbye / Bad Ship #2」「Yogurt's Goodbye / Liquid Schwartz」等でも登場。「Long Ship / Dark Helmet Entrance / Evil Schwartz / Planet Druidia」の前半は、悪のダーク・ヘルメットのダークな主題で、「ジョーズ」そっくりのフレーズ。このダークな主題は「Bad Ship #1 / Beam Bad Ship / Luggage Down / Matched Luggage / Bad Year Blimp / Sharking the Ship」「Taking Her In / Lonestar & Barf Enter as Guards / Lonestarr-Corridor / After Stunt Doubles」等のアクション音楽でも、悪役の登場シーンに流れる。「Wedding #1 / Here Comes the Bride / Retreat」は、ウエディングマーチからコミカルなタッチへ。「First Desert / Desert Playout」「Desert, Thirsty, March, Falls / Bad Ship #2」は、砂漠のシーンに流れる「アラビアのロレンス」風の曲。「Love Theme」は、ジェントルでオーソドックスなラブテーマ。「Into Cave / The Cave」「The Schwartz / Power of Schwartz」「Entering the Ear / Down the Ladder / Hand Print #1 / Hand Print #2 / Lonestarr & Helmet Fight #1 / Lonestarr & Helmet Fight #2 / Lonestarr & Helmet Fight #3」等はサスペンス音楽。「Mega Maid」は、ヒロイックに盛り上がる。「Fanfare for Prince Lonestarr / Kiss / Big Finish」は、明るく勇壮なフィナーレ。

この映画のサントラ盤は公開当時に米Atlantic Recordsからリリースされていたが、これは挿入歌が主体のアルバムで、モリスのスコアは3曲しか収録されていなかった。今回、米La-La LandレーベルがリリースしたCDは、コンプリート・スコアと、未使用テイクや代替テイク、上記Atlantic盤収録の3曲等を収録した全45曲の「19TH ANNIVERSARY EDITION」で、3000枚の限定プレスとなっている。
(2007年2月)

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ブレージングサドル BLAZING SADDLES

作曲・指揮:ジョン・モリス
Composed and Conducted by JOHN MORRIS

演奏:ハリウッド・スタジオ交響楽団
Performed by the Hollywood Studio Symphony Orchestra

(米La-La Land / LLLCD 1072)

 ★TOWER.JPで購入

1974年製作のアメリカ映画(日本公開は1976年)。監督は「プロデューサーズ」(1968)「ヤング・フランケンシュタイン」(1974)「サイレント・ムービー」(1976)「メル・ブルックス/新サイコ」(1977)「メル・ブルックス/珍説世界史PART1」(1981)「メル・ブルックスの大脱走」(1983)「スペースボール」(1987)「メル・ブルックス/逆転人生」(1991)「ロビン・フッド/キング・オブ・タイツ」(1993)「レスリー・ニールセンのドラキュラ」(1995)等のメル・ブルックス。出演はクリーヴォン・リトル、ジーン・ワイルダー、スリム・ピッケンズ、ハーヴェイ・コーマン、マデリーン・カーン、メル・ブルックス、バートン・ギリアム、アレックス・カラス、デヴィッド・ハドルストン、リーアム・ダン、ジョン・ヒラーマン、ドム・デルイーズ、カウント・ベイシー、アン・バンクロフト、リチャード・ファーンズワース他。アンドリュー・バーグマンの原案を基にメル・ブルックス、ノーマン・スタインバーグ、アンドリュー・バーグマン、リチャード・プライアーとアラン・ユーガーが脚本を執筆。撮影はジョセフ・F・バイロック。鉄道の開設が予定される町の支配を企む権力者ヘドレー・ラマー(コーマン)は、町の保安官を殺し、黒人のバート(リトル)を新たな保安官として送り込むが……。ベタなスラプスティック・コメディで知られるメル・ブルックス監督によるウエスタンのパロディ映画。1974年度アカデミー賞の助演女優賞(マデリーン・カーン)、歌曲賞(『Blazing Saddles』)、編集賞にノミネートされている。

音楽はメル・ブルックス監督作品の常連作曲家ジョン・モリス。伝統的なアメリカン・ウエスタン音楽のタッチを再現したオーケストラル・スコアを展開。冒頭の「Signature / Main Title」は、ワーナー・ブラザースのファンファーレ(マックス・スタイナー作曲)から、明るく豪快な主題歌へ(歌曲の作詞は全てメル・ブルックス)。「(TV)ローハイド」「OK牧場の決斗」等の主題歌で知られる伝説的な歌手フランキー・レインのヴォーカルがオーセンティックなタッチを加えており、この曲だけでもアルバムの価値はある。「Ballad of Rock Ridge」は、コーラスによる軽快な挿入歌で、サルーン音楽風アレンジからサイレント映画風とカラフルに展開。この主題は「Transitions」「Alky 1-2-3 / Ballad of Rock Ridge (sad) / Desperado Registration / Night Camp Tent」でも繰り返される。「April in Paris」は、ビッグバンド・ジャズ。「Hoop-Dee-Doo」は、サーカス風のマーチ。「Wagon Train Flashback」は、メインの主題からインディアン風の主題へ。「I'm Tired」は、マデリーン・カーンの気だるいヴォーカルによる挿入歌。「Bart Returns」「A New Rock Ridge」はメインの主題のアレンジメント。「Voodoo You Do / The Big Fight / The French Mistake」も、メインの主題からコーラスによる陽気な挿入歌「The French Mistake」へとカラフルに展開。この短い歌の主題は続く「The Studio Fight / Grauman's」でも繰り返される。「Noble Farewell / Finale」は、メインの主題のコーラスによるフィナーレ。最後にボーナス・トラックとして別テイク等11曲を収録。この米La-La LandレーベルによるサントラCDは、正規ライセンスによるコンプリート・スコアの初リリースで、3000枚限定プレス。

(2008年9月)

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(未公開)チーチ&チョン/イエローパイレーツ YELLOWBEARD

作曲・指揮:ジョン・モリス
Composed and Conducted by JOHN MORRIS

(スペインQuartet Records / QRSCE016)

 ★TOWER.JPで購入

1983年製作のイギリス映画(日本では劇場未公開でビデオ発売済)。監督は「(TV)地上最強の美女!バイオニック・ジェミー」(1976〜1978)「(TV)ブラック・テロ兇行/ニューヨークが震えた日」(1985)「(TV)ペーパーバック殺人事件」(1986)「ハッピー・トゥギャザー」(1989)「(TV)エバーウッド 遥かなるコロラド」(2002〜2003)等のメル・ダムスキー。出演はグレアム・チャップマン、ピーター・ボイル、チーチ・マリン、トミー・チョン、ピーター・クック、マーティ・フェルドマン、マーティン・ヒューイット、マイケル・ホーダーン、エリック・アイドル、マデリーン・カーン、ジェームズ・メイソン、ジョン・クリース、ケネス・マーズ、スパイク・ミリガン、スザンナ・ヨーク、ファーディ・メイン、ピーター・ブル、バーナード・フォックス、ロナルド・レイシー、ナイジェル・ストック、デヴィッド・ボウイ(カメオ出演)他。脚本はモンティ・パイソンのメンバーでこの映画に主演しているグレアム・チャップマンと共演のピーター・クック、バーナード・マッケンナが執筆。撮影はジェリー・フィッシャー。海賊のイエローベアード(チャップマン)は、彼が隠した財宝を手に入ようと企む英国海軍のクレメント中佐(アイドル)により意図的に脱獄させられ、宝の地図を隠した愛人の下に出向く。が、その地図は刺青として息子の頭に記されており、しかも息子は王宮の養子になっていた……。イエローベアードとその息子、昔の仲間たち、英国海軍が入り乱れて財宝の略奪戦を繰り広げるアドヴェンチャー・コメディで、モンティ・パイソンのメンバー(チャップマン、アイドル、クリース)、メル・ブルックス監督作品の常連役者たち(フェルドマン、ボイル、カーン、マーズ)、アメリカのコメディアン(チーチ&チョン)、イギリスのコメディ役者(クック、ミリガン)といった多彩なキャストが共演。

音楽はメル・ブルックス監督とのコラボレーションで知られるアメリカの作曲家ジョン・モリスが担当。「Overture」は、ファンファーレ(バリー・グレイの「サンダーバード」に少し似ている)から明るくヒロイックなマーチへと展開する序曲。このメインの主題は「Court of Queen Anne」「Captain Dan」「The Island」「Attack to the Nebuloso's Fortress」「Death of Captain Yellowbeard」等で様々なバリエーションにより登場。「Assault on El Nebuloso / Yellowbeard First Appearance / In Prison」は、サスペンス音楽からメインのマーチへ。「Escape from the Prison」は、メインの主題のバリエーションによるアクション音楽。「They're All Dead, Mr. Moon」「The Mutiny」は、抑制されたサスペンス音楽。「Blind Pew」「Commander Clement's Royal Naval Frigate VS. The Lady Edith」は、コミカルなタッチ。「Portsmouth」は、明るく躍動的な曲。「Dan's Kidnapped / Later That Night」は、サスペンスアクション音楽。「Battle at the Sea」「The Jungle / The Ambush」「Duel with Mr. Moon」等は、メインの主題を織り込んだストイックなアクション音楽。「Love and Torture」は、美しくロマンティックな主題。「Treasure Hunters」は、明るい宮廷音楽調。「Prisoners Again / Yellowbeard Returns / End Credits」は、メインのマーチのリプライズによるエンドクレジット。最後にコーラス入りのエンドクレジット「End Credits (alternate version, vocal)」等のボーナストラックを7曲収録。明るく豪快なスワッシュバックリング・スコア。このスコアの初サントラ・リリースで1000枚限定プレス。
(2011年1月)

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メル・ブルックス傑作集 MEL BROOKS' GREATEST HITS

作曲・指揮:ジョン・モリス
Composed and Conducted by JOHN MORRIS

(米Wounded Bird Records / WOU 5501)

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<収録曲>

1. メル・ブルックス/新サイコ HIGH ANXIETY
2. プロデューサーズ THE PRODUCERS
3. (未公開)メル・ブルックスの命がけ!イス取り大合戦 THE TWELVE CHAIRS
4. ブレージングサドル BLAZING SADDLES
5. ヤング・フランケンシュタイン YOUNG FRANKENSTEIN
6. サイレント・ムービー SILENT MOVIE

「メル・ブルックス/珍説世界史PART1」(1981)「スペースボール」(1987)「メル・ブルックス/逆転人生」(1991)「ロビン・フッド/キング・オブ・タイツ」(1993)「レスリー・ニールセンのドラキュラ」(1995)等のコメディ映画で知られるメル・ブルックス監督(1926〜)が1968〜1977年に手がけた代表作に、常連作曲家ジョン・モリスが作曲したスコアを集めたコンピレーション。「メル・ブルックス/新サイコ」(1977)の公開当時に米Asylum RecordsがリリースしたLP(Asylum Records / 5E-501)の内容をそのまま初CD化したもので、ジャケットは「メル・ブルックス/新サイコ」 になっており、当時はこの映画のサントラ盤として発売されていた。

1. メル・ブルックス/新サイコ HIGH ANXIETY

1977年製作のアメリカ映画。製作・監督・脚本・主演メル・ブルックスで、共同脚本はロン・クラーク、ルディ・デ・ルカと、「ナチュラル」(1984)「ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎」(1985)「レインマン」(1988)「バグジー」(1991)「ディスクロージャー」(1994)「バンディッツ」(2001)「トラブル・イン・ハリウッド」(2008)等の監督として知られるバリー・レヴィンソン。共演はマデリーン・カーン、クロリス・リーチマン、ハーヴェイ・コーマン、ロン・ケアリー、ハワード・モリス、ディック・ヴァン・パタン、ジャック・ライリー、チャーリー・カラス、ロン・クラーク、ルディ・デ・ルカ、バリー・レヴィンソン他。撮影はポール・ローマン。特殊効果はアルバート・ホイットロック。サンフランシスコ郊外の療養所に赴任した精神病理学者リチャード・H・ソーンダイク博士(ブルックス)が巻き込まれる陰謀を描いたサスペンス・コメディだが、邦題の通りヒッチコック映画のパロディになっており、「めまい」(原題名「HIGH ANXIETY」の意味は高所恐怖症)の他、「北北西に進路を取れ」「鳥」「裏窓」「ダイヤルMを廻せ!」「レベッカ」「断崖」「白い恐怖」等の細かいパロディを満載。「サイコ」のシャワールーム・シーンのパロディでベルボーイ役を共同脚本のバリー・レヴィンソンが演じているが、このシーンはケッサク。ジョン・モリスのスコアは、冒頭のバーナード・ハーマン調のダイナミックな「Main Title」が秀逸。1986年に故エルマー・バーンステインの公開講義をUCLAで受けた際に、「ジョン・モリスのコメディ・スコアは実に巧い」としきりに感心していたことを思い出す(当時バーンステインも「フライングハイ」「ゴーストバスターズ」「サボテン・ブラザース」といったコメディ映画のスコアを多数手がけていた)。「High Anxiety」は、メル・ブルックスの渋いヴォーカルによる“高所恐怖症の歌”で、ヘンリー・マンシーニ風のとてもお洒落な主題歌。「Anxious Theme」は、ハーマン調のサスペンス音楽。「If You Love Me Baby, Tell Me Loud」は、ロックソング。「End Title」は、ブルックスの“高所恐怖症の歌”のフレーズから、同じ主題のワルツ調のエンドタイトルへ。

2. プロデューサーズ THE PRODUCERS

1968年製作のアメリカ映画(日本初公開は2000年12月)。出演はゼロ・モステル、ジーン・ワイルダー、ケネス・マース、ディック・ショーン、リー・メレディス、クリストファー・ヒュウェット、アンドレアス・ヴォウスティナス、エステル・ウィンウッド、レニー・テイラー、ビル・ヒッキー、バーニー・マーティン他。脚本はメル・ブルックス、撮影はジョセフ・コフィ、製作はシドニー・グレイジャー。ブロードウェイの演劇プロデューサー、マックス・ビアリストック(モステル)は、会計士レオ・ブルーム(ワイルダー)の「どんなに高額の製作費でも赤字なら帳消しにできる」という言葉にヒントを得て、スポンサーから製作費を上回る資金を集めた上で史上最低の芝居を製作して打ち切ってしまえば、実製作費以外が利益になると考えた。マックスはレオと一緒に『ヒットラーの春』というナチ礼賛のとんでもないシナリオを発掘して上演するが、これが大ウケのヒットとなってしまう……。「Springtime for Hitler」は、ヒットラー統治下のドイツを讃えた明るく快活なコーラス曲。「Prisoners of Love」は、セリフ入りのコーラス曲。

3. (未公開)メル・ブルックスの命がけ!イス取り大合戦 THE TWELVE CHAIRS

1970年製作のアメリカ映画(日本では劇場未公開でビデオ発売済)。出演はメル・ブルックス、ロン・ムーディ、フランク・ランジェラ、ドム・デルイーズ、ブリジット・ブライス、ロバート・バーナル他。脚本はメル・ブルックス、撮影はドード・ニコリック、製作はマイケル・ハーツバーグ。ロシア革命により財産を没収されるのを恐れた貴族の母親が、椅子の中に巨額の宝石を縫い込み隠してしまう。数年後、そのことを遺言で知らされた息子と盗み聞きしていた神父は、われ先にと各地をさまよい宝石の争奪戦を繰り広げる……。「Hope for the Best, Expect the Worst」は、ドラマティックでストイックな男声コーラス曲。「Vorobyaninov's Theme (The Walk Through Russia)」は、メランコリックでドラマティックな曲。

4. ブレージングサドル BLAZING SADDLES

1974年製作のアメリカ映画(日本初公開は1976年2月)。出演はクリーヴォン・リトル、ジーン・ワイルダー、ハーヴェイ・コーマン、マデリーン・カーン、スリム・ピケンズ、デヴィッド・ハドルストン、キャロル・アーサー、ドム・デルイーズ他。アンドリュー・バーグマンの原作を基にメル・ブルックス、ノーマン・スタインバーグ、アンドリュー・バーグマン、リチャード・プライアーとアラン・ユーガーが脚本を執筆。撮影はジョセフ・バイロック。製作はマイケル・ハーツバーグ。鉄道の開設が予定される町の支配を企む権力者ヘドレー・ラマー(コーマン)は、町の保安官を殺し、黒人のバート(リトル)を新たな保安官として送り込むが……。「Blazing Saddles」は、マックス・スタイナー作曲のワーナー・ブラザースのファンファーレからフランキー・レインのヴォーカルによる痛快な主題歌へ展開。「The French Mistake」は、明るく陽気なコーラス曲。「I'm Tired」は、マデリーン・カーンの気だるいヴォーカルによる挿入歌。

5. ヤング・フランケンシュタイン YOUNG FRANKENSTEIN

1974年製作のアメリカ映画。出演はジーン・ワイルダー、ピーター・ボイル、マーティ・フェルドマン、マデリーン・カーン、クロリス・リーチマン、ジーン・ハックマン、テリー・ガー他。脚本はジーン・ワイルダーとメル・ブルックス、撮影はジェラルド・ハーシュフェルド。製作はマイケル・グラスコフ。フランケンシュタイン博士の曽孫フレデリック(ワイルダー)が、博士の遺産を受け継ぐことになり、ルーマニアの古城を訪れて博士のノートをもとにモンスターの創造を試みるが……。白黒映像でゴシック・ホラー調のコメディに仕上げたブルックスの演出は見事。「Main Title」は、センチメンタルなヴァイオリン・ソロをフィーチャーしたシリアスなゴシック・ホラー音楽。「Puttin' on the Ritz」は、フランケンシュタイン役のワイルダーと怪物役のボイルが舞台で歌う陽気な歌。

6. サイレント・ムービー SILENT MOVIE

1976年製作のアメリカ映画。出演はメル・ブルックス、マーティ・フェルドマン、バーナデット・ピータース、ドム・デルイーズ、シド・シーザー、ハロルド・グールド、ロン・ケアリー、キャロル・アーサー、アン・バンクロフト、ヴァレリー・カーティン、バート・レイノルズ、ジェームズ・カーン、ポール・ニューマン、マルセル・マルソー、ライザ・ミネリ他。脚本はメル・ブルックス、ロン・クラーク、ルディ・デ・ルカとバリー・レヴィンソン。撮影はポール・ローマン。製作はマイケル・ハーツバーグ。映画監督メル・ファン(ブルックス)は、撮影所の再建のためにオール・スター出演によるサイレント・ムービーを作ろうと考え、バート・レイノルズ、ポール・ニューマン、アン・バンクロフト(ブルックス夫人)、ライザ・ミネリといったスターに出演を交渉するが……。「Burt Reynold's House」は、ジェントルで快活な曲。「Silent Movie March」は、モリスらしい明るく豪快なマーチで素晴らしい。

ジョン・モリスが手がけた作品には
「プロデューサーズ(The Producers)」(1968)
「(未公開)The Gamblers」(1970)
「(未公開)メル・ブルックスの命がけ!イス取り大合戦(The Twelve Chairs)」(1970)
「ブレージングサドル(Blazing Saddles)」(1974)
「(未公開)悪の天才たち・銀行略奪大作戦(Bank Shot)」(1974)
「ヤング・フランケンシュタイン(Young Frankenstein)」(1974)
「新シャーロック・ホームズ/おかしな弟の大冒険(The Adventure of Sherlock Holmes' Smarter Brother)」(1975)
「サイレント・ムービー(Silent Movie)」(1976)
「Oh!外人部隊(The Last Remake of Beau Geste)」(1977)
「(未公開)爆笑!世紀のスター誕生(The World's Greatest Lover)」(1977)
「メル・ブルックス/新サイコ(High Anxiety)」(1977)
「(未公開/TV)NBC Special Treat - The Tap Dance Kid」(1978)
「(未公開/TV)The Scarlet Letter」(1979)
「あきれたあきれた大作戦(The In-Laws)」(1979)
「(未公開/TV)Doctor Franken」(1980)
「(未公開)In God We Tru$t」(1980)
「エレファント・マン(The Elephant Man)」(1980)
「(未公開/TV)The Mating Season」(1980)
「メル・ブルックス/珍説世界史PART1(History of the World: Part I)」(1981)
「(未公開/TV)Splendor in the Grass」(1981)
「(未公開/TV)The Electric Grandmother」(1982)
「5人のテーブル(Table for Five)」(1983)
「(未公開/TV)Ghost Dancing」(1983)
「(未公開)チーチ&チョン/イエローパイレーツ(Yellowbeard)」(1983)
「メル・ブルックスの大脱走(To Be or Not to Be)」(1983)
「ウーマン・イン・レッド(The Woman in Red)」(1984)
「(未公開)暗黒街の人気モノ/マシンガン・ジョニー(Johnny Dangerously)」(1984)
「(未公開)贖われた7ポンドの死体(The Doctor and the Devils)」(1985)
「殺人ゲームへの招待(Clue)」(1985)
「(未公開/TV)Katherine Anne Porter: The Eye of Memory」(1986)
「(未公開)呪われたハネムーン(Haunted Honeymoon)」(1986)
「(未公開/TV)Fresno」(1986)
「スペースボール(Spaceballs)」(1987)
「ダーティ・ダンシング(Dirty Dancing)」(1987)
「(未公開/TV)The Fig Tree」(1987)
「黄昏に燃えて(Ironweed)」(1987)
「(未公開)The Wash」(1988)
「(TV)大統領選スキャンダル/野望の銃弾(Favorite Son)」(1988)
「超能力名探偵ボビー(Second Sight)」(1989)
「ステラ(Stella)」(1990)
「(未公開/TV)ラスト・ベスト・イヤー(The Last Best Year)」(1990)
「(未公開/TV)The Last to Go」(1991)
「(TV)君が眠るまえに(Our Sons)」(1991)
「メル・ブルックス/逆転人生(Life Stinks)」(1991)
「(未公開/TV)Carolina Skeletons」(1991)
「(未公開/TV)World War II: When Lions Roared」(1994)
「(TV)スカーレット/続・風と共に去りぬ(Scarlett)」(1994)
「(未公開/TV)With God on Our Side: The Rise of the Religious Right in America」(1996)
「(未公開/TV)Ellen Foster」(1997)
「(TV)ERICH SEGAL'S ONLY LOVE エリック・シーガルズ・オンリー・ラブ(Only Love)」(1998)
「(TV)名探偵は演出家/奇妙な遺言(Murder in a Small Town)」(1999)
「(TV)名探偵は演出家/疑惑の淑女(The Lady in Question)」(1999)
「(未公開/TV)The Blackwater Lightship」(2004)
「(未公開/TV)With God on Our Side: George W. Bush and the Rise of the Religious Right in America」(2004)
「(未公開)Kansas to Kandahar」(2006)
等がある。
ジョン・モリスは1974年の「ブレージングサドル」でアカデミー賞の歌曲賞、1980年の「エレファント・マン」で同賞の作曲賞にノミネートされている。

(2012年3月)

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