ドミニク・フロンティア
 
Dominic Frontiere

Date of Birth: 1931/6/17
Place of Birth: New Haven, Connecticut, USA
Mini Biography:
A one-time assistant to Dimitri Tiomkin, Frontiere worked on such pictures as "Giant" before getting his first film composition assignment on Henry Hathaway's "Seven Thieves"(1960). His long-time friend, writer-producer-director Leslie Stevens brought him to prominence that same year with "The Marriage-Go-Round", starring James Mason, at 20th Century Fox, and Frontiere moved with Stevens to United Artists for the making of "Hero's Island"(1962), also starring Mason. His television work during the early 1960s includes the scores for "12 O'Clock High", "The Fugitive", "The Rat Patrol", "The Invaders", and "The Outer Limits". He also produced the occasional rock records, including the Tubes' "White Punks on Dope" and Dan Fogelberg's "Netherlands".

 


奴らを高く吊るせ!   HANG 'EM HIGH

作曲・指揮:ドミニク・フロンティア
Composed and Conducted by DOMINIC FRONTIERE

(米Sony Music / AK 47705) 1991

「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」といったイタリアン・ウエスタンで成功を収めたクリント・イーストウッドが本国に戻って1968年に主演したアメリカン・ウエスタン。監督は「続・猿の惑星」(1970)「ダーティハリー2」(1973)「戦場」(1977)「駅馬車」(1986)等のテッド・ポスト。共演はインガー・スティーヴンス、エド・ベグリー、ベン・ジョンソン、パット・ヒングル、ブルース・ダーン、チャールズ・マッグロー、ルース・ホワイト、アラン・ヘイル・Jr、アーリーン・ゴロンカ、デニス・ホッパー、L・Q・ジョーンズ、ジェームズ・マッカーサー、マイケル・オサリヴァン、マーク・レナード他。脚本はレナード・フリーマンとメル・ゴールドバーグ、撮影はレナード・サウスが担当。牛泥棒と殺人の濡れ衣を着せられたジェド・クーパー(イーストウッド)は、裁判もなしに、カウボーイのウィルソン(ベグリー)たち9人の男によって縛り首にされる。だが奇跡的に一命をとりとめた彼は、保安官となってウィルソンたちを追跡する。

アメリカ製の西部劇だが、復讐をテーマにしたマカロニウエスタン的な作りになっていて、音楽もマカロニ風。作曲を担当したのはアメリカ人のドミニク・フロンティアだが、トミー・テデスコのギターとトミー・モーガンのハーモニカをフィーチャーしたメインテーマ「Hang 'Em High」は明らかにマカロニウエスタンの音楽を意識している(オーケストラのサイズも50〜60人程度で、ややチープな響きがいよいよもってマカロニっぽい)。この曲はメンフィスのソウル・バンド“Booker T.& the M.G.s”がカバーし、1968年のヒット曲になった。続く「Rachel (Love Theme)」はピアノとオーケストラによる暗めのイントロからリリカルな主題へと展開するラブテーマで、こちらは60年代のアメリカ製恋愛映画調。「Tumbledweed Wagon」は暴力的なサスペンス音楽だが、ブラスの入り方がオーソドックスで、むしろ古典的な西部劇音楽のタッチ。「I'll Get 'Em Myself」はメインテーマのよりパワフルなアレンジメント。フロンティアはこのスコア全体をわずか6日間で作曲したらしいが、やはりメインテーマが単純にカッコよく、印象に残る。因みに、フロンティアは、作曲家としてのデビュー前に西部劇音楽で有名なディミトリ・ティオムキンのアシスタントを務めており、この「奴らを高く吊るせ」の後、「チザム」(1970)「大列車強盗」(1972)といったジョン・ウェイン主演西部劇の音楽も手がけている。

ここで紹介しているCDは、1991年にアメリカのSony Musicからリリースされた一連のサントラ復刻シリーズの1枚で、「奴らを高く吊るせ」からは10曲が収録されており、エンニオ・モリコーネの「サン・セバスチャンの攻防」とラロ・シフリンの「戦略大作戦」(但し1曲のみ)とのカップリングになっている。尚、「奴らを高く吊るせ」のCDは1990年にもイギリスのEMIからリリースされており(英EMI / CDP 79 4946 2)、こちらは7曲のみ収録で、エルマー・バーンステインの「インディアン狩り」とブロニスロー・ケイパーの「大西部への道」とのカップリングだった(こちらの方が音質が良い)。

ドミニク・フロンティアはサントラアルバムのリリースにあまり恵まれていない作曲家だが、この「奴らを高く吊るせ」の他には、「栄光のライダー」(米Bell)「スタントマン」(米Fox)「(TV)権力と陰謀・大統領の密室」(米ABC)「 (未公開)アビエーター」(米Varese Sarabande)等のサントラLPがリリースされていた他、「(TV)アウターリミッツ」(米GNP)「薔薇の素顔」(米Mercury)のサントラCDがリリースされている。
(2002年2月)

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ブラニガン  BRANNIGAN

作曲・指揮:ドミニク・フロンティア
Composed and Conducted by DOMINIC FRONTIERE

演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra

(米La-La Land Records / LLLCD 1012)

cover
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1975年製作のイギリス=アメリカ合作映画。監督は「(未公開)シェークスピア連続殺人!!血と復讐の舞台」(1973)「スカイ・ライダーズ」(1976)「(未公開)シャーロック・ホームズ/バスカヴィル家の犬」(1983)「(TV)ミストラルの娘」(1984)等のダグラス・ヒコックス。出演はジョン・ウェイン、リチャード・アッテンボロー、ジュディ・ギーソン、メル・ファーラー、ジョン・ヴァーノン、レスリー=アン・ダウン、ダニエル・ピロン、ラルフ・ミーカー、ジョン・ストライド、ジェームズ・ブース、アーサー・バタニデス、バリー・デネン、デル・ヘネイ、ブライアン・グローヴァー、ドン・ヘンダーソン、ジャック・ワトソン、アンソニー・ブース他。脚本はクリストファー・トランボ、マイケル・バトラー、ウィリアム・P・マッギヴァーン(ミステリ作家として有名)、ウィリアム・W・ノートン他。撮影はジェリー・フィッシャー。シカゴ警察のジム・ブラニガン刑事(ウェイン)は、アメリカ人のギャング、ラーキン(ヴァーノン)を追ってロンドンへとやって来るが、ラーキンは何者かに誘拐されてしまう。ブラニガンはスコットランドヤードのサー・チャールズ・スワン署長(アッテンボロー)、ジェニファー・サッチャー刑事(ギーソン)たちと共にラーキンの行方を追う・・。“デューク”ことジョン・ウェインが「マックQ」に続いて主演したポリス・アクションで、今回は舞台をイギリスに移してカルチャー・ギャップ的な要素も取り入れている。ストーリーとしてはドン・シーゲル監督の「マンハッタン無宿」に似ており、シーゲル監督の「ダーティハリー」で市長を演じたジョン・ヴァーノンがここでは悪役で登場する。

音楽はアメリカ人のドミニク・フロンティアが作曲。メイン・タイトル「Main Title」は、TVシリーズのテーマ曲を多数手がけてきたフロンティアらしくキャッチーな主題で、ポリス・アクション的な爽快さが秀逸。「Knock, Knock (Main Title - Part Two)」は映画では使用されなかったメインタイトルの別バージョンで、よりハードボイルドなタッチ。「The Kidnap」「Ransom - Part One」「Shotgun」「All Right Buster」「Raindrops Keep Falling on My Bird」等はサスペンス調の劇伴音楽。「Ransom - Part Two」はアップビートなイントロからサスペンスフルなタッチに展開。「Ransom - Part Three」「Ransom - Part Four」はダイナミックなアクション音楽。「Twenty Five Grand」はメインの主題のバリエーション。「Stampede Along the Thames」はアクション・シーンのハイライトとなるジャズ・ベースの音楽で、実にかっこいい。「Bugging Around」はオーケストラによるサスペンス音楽だが、ジェリー・ゴールドスミスの「猿の惑星」によく似ているのは、このスコアがテンプ・トラックに使われていたからだろうか?「End Title」はメインの主題のリプライズ。演奏はロンドン交響楽団だが、基本はジャズ・ベースのスコアであり、オーケストラ音楽の部分もオーケストレーションに厚みがないせいか全体に軽い印象を受ける。ロンドンが舞台なので、イギリス的な味付けがあるのかと思ったが、演奏しているのがイギリスのオーケストラというだけで、音楽の中身は完全にハリウッド・アクション映画音楽(それもTVシリーズ調)なのが、この作曲家らしい。フロンティアは、デュークの息子でこの映画の製作総指揮も担当しているマイケル・ウェインの友人で、彼を通してデュークに紹介され、この「ブラニガン」以前にもデューク主演の「チザム」(1970)「大列車強盗」(1972)のスコアを担当している。
(2004年1月)

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(未公開)A NAME FOR EVIL

(未公開/TV)THE UNKNOWN

作曲・指揮:ドミニク・フロンティア
Composed and Conducted by DOMINIC FRONTIERE

演奏:グランケ交響楽団(「A NAME FOR EVIL」)
Performed by the Graunke Symphony Orchestra of Munich

(米La-La Land / LLLCD 1051)

アメリカのベテラン映画音楽作曲家ドミニク・フロンティアの過去のスコア2作品をカップリングにしたCD(いずれもサントラ初リリース)。

「(未公開)A NAME FOR EVIL」は1973年製作のアメリカ映画。監督・脚本は「現金作戦」(1966)「(TV)バート・レイノルズの復讐」(1970)「(未公開)クリストファー・ウォーケンのマインド・スナッチャー/狂気の人体実験」(1972)等のバーナード・ジラード。出演はロバート・カルプ、サマンサ・エッガー、シーラ・サリヴァン、マイク・レイン、スー・ハサウェイ、テッド・グリーンハル、クラレンス・ミラー、バーバラ・トレマン、レッグ・レイノルズ、ウォルター・マーシュ他。撮影はレジナルド・H・モリス。大都会での仕事に疲れた男ジョン・ブレイク(カルプ)は、妻のジョアンナ(エッガー)と共に田舎の曽祖父の家に移り住むが、やがてその家が死んだ曽祖父の霊に取り憑かれていることを知る……。

ドミニク・フロンティアは、映画の題材にふさわしいリッチな心理サスペンス音楽を提供している。「The Major」は、静かなイントロから、オーケストラがパワフルに盛り上がり、サスペンスフルなタッチへと展開。「Dogs Barking / The Kill」は、激しくヴァイオレントなサスペンス音楽。「Make Love to Me」は、ドラマティックなラヴ・テーマ。「Major & Manor / Walkaway」「It's Marvelous」「Culp Walk / Pyrotechnics / He's Back」「Is This All There Is?」等は、不吉なサスペンス音楽。「Flashback / The Grove」は、後半ドラマティックに盛り上がる。「My Back」も、ドラマティックなタッチからサスペンス調に。「Happiness / Meanwhile...」は、ジェントルな曲。「This Is The End」は、静かなサスペンス音楽で締めくくる。ミュンヘンのグランケ交響楽団によるソリッドな演奏も良い。

「(未公開/TV)THE UNKNOWN」は1964年製作のアメリカのTV映画で、ドミニク・フロンティアが共同製作し、音楽を手がけたTVシリーズ「アウターリミッツ」(1964〜1967)の第1シーズン最後のエピソード『The Forms of Things Unknown』として放映されている。監督は「赤い崖」(1956)「パリの休日」(1958)「消されたスパイ」(1966)等のガート・オズワルド。出演はヴェラ・マイルズ、デヴィッド・マッカラム、バーバラ・ラッシュ、セドリック・ハードウィック、スコット・マーロウ他。脚本は「(未公開)シェラ・デ・コブレの幽霊」(1959)「サイコ」(1960)「キンドレッド」(1986)等のジョセフ・ステファーノ。撮影はコンラッド・L・ホール。フランスのエクスレバン地方で、2人の女カッシア(マイルズ)とレオノーラ(ラッシュ)を連れた男アンドレ(マーロウ)が車を走らせている。カッシアとレオノーラは、かつては愛したアンドレに脅迫されており、2人は共謀してアンドレを毒殺する。道に迷った2人は謎の発明家トーン・ホバート(マッカラム)が住む屋敷へとたどり着くが、ホバートは彼の発明した装置によりアンドレを死から蘇生させてしまう……。

ドミニク・フロンティアのスコアは、リリカルな「アンドレ」の主題を中心にしたサスペンス音楽。「Unknown Main Title」は、ホラー調のメインタイトルで、後にフロンティアは「(TV)インベーダー」(1967〜1968)のメインテーマとしてこの主題を流用している。「Andre's Theme」は、アンドレと2人の女たちのラヴ・テーマ。「Fast Drive / Lake / Poison / Andre's Death」は、躍動的なタッチから後半サスペンス音楽へ。「Body in Trunk / He Blinked / Rain」もサスペンス調が連続する。「Toy Dancer / Enter Tone / My Father」は、オルゴール風の曲からサスペンス音楽へ。「Andre's Return / Finale」は、蘇生したアンドレを描いたホラー音楽からフィナーレへ。「End Credit」は、アンドレの主題のリプライズ。録音が古いためか、音質はあまり良くない。これは米La-La Landレーベルが2006年にリリースしたサントラCDで、2000枚の限定プレス。

ドミニク・フロンティアが手がけた作品には「賭場荒し(Seven Thieves)」(1960)「地獄へ片足(One Foot in Hell)」(1960)「(未公開)The Marriage-Go-Round」(1961)「(未公開)The Right Approach」(1961)「(未公開/TV)The New Breed」(1961)「(未公開)Hero's Island」(1962)「(未公開/TV)Stoney Burke」(1962)「(未公開)シェラ・デ・コブレの幽霊(The Ghost of Sierra de Cobre)」(1964)「(未公開)A Global Affair」(1964)「(TV)アウターリミッツ(The Outer Limits)」(1963〜1964)「(未公開/TV)The Unknown」(1964)「(TV)頭上の敵機(Twelve O'Clock High)」(1964〜1967)「(未公開)Incubus」(1965)「(未公開/TV)Branded」(1965)「ビリー(Billie)」(1965)「(TV)FBI(The F.B.I.)」(1965〜1974)「(TV)ラット・パトロール(The Rat Patrol)」(1966〜1968)「(TV)インベーダー(The Invaders)」(1967〜1968)「(未公開/TV)The Iron Horse」(1966-1967)「(TV)逃亡者(The Fugitive)」(1963〜1967)「(TV)いたずら天使(The Flying Nun)」(1967〜1970)「奴らを高く吊るせ!(Hang 'Em High)」(1968)「要塞攻略戦(Massacre Harbor)」(1968)「(TV)恐怖のジェット旅客機(Lost Flight)」(1969)「ふたりの天使(Popi)」(1969)「ナンバーワン物語(Number One)」(1969)「(TV)不死身の男(The Immortal)」(1969)「(TV)恐怖のSF戦争(The Love War)」(1970)「チザム(Chisum)」(1970)「鷲と鷹(Barquero)」(1970)「(未公開/TV)The Silent Force」(1970)「(未公開/TV)Swing Out, Sweet Land」(1970)「(未公開/TV)The Sheriff」(1971)「栄光のライダー(On Any Sunday)」(1971)「(未公開/TV)Revenge」(1971)「(未公開/TV)Probe」(1972)「(未公開)Hammersmith Is Out」(1972)「(未公開/TV)Movin' On」(1972)「(TV)呪いの島(Haunts of the Very Rich)」(1972)「(未公開)Cancel My Reservation」(1972)「(未公開)A Name for Evil」(1973)「大列車強盗(The Train Robbers)」(1973)「(TV)チョッパーワン・スカイパトロール(Chopper One)」(1974)「(TV)サブマリン・パニック(Fer-de-Lance)」(1974)「フリービーとビーン/大乱戦(Freebie and the Bean)」(1974)「(未公開/TV)Who Is the Black Dahlia?」(1975)「ブラニガン(Brannigan)」(1975)「ダイナマイト諜報機関/クレオパトラ カジノ征服(Cleopatra Jones and the Casino of Gold)」(1975)「(未公開/TV)Young Pioneers」(1976)「激走!5000キロ(The Gumball Rally)」(1976)「(未公開/TV)Yesterday's Child」(1977)「(未公開)Warhead」(1977)「(TV)権力と陰謀・大統領の密室(Washington: Behind Closed Doors)」(1977)「(TV)Perfect Gentlemen」(1978)「(TV)ベガス(Vega$)」(1978〜1981)「(未公開/TV)My Old Man」(1979)「摩天楼ブルース(Defiance)」(1980)「スタントマン(The Stunt Man)」(1980)「ロアーズ(Roar)」(1981)「スーパー念力マン(Modern Problems)」(1981)「(未公開/TV)Matt Houston」(1982)「(未公開/TV)Don't Go to Sleep」(1982)「(未公開/TV)Shooting Stars」(1983)「(未公開/TV)Dark Mirror」(1984)「(未公開/TV)Velvet」(1984)「(未公開)アビエーター(The Aviator)」(1985)「(未公開/TV)Harry's Hong Kong」(1987)「(未公開)炎のチャンプ -天才ボクサーキッド・マッコイ-(Brutal Glory)」(1989)「(TV)愛と追憶の大地(Palomino)」(1991)「(未公開/TV)Trade Winds」(1993)「薔薇の素顔(Color of Night)」(1994)「(未公開)Le gout des autres」(2000)「(未公開)Behind the Badge」(2002)等がある。ドミニク・フロンティアは1980年の「スタントマン」でゴールデン・グローブの音楽賞を受賞している他、1994年の「薔薇の素顔」で同賞の歌曲賞にノミネートされている。
(2006年11月)

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