マーク・マンシーナ
 Mark Mancina

Date of Birth: 1957/3/9
Place of Birth: Santa Monica, California, USA
Mini Biography:
Mancina studied composition and guitar at California State Fullerton and Golden West College. Much of his early career was spent with various rock bands, most notably Yes, with whom he played keyboards and wrote various songs. He soon became a highly sought after arranger, and worked with the likes of Seal and Emerson Lake and Palmer, before breaking into the film world in the early 1990s. He was asked by Hans Zimmer to arrange and co-produce the music for films such as "True Romance" and "Days of Thunder", and soon became a member of Zimmer's Media Ventures scoring stable. After a few minor scoring assignments, he came to prominence as a talent in his own right when he scored "Speed" in 1994. He also produced and arranged three of Elton John's songs for the Disney animated feature film "The Lion King" which earned him an American Music Awards Favorite Pop/Rock album, and a Grammy Award for Best children's Album. His latter work on the "The Lion King" On Broadway won him another Grammy for Best Musical Show Album.

Official website of Mark Mancina: http://www.markmancina.com/

 

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スピード  SPEED

作曲:マーク・マンシーナ
Composed by MARK MANCINA

指揮:ドン・ハーパー
Conducted by DON HARPER

(米Fox / 07822-11010-2) 1994

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1994年製作のアメリカ映画。「ダイ・ハード」(1988)「ブラック・レイン」(1989)「レッド・オクトーバーを追え!」(1990)「氷の微笑」(1992)等の撮影監督を担当したヤン・デ・ボンが、この映画で監督デビューしている。出演はキアヌ・リーヴス、デニス・ホッパー、サンドラ・ブロック、ジョー・モートン、ジェフ・ダニエルズ、アラン・ラック、グレン・プラマー、リチャード・ラインバック他。脚本はグレアム・ヨスト、撮影はアンジェイ・バートコウィアク(彼も後に監督になった)。

LAを舞台に、SWAT隊員(リーヴス)と爆弾魔(ホッパー)との攻防を描いたアクション映画だが、ストーリーのコアになっている「バスに仕掛けた爆弾が時速50マイル以下にスピードが落ちると爆発する」というアイデアは、実はこの映画のオリジナルではない。これより20年ほど前の1975年に佐藤純弥監督が東映で製作した「新幹線大爆破」という邦画で、これと全く同じアイデアが使われている。この映画は脚本が実によく練られており、日本で作られたサスペンス映画のベストの一つだろう。これより更に10年ほど前の1966年にアメリカで製作されたTV映画で「夜空の大空港(The Doomsday Flight)」という作品があり、ここではある一定の高度以上になるとメインスイッチが入り、次に一定の高度以下に下がると爆発する爆弾をジェット旅客機に仕掛けた犯人と航空管制官との息詰まる駆け引きが描かれていた。このTV映画の監督はウィリアム・グレアムで出演はジャック・ロード、ヴァン・ジョンソン、エドモンド・オブライエン等だったが、脚本を「(TV)ミステリー・ゾーン」のクリエーターとして有名なロッド・サーリングが担当しており、全てのアイデアの原点はここにあるような気がする(しかもこのシチュエーションの解決方法もサーリング版が最もスマートで素晴らしい)。「スピード」は、むしろ中盤のバスの部分が長くて少しダレるが、冒頭のエレベーターを利用したサスペンスからバス、そして空港へと展開し、ここで一旦終わったかと思わせておいて更に地下鉄でのアクションにもっていくところが巧い。この映画は1994年度アカデミー賞の音響効果編集賞と録音賞を受賞している。監督のヤン・デ・ボンは、この次に撮った「ツイスター」(1996)はまだ良かったが、「スピード2」(1997)で大いにがっかりさせられ、「ホーンティング」(1999)で完全に監督としての信用を失ったと言える。

音楽はハンス・ジマー率いるメディア・ヴェンチャーズ一派のマーク・マンシーナが担当しており、これは彼が単独でスコアを担当した第一作である。「Main Title」は静かなイントロからスピード感のあるリズミックなタイトル音楽へと続き、そしてヒロイックなタッチのメインの主題へと展開していく。その後、この主題を随所に散りばめたシンセ+オケによるハイテンションなアクションスコアが「The Rescue」「Entering Airport」「Rush Hour」「The Gap」「Choppers」「Fight on Train」「City Streets」「Freight Elevator」と続く(サントラCDの曲順は映画の展開と一致していない)が、ずっと同じタッチなので単調になりがちなところを色々と工夫して変化をつけている。ラストの「End Title」はヒロイックなメインの主題がリプライズされる。

マンシーナはメディア・ヴェンチャーズのメンバー中ではハンス・ジマーからの影響が比較的少なく、独自の作風を維持している作曲家と言える。
(2002年8月)

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ドメスティック・フィアー   DOMESTIC DISTURBANCE

作曲:マーク・マンシーナ
Composed by MARK MANCINA

指揮:ドン・ハーパー
Conducted by DON HARPER

演奏:ハリウッド・スタジオ交響楽団
Performed by the Hollywood Studio Symphony

(米Varese Sarabande / 302 066 313 2) 2001

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2001年製作のアメリカ映画。製作・監督は「シー・オブ・ラブ」(1989)「冷たい月を抱く女」(1993)「訣別の街」(1996)「マーキュリー・ライジング」(1998)等のハロルド・ベッカー。出演はジョン・トラヴォルタ、ヴィンス・ヴォーン、テリー・ポロ、マシュー・オリアリー、スティーヴ・ブシェミ、クリス・エリス他。ルイス・コリック、ウィリアム・S・コマナー、ゲイリー・ドラッカーの原案を基にルイス・コリックが脚本を執筆。撮影はマイケル・セレシン。ボートの設計技師フランク(トラヴォルタ)は数年前に妻と離婚し、11歳になる息子ダニー(オリアリー)とも離ればなれの生活を送っていた。ダニーは、母親が再婚した裕福な工場経営者である継父の殺人を偶然目撃してしまうが、警察は彼の話をまともに取り合ってくれない。ただ一人彼の言葉を信じるフランクは、継父の身辺を独自に調べ始める……。

音楽は「スピード」のスコアでブレイクしたマーク・マンシーナが作曲している。冒頭の「Domestic Disturbance」はミステリアスなタッチで、メインの主題がジェリー・ゴールドスミスの「氷の微笑」に少し似ている。「Guys Sailing」は平和でジェントルな曲。「Bitter Suite」はメインの主題のバリエーション。「Run Away!」はオーケストラによるハイテンションなサスペンス音楽。「Montage / Frank in Action」「Murder」「Frank Flicks Lighter」「Fire Part1」等もサスペンスタッチで、同じ調子の音楽が続く。「Fire Part2」「Fight / Aftermath」は激しくダイナミックなアクション音楽で、なかなか上手い。後者のラストは静かなフィナーレで締めくくる。全体が短いのでアっという間に終わってしまうが、アクションスコア部分のパワーとテンションは特筆すべきもので、この手のジャンルにおけるマンシーナ独自の才能を感じさせる。
(2002年8月)

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バッドボーイズ BAD BOYS

作曲:マーク・マンシーナ
Composed by MARK MANCINA

指揮:ニック・グレニー=スミス
Conducted by NICK GLENNIE-SMITH

(米La-La Land / LLLCD 1057)

1995年製作のアメリカ映画。監督は「ザ・ロック」(1996)「アルマゲドン」(1998)「パール・ハーバー」(2001)「バッドボーイズ2バッド」(2003)「アイランド」(2005)「トランスフォーマー」(2007)等のマイケル・ベイ。出演はマーティン・ローレンス、ウィル・スミス、テア・レオーニ、チェッキー・カリョ、ジョー・パントリアーノ、テレサ・ランドル、マーグ・ヘルゲンバーガー、ネスター・セラーノ、ジュリオ・オスカー・メチョソ、サヴェリオ・ゲッラ、マイケル・インペリオリ他。ジョージ・ギャロの原案を基にマイケル・バリー、ジム・マルホランドとダグ・リチャードソンが脚本を執筆。撮影はハワード・アサートン、製作はドン・シンプソンとジェリー・ブラッカイマー。マイアミ警察内部に保管されていた1億ドル相当の押収ヘロインが何者かによって盗み出された。責任者のハワード警部(パントリアーノ)は、内部調査班が乗り出してくる前の72時間以内にヘロインを奪還すべく、マーカス・バーネット刑事(ローレンス)とマイク・ロウリー刑事(スミス)に捜査を命じる……。

音楽はこの手のアクション映画を得意とするマーク・マンシーナが担当しており、オーケストラとシンセサイザーの組み合わせによるダイナミックなスコアを提供している。冒頭の「Prologue - The Car Jacking」は、リズミックなプロローグ。「Bad Boys - Main Title / Heist」は、ストイックなタッチのメインの主題から、強奪シーンのサスペンスフルな音楽へと展開。マンシーナがこの作品の前年に手がけた出世作「スピード」(1994)のスコアに似たタッチ。このメインの主題は、「JoJo, What you Know?」「Dead Guy」「Don't Honey Me Baby!」「My Bologna Has a First Name?」等でも繰り返し登場する。「Air Conditioning Inspection」「Killing Max」「Escape from Julie's」「Julie's Got A Gun」「Tailing Lab Tech / Blown Cover」等は、抑制されたサスペンス音楽。「The Boys Find Max」「Into Lois' Apartment」「You're Going to Leave Me Alone?」「We Don't Want to Lose You」等は、ややメランコリックなタッチのギターをフィーチャーした曲。「Escape from Club Hell / Ether Chase」「Footchase」「Hanger Shootout」等は、マンシーナ本領発揮のビジーで激しいアクション音楽。ラストの「Bad Boys Main Title - Edited Film Version」は、メインタイトルの映画で流れたバージョン。このCDは米La-La Landレーベルが映画公開から12年後の2007年にリリースしたサントラ盤で、3,000枚の限定プレス。
(2007年11月)

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スピード2 SPEED 2: CRUISE CONTROL

作曲:マーク・マンシーナ
Composed by MARK MANCINA

指揮:ドン・ハーパー
Conducted by DON HARPER

(米La-La Land Records / LLLCD 1138)

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1997年製作のアメリカ映画。製作・監督は「ナイルの宝石」(1985)「ダイ・ハード」(1988)「ブラック・レイン」(1989)「レッド・オクトーバーを追え!」(1990)「氷の微笑」(1992)等の撮影監督や「スピード」(1994)「ツイスター」(1996)「ホーンティング」(1999)「トゥームレイダー2」(2003)等の監督を手がけているヤン・デ・ボン。出演はサンドラ・ブロック、ジェイソン・パトリック、ウィレム・デフォー、テムエラ・モリソン、ブライアン・マッカーディー、クリスティン・ファーキンス、マイケル・G・ハガーティ、コリーン・キャンプ、ロイス・チャイルズ、フランシス・ギナン、タミア、キミー・ロバートソン、ボー・スヴェンソン、ローヤル・ワトキンス、グレン・プラマー、ジョー・モートン他。脚本はランドール・マコーミック、ジェフ・ネイサンソンとヤン・デ・ボン。撮影はジャック・N・グリーン。ヤン・デ・ボンが監督デビューした「スピード」(1994)の続編。ジャック(前作のキアヌ・リーヴス)と別れたアニー(ブロック)は、新しい恋人でSWAT隊員のアレックス・ショー(パトリック)とカリブ海1週間の豪華クルージングの旅に出ることに。彼らが乗り込んだ客船シーボーン・レジェンド号では、全米の宝石商が3億ドルを越えるダイヤを持ち寄り、ジュエリー・コンベンションを開催しようとしていた。それを狙って、この船の自動操縦プログラムの元設計者だったジョン・ガイガー(デフォー)が、船に爆弾を仕掛けたとシージャックを宣言する……。前作「スピード」は傑作だったが、この続編は稚拙な脚本と演出のせいでラジー賞(ゴールデン・ラズベリー賞)のワースト作品賞を含む8部門にノミネートされた上に興行的にも失敗。次作の「ホーンティング」も不評だったヤン・デ・ボンは、映画監督としてのキャリアが一気に失速。エンディング・テーマ曲を小室哲哉がプロデュースしていた。

音楽は「スピード」に引き続きマーク・マンシーナが作曲。前作の主題を織り込んだ、オーケストラと打ち込みによるアップビートでダイナミックなアクション・スコアを展開。「Twentieth Century Fox Fanfare / Motorcycle Chase」は、アルフレッド・ニューマン作曲の有名なフォックス・ファンファーレの最後の音が歪んで、そのまま1作目の主題を含むダイナミックでパワフルなアクション音楽へと切れ目なしに続く(ファンファーレそのものの一部を編曲してスコアに取り込んだ例には、デヴィッド・ニューマン作曲の「ローズ家の戦争」やエリオット・ゴールデンタール作曲の「エイリアン3」がある)。「Alex and Annie / Caribbean Cruise」は、リリカルなアレックスとアニーの主題から、カリブ海を描写したトロピカルでリズミックな主題へ。「Engine Room」は、サスペンス音楽。「Overboard」「Last Lifeboat」は、ストイックなメインの主題を含むサスペンスアクション音楽。「Goodbye, Alex」は、サスペンス調から後半は1作目の主題を織り込んだダイナミックなアクション音楽へ。「Reunion」も、1作目の主題を含む抑制されたサスペンス音楽。後半も、「Tanker Turn」「Gieger Grabs Annie」「Escape」等、マンシーナが得意とするハイテンションなサスペンスアクション音楽が連続。「The Harbor」「Final Chase」「Underwater Rescue」は、ストイックなメインの主題を織り込んだクライマックスのアクション音楽。ラストの「Cruising」は、明るくトロピカルな主題で締めくくる。映画公開から13年後の2010年に米La-La Landレーベルがリリースしたスコアの初アルバム化で、3,000枚限定プレス。

マーク・マンシーナが手がけた作品には「バトル・ウォーズ(Rage to Kill)」(1987)「スペース・ミューティニー(Space Mutiny)」(1988)「(未公開)ナイト・ウォーズ(Night Wars)」(1988)「(未公開)Code Name Vengeance」(1989)「(未公開)Hell on the Battleground」(1989)「(未公開)Future Force」(1990)「(未公開)Death Chase」(1990)「(未公開)Born Killer」(1991)「(未公開)ロスト・プラトーン(The Lost Platoon)」(1991)「(未公開)犬の眠る場所(Where Sleeping Dogs Lie)」(1991)「(未公開/TV)Millennium: Tribal Wisdom and the Modern World」(1992)「(未公開)Taking Liberty」(1993)「(未公開/TV)Space Rangers」(1993)「(TV)ライフポッド(Lifepod)」(1993)「ゆかいな天使(ペット)/トラブるモンキー(Monkey Trouble)」(1994)「スピード(Speed)」(1994)「(未公開)Born Wild」(1995)「(未公開)ママのフィアンセ/結婚に異議あり!(Man of the House)」(1995)「バッドボーイズ(Bad Boys)」(1995)「暗殺者(Assassins)」(1995)「フェア・ゲーム(Fair Game)」(1995)「マネートレイン(Money Train)」(1995)「ツイスター(Twister)」(1996)「モル・フランダース(Moll Flanders)」(1996)「(TV)ポルターガイスト'96/悪魔の遺産(Poltergeist: The Legacy)」(1996)「コン・エアー(Con Air)」(1997)「スピード2(Speed 2: Cruise Control)」(1997)「(未公開/TV)Soldier of Fortune, Inc.」(1997)「(TV)フロム・ジ・アース[人類、月に立つ](From the Earth to the Moon)」(1998)「(未公開)リターン・トゥ・パラダイス(Return to Paradise)」(1998)「(TV)フーディーニ/天才魔術師の生涯(Houdini)」(1998)「ターザン(Tarzan)」(1999)「(未公開/TV)The Strip」(1999)「(未公開)Auggie Rose」(2000)「(未公開)ワイルド・チェイス(Bait)」(2000)「トレーニング デイ(Training Day)」(2001)「ドメスティック・フィアー(Domestic Disturbance)」(2001)「(未公開)仮面の真実(The Reckoning)」(2003)「(未公開)Early Bloomer」(2003)「ブラザー・ベア(Brother Bear)」(2003)「ホーンテッドマンション(The Haunted Mansion)」(2003)「(未公開)アサイラム/閉鎖病棟(Asylum)」(2005)「(V)ターザン2(Tarzan II)」(2005)「(TV)BLOOD+(Blood+)」(2005〜2006)「(TV)クリミナル・マインド FBI行動分析課(Criminal Minds)」(2005〜2009)「(未公開/TV)A House Divided」(2006)「(未公開)Camille」(2007)「ザ・シューター/極大射程(Shooter)」(2007)「奇跡のシンフォニー(August Rush)」(2007)「(未公開)エディ・マーフィの劇的1週間(Imagine That)」(2009)「(未公開)Hurricane Season」(2009)「(未公開)The Lost Medallion: The Adventures of Billy Stone」(2010)「(未公開)Sheepish」(2010)等がある。
(2010年7月)

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