Date of Birth: 1933/10/6
Place of Birth: Birmingham, England, UK
Date of Death: 1993/11/9
Mini Biography:
Myers got his start in television, beginning at the BBC with such series as "Z-Cars" and "Doctor Who." His first motion picture score was "Kaleidoscope" for director Jack Smight in 1966. He was one of the first composers to realize the importance of incorporating electronic music with a classical orchestra. He was a frequent collaborator of filmmakers Stephen Frears, Volker Schlondorff and Jerzy Skolimovski. In the early 1980s, he became mentor to a number of young composers, including Hans Zimmer, Harry Gregson-Williams, and Richard Harvey. He also organized Lillie Yard Studio in London, which featured the latest in music technology. At the time of his death, he was working on the music for the BBC series "Middelmarch," for which he posthumously won both the BAFTA Award and the Ivor Novello Award for best television music.
(TV)火星年代記 THE MARTIAN CHRONICLES
作曲・指揮:スタンリー・マイヤーズ
Composed and Conducted by STANLEY MYERS
(米Airstrip One / AOD 003)
レイ・ブラッドベリによるSF小説の名作『火星年代記』を米国で1979年にTVムービー化した作品。「Part One: The Expeditions」「Part Two: The Settlers」「Part Three: The Martians」の3話から成るミニ・シリーズとして製作され、日本での放映時には@「探検隊応答ナシ」A「宇宙都市への脱出」B「火星復活の日」とのサブタイトルが付けられていた。監督は「暁の出撃」(1954)「80日間世界一周」(1956)「生きていた男」(1958)「さらばベルリンの灯」(1966)「2300年未来への旅」(1976)等のマイケル・アンダーソン。出演はロック・ハドソン、ダーレン・マクギャヴィン、フリッツ・ウィーヴァー、ゲイル・ハニカット、バーナデット・ピータース、ロディ・マクドウォール、バリー・モース、バーニー・ケイシー、ロバート・ビーティ、ニリー・ドーン・ポーター、マリア・シェル、ジョイス・ヴァン・パタン、ジョン・フィンチ、クリストファー・コネリー、アンソニー・ピューレン・ショウ他。脚本はブラッドベリと同じく著名なSF/ファンタジー作家で、「縮みゆく人間」(1957)「激突!」(1972)「ヘルハウス」(1973)「(TV)恐怖のレストラン」(1973)「(TV)恐怖と戦慄の美女」(1975)「ある日どこかで」(1980)等の原作・脚本も担当しているリチャード・マシスンが執筆。撮影はテッド・ムーア、SFXはジョン・ステアーズ、製作はアンドリュー・ドナリーとミルトン・サボツキーが担当。
第1部では、過去に失敗に終わった二度の探検隊に続き、ジョン・ワイルダー大佐(ハドソン)率いる三度目の探検隊が火星に到着し、平穏に暮らしていた火星人の大半が過去に地球人の持ち込んだ水疱瘡によって滅亡したことを発見する。第2部では、火星に地球からの移民が大挙して押し寄せるが、地球に核戦争の危機が迫り、移民たちは次々と引きあげていく。第3部では、火星に残ったワイルダーを含むわずかな人々が孤独と戦いながらもそれぞれの生き方を模索していく・・。レイ・ブラッドベリの原作小説はエンディングが特に感動的だった。ブラッドベリはリチャード・マシスンが書いた脚本に満足していたが(二人は事前に脚色について打ち合わせている)、その後撮影中に主演俳優等の意見で脚本がどんどん変更されていき、最終的に完成した作品を見たブラッドベリは「退屈極まりない」と不満を露わにしたという。もともと1979年の9月にTV放映する予定でいたNBCは、原作者による不評がプレスに与えた影響を心配し、1980年の1月まで放映を延期した。尚、レイ・ブラッドベリの原作の映画化には、この作品の他に「イット・ケイム・フロム・アウター・スペース」(1953)「原子怪獣現わる」(1953)「華氏451」(1966)「いれずみの男」(1968)「何かが道をやってくる」(1983)等があり、彼自身ジョン・ヒューストン監督の「白鯨」(1956)等の脚本も担当している。
音楽はイギリスの作曲家スタンリー・マイヤーズ。マイケル・チミノ監督の「ディア・ハンター」(1978)のスコアで、おそらく最もよく知られている人だろうが、あまりイギリス的な個性を感じさせない作曲家だと思う。このスコアは、あまり編成の大きくないオーケストラに電子楽器やパン・フルート(いずれもマイヤーズの弟子であるリチャード・ハーヴェイが演奏している)等を付加した構成となっているが、この手の作品に重要な“センス・オブ・ワンダー”の感覚はそれなりに感じさせる。「Prologue」は躍動的なプロローグ。続くメインテーマ「The Martian Chronicles Theme」はやや民族色を感じさせる幻想的な音楽。「Space March」はロック調の勇壮なマーチ。「Mask of Conflict」「David is Confused」「Chase in First Town」等での電子楽器の使い方には時代を感じさせる。「Mrs.Black's Piano」はクラシカルなピアノ曲。「Spender's Anger / One of Our Own」はいかにもTV的なロック音楽でチープさは否めない。「The Silver Locusts」は勇壮なファンファーレからロック調のマーチへ展開するが、やや単調。「Placing the Explosives / Canal Journey」「The Million-Year Picnic」ではメインの主題のバリエーションが展開。「End Titles」はメインの主題のロック・バージョンによるエンドタイトル。全体的にあまり印象的な主題は登場しない。尚、このCD(3,000枚限定プレス)のエグゼクティブ・プロデューサーはPrometheusレーベルのLuc Van de Ven氏が担当している。また、スタンリー・マイヤーズのアシスタントを7年間務め、彼から映画音楽の指南を受けたハンス・ジマーがCDのライナーノーツにコメントを寄せている。
スタンリー・マイヤーズが担当したその他の作品には、「カレードマン大胆不敵」(1966)「ユリシーズ」(1967)「私は誘拐されたい」(1968)「地獄のかけひき」(1968)「殺しの接吻」(1968)「としごろ」(1969)「マロニエの別れ道」(1970)「ヘンリー・ミラーの北回帰線」(1970)「地下組織」(1970)「青春は悲しみの淵に」(1970)「電撃脱走・地獄のターゲット」(1972)「つかの間の情熱」(1972)「ある愛のすべて」(1972)「地獄のキャラバン隊」(1974)「ケープタウン」(1974)「とどめの一発」(1975)「軍旗の陰影」(1975)「ディア・ハンター」(1978)「愛はエーゲ海に燃ゆ」(1978)「呪われた森」(1980)「錆びた黄金」(1981)「チャタレイ夫人の恋人」(1982)「死霊の悪夢」(1982)「ブラインドデート/盲目の目撃者」(1983)「愛と名誉のために」(1983)「O嬢の物語
第二章」(1984)「ライトシップ」(1985)「マリリンとアインシュタイン」(1985)「マイ・ビューティフル・ランドレット」(1985)「ドリームチャイルド」(1985)「悪魔のサバイバル」(1985)「第2の勝利」(1986)「キラー・ウィンド/嵐の中の猟奇殺人」(1986)「真昼の決闘'88/殺戮汚染都市」(1987)「プリック・アップ」(1987)「漂流者/2人だけの島」(1987)「トラック29」(1987)「サミー&ロージィ/それぞれの不倫」(1987)「孤独のヒーロー/タフィン」(1987)「裏切りの街角」(1987)「あなたがいたら/少女リンダ」(1987)「ペーパーハウス/霊少女」(1988)「白昼の暗殺者/ローマ法王を狙撃した男」(1988)「THE
BOOST/引き裂かれた愛」(1988)「ミスター・サンデー」(1989)「ジム・ヘンソンのウィッチズ」(1989)「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」(1990)「ボイジャー」(1991)「アイアン・メイズ/ピッツバーグの幻想」(1991)「サラフィナ!」(1992)「コールド・ヘブン/悪夢の再会」(1992)「スナッパー」(1993)等がある。マイヤーズは「プリック・アップ」で1987年度カンヌ国際映画祭の芸術貢献賞を受賞している。
(2003年1月)
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