レス・バクスター
 Les Baxter

Date of Birth: 1922/3/14
Place of Birth: Mexia, Texas, USA
Date of Death: 1996/1/15
Mini Biography:
Baxter studied piano at the Detroit Conservatory before moving to Los Angeles for further studies at Pepperdine College. Abandoning a concert career as a pianist he turned to popular music as a singer, and at the age of 23 he joined Mel Torme's Mel-Tones, singing on Artie Shaw records such as "What Is This Thing Called Love". He then turned to arranging and conducting for Capitol Records in 1950 and was responsible for the early Nat "King" Cole hits, "Mona Lisa" and "Too Young". In 1953 he scored his first movie, the sailing travelogue "Tanga Tika". With his own orchestra he released a number of hits including "Ruby" (1953), "Unchained Melody" (1955) and "The Poor People Of Paris" (1956). He also achieved success with concept albums of his own orchestral suites, "Le Sacre Du Sauvage", "Festival Of The Gnomes", "Ports Of Pleasure and Brazil Now". In the 60s, he formed the Balladeers, a besuited and conservative folk group that at one time featured a slim and youthful David Crosby. He operated in radio as musical director of Halls Of Ivy and the Bob Hope and Abbott & Costello shows; he also worked on film music, composed and conducted scores for Roger Corman's Edgar Allan Poe films and other horror stories. In the 80s, he scored music for theme parks and seaworlds. In the 90s, he was widely celebrated, alongside Martin Denny and Arthur Lyman Group, as one of the progenitors of what had become known as the "exotica" movement.

 

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空飛ぶ戦闘艦 MASTER OF THE WORLD

作曲:レス・バクスター
Composed by LES BAXTER

指揮:カル・カーター(再録音部分)
Conducted by CAL CARTER (Re-recording version)

(米Intrada / ISE 1029)

1961年製作のアメリカ映画。監督は「拳銃に生きる男」(1954)「サンタフェへの道」(1955)「空挺肉弾部隊」(1959)「大襲撃」(1964)「無法のライフル」(1966)等のウィリアム・H・ウィットニー。出演はヴィンセント・プライス、チャールズ・ブロンソン、ヘンリー・ハル、メアリー・ウェブスター、デヴィッド・フランカム、リチャード・ハリソン、ヴィトー・スコッティ、ウォーリー・カンポ、ピーター・ベスバス、ゴードン・ジョーンズ、ケン・テレル他。「月世界旅行」(1902)「海底二万哩」(1954)「80日間世界一周」(1956)「地底探険」(1959)等のクラシックSF映画の原作者として知られるジュール・ヴェルヌの小説『Master of the World』『Rubur, the Conqueror』を基に、「地球最後の男 オメガマン」(1971)「激突!」(1971)「ヘルハウス」(1973)「ある日どこかで」(1980)等のSF/ホラー作品の原作者であり脚本家でもあるリチャード・マシスンが脚本を執筆。撮影はギルバート・ウォーレントン。地球上から戦争を根絶するため、兵器を有する軍隊を全て破壊しようとする征服者ロバー(プライス)。彼の飛行艇に捕らえられた科学者のプルーデント(ハル)とその娘ドロシー(ウェブスター)、政府の情報部員ジョン・ストロック(ブロンソン)は、ロバーの企みを阻止しようとするが……。ロジャー・コーマン監督/ヴィンセント・プライス主演の一連のエドガー・アラン・ポー原作映画を製作したアメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ(AIP)によるSFアドヴェンチャー作品。

音楽はAIP作品のスコアを40本以上手がけているレス・バクスター。公開当時、100人編成のオーケストラ(The "100 Men")により再録音されたLPが米Vee Jayレーベルより出ており、これは私がサントラ収集を始めた頃に購入したアルバムの1つで、個人的に実に懐かしいスコア。今回米IntradaレーベルがリリースしたCDには、上記再録音と共に今回新たに発見されたオリジナルのサントラ音源も収録されている。最初の7曲はオリジナル音源で、「Main Title and Dreams of Flight」は、ビジーなイントロからヒロイックなメインの主題、そして優雅なワルツへと展開する曲。“センス・オブ・ワンダー”を感じさせる。「Topage」は、コミカルで軽快なタッチ。「Betrayed and Discipline」は、ビジーでダイナミックな曲。「Flight Concerto」は、ロマンティックなピアノ・コンチェルト風の曲。「The Mountains」は、ストイックなタッチのマーチ風の主題。「End Title」は、男声ヴォーカルによる大らかなエンドタイトル。「Come Dance With Me [Exit Music]」は、ワルツの主題のコーラス・バージョン。続いて上記Vee Jayレーベルの再録音版全12曲が収録されており、一部の曲はオリジナル音源の曲と重複している(アレンジが少し異なる)。「The Albatross」は、大らかでヒロイックな主題。「Mediterranean」は、優雅でロマンティックな曲。「Over the Rocks」は、ビジーでダイナミック。「Master of the World」は、ピアノ・コンチェルト風の曲。「Philadelphia」は、優雅なタッチ。「Drifting Clouds」は、メインのヒロイックな主題とワルツの主題。最後は大らかなフィナーレ「Finale」で締めくくる。
このIntradaのCDは2枚組となっており、2枚目には同じレス・バクスター作曲の「鉄腕ゴライアス・蛮族の恐怖(GOLIATH AND THE BARBARIANS)」(1959/監督:カルロ・カンポガリアーニ/出演:スティーヴ・リーヴス他)のスコアを収録。限定1000セットで、Intradaのサイトでは発売から数時間で完売した。

レス・バクスターは、ロナルド・スタインと共にAIP社の常勤作曲家だった時期があり、同社がアメリカでの配給権を買い付けたヨーロッパ映画(マリオ・バーヴァ監督のホラー映画等)のアメリカ公開版のスコアを新たに作曲する仕事も担当していた。レス・バクスターが手がけた作品には「不良少女モニカ(Sommaren med Monika, aka Monika, the Story of a Bad Girl)」(1953/US version)「(未公開)Tonga Tika」(1953)「(未公開)It's Everybody's Business」(1954)「(未公開)A Life at Stake」(1954)「(未公開)イエロー・トマホーク(The Yellow Tomahawk)」(1954)「(未公開)Farlig frihet」(1954/US version)「(未公開)Hot Blood」(1956)「(未公開)Wetbacks」(1956)「殴り込み大平原(Quincannon - Frontier Scout)」(1956)「(未公開)悪魔の生体実験(The Black Sleep)」(1956)「(未公開)Rebel in Town」(1956)「(未公開)Hot Cars」(1956)「(未公開)A Woman's Devotion」(1956)「(未公開)Tomahawk Trail」(1957)「(未公開)Pharaoh's Curse」(1957)「(未公開)恐怖の人喰い植物(Voodoo Island)」(1957)「(未公開/TV)Fury - My Horse Ajax」(1957)「アパッチ騎兵隊(War Drums)」(1957)「早射ち拳銃王(The Storm Rider)」(1957)「(未公開)ララミー砦の反乱(Revolt at Fort Laramie)」(1957)「(未公開)Untamed Youth」(1957)「(未公開)Jungle Heat」(1957)「(未公開)Outlaw's Son」(1957)「(未公開)Bop Girl Goes Calypso」(1957)「(未公開)The Girl in Black Stockings」(1957)「(未公開)Hell Bound」(1957)「宇宙への冒険(The Invisible Boy)」(1957)「死の谷の決斗(Escape from Red Rock)」(1957)「(未公開)The Dalton Girls」(1957)「(未公開)全滅ボーイ砦(Fort Bowie)」(1958)「(未公開)The Bride and the Beast」(1958)「(未公開)ローン・レンジャー 失われた黄金郷(The Lone Ranger and the Lost City of Gold)」(1958)「(未公開)The Fiend Who Walked the West」(1958)「(TV)名犬ラッシー(Lassie - The Storm)」(1958)「(未公開)Macabre」(1958)「(未公開)La ciudad sagrada」(1959)「鉄腕ゴライアス・蛮族の恐怖(Il terrore dei barbari, aka Goliath and the Barbarians)」(1959/US version)「(未公開)Saiyu-ki, aka Alakazam the Great」(1960)「(未公開)Nebo zovyot, aka Battle Beyond the Sun」(1960/US version)「アッシャー家の惨劇(House of Usher)」(1960)「血ぬられた墓標(La maschera del demonio, aka Black Sunday)」(1960/US version) 「豪勇ゴライアス(La vendetta di Ercole, aka Goliath and the Dragon)」(1960/US version)「(未公開)Marco Polo, aka L'avventura di un italiano in Cina」(1961/US version)「(未公開)Fall Girl」(1961)「(未公開)Maciste contro il vampiro, aka Goliath and the Vampires」(1961/US version)「(未公開)原始獣レプティリカス(Reptilicus)」(1961/US version)「空飛ぶ戦闘艦(Master of the World)」(1961)「恐怖の振子(Pit and the Pendulum)」(1961)「(未公開)Maciste alla corte del Gran Khan, aka Goliath and the Golden City」(1961/US version) 「(未公開)L'ammutinamento, aka White Slave Ship」(1961/US version)「バイキングの復讐(Gli invasori, aka Erik the Conqueror)」(1961/US version)「海賊旗を上げろ(Il terrore dei mari, aka Guns of the Black Witch)」(1961/US version)「(未公開)Daughter of the Sun God」(1962)「姦婦の生き埋葬(Premature Burial)」(1962)「(未公開)Lost Battalion」(1962)「黒猫の怨霊(Tales of Terror)」(1962)「性本能と原爆戦(Panic in Year Zero!)」(1962)「(未公開)La guerra continua」(1962/US version)「(未公開)ヤングレーサー(The Young Racers)」(1963)「タブウ(I tabu, aka Taboos of the World)」(1963/US version)「忍者と悪女(The Raven)」(1963)「(未公開)知りすぎた少女(La ragazza che sapeva troppo, aka The Evil Eye)」(1963/US version)「(未公開)Operation Bikini」(1963)「(未公開)The Terror」(1963)「やめないで!もっと(Beach Party)」(1963)「(未公開)ブラック・サバス/恐怖!三つの顔(I tre volti della paura, aka Black Sabbath)」(1963/US version)「(未公開)Zorro contro Maciste」(1963/US version)「(未公開)X線の眼を持つ男(X, aka Man with the X-Ray Eyes)」(1963)「(未公開)ディメンシャ13(Dementia 13)」(1963)「(未公開)The Comedy of Terrors」(1964)「(未公開)ムキムキ・ビーチ(Muscle Beach Party)」(1964)「(未公開)ビキニ・ビーチ(Bikini Beach)」(1964)「(未公開)The Mighty Jungle」(1964)「(未公開)パジャマ・パーティ(Pajama Party)」(1964)「(未公開/TV)宇宙怪獣の恐怖(Space Monster)」(1965)「(未公開/TV)The Eye Creatures」(1965)「(未公開)Beach Blanket Bingo」(1965)「(未公開)How to Stuff a Wild Bikini」(1965)「(未公開)爆笑!ミサイル大騒動(Sergeant Dead Head)」(1965)「ビキニマシン(Dr. Goldfoot and the Bikini Machine)」(1965)「(未公開)The Ghost in the Invisible Bikini」(1966)「(未公開)火の玉レーサー(Fireball 500)」(1966)「(未公開)Le spie vengono dal semifreddo, aka Dr. Goldfoot and the Girl Bombs)」(1966/US version)「(未公開)Sadismo」(1967)「(未公開)セルバンテス(Cervantes)」(1967/US version)「(未公開)狂った青春(Wild in the Streets)」(1968)「地獄の暴走(The Mini-Skirt Mob)」(1968)「ヤング・アニマル(The Young Animals)」(1968)「南海のフリーセックス(Bora Bora)」(1968/US version)「(未公開)Terror in the Jungle」(1968)「(未公開)ターゲット・ハリー(Target: Harry)」(1969)「(未公開)All the Loving Couples」(1969)「デンジャー(Flareup)」(1969)「(未公開)H・P・ラヴクラフトのダンウィッチの怪(The Dunwich Horror)」(1970)「(未公開)Hell's Belles」(1970)「(未公開)バンシーの叫び(Cry of the Banshee)」(1970)「(未公開)Trampa para una nina」(1971)「(未公開)El ogro」(1971)「(未公開)小娘ピンク繁盛記(Dagmars Heta Trosor)」(1971)「(未公開)Blood Sabbath」(1972)「(未公開)An Evening of Edgar Allan Poe」(1972)「(未公開)One Minute Before Death」(1972)「(未公開)処刑男爵(Gli orrori del castello di Norimberga, aka The Torture Chamber of Baron Blood)」(1972/US version)「吸血の群れ(Frogs)」(1972)「(未公開)The Devil and Leroy Bassett」(1973)「(未公開)脱出!処刑の島(I Escaped from Devil's Island)」(1973)「(未公開)セクシー・ソルジャーズ(Savage Sisters)」(1974)「スウィッチブレイド・シスターズ(Switchblade Sisters)」(1975)「(未公開)Born Again」(1978)「(TV)スーザンの素敵な冒険(The Girl Who Saved the World)」(1979)「(未公開/TV)The Curse of Dracula」(1979)「(未公開/TV)The Secret Empire」(1979)「(TV)キャプテン・ロジャース(Buck Rogers in the 25th Century - Vegas in Space)」(1979)「(未公開)戦慄!呪われた夜(The Beast Within)」(1982)「(未公開)Reflection of Evil」(1989)「(未公開)Yma Sumac - Hollywoods Inkaprinzessin」(1991)「(未公開)Lightning in a Bottle」(1993)等がある。
(2009年5月)

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アッシャー家の惨劇 HOUSE OF USHER

作曲・指揮:レス・バクスター
Composed and Conducted by LES BAXTER

(米Intrada / Intrada Special Collection Volume 159)

1960年製作のアメリカ映画。製作・監督は「(未公開)リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」(1960)「ワイルド・エンジェル」(1966)「聖バレンタインの虐殺/マシンガン・シティ」(1967)「(未公開)血まみれギャングママ」(1970)「レッド・バロン」(1971)「デス・レース2000年」(1975)「バニシングIN TURBO」(1976)「ピラニア」(1978)「宇宙の7人」(1980)「(未公開)フランケンシュタイン/禁断の時空」(1990)等、多数の作品の製作(一部監督も)を手がけている“B級映画の帝王”ロジャー・コーマン。出演はヴィンセント・プライス、マーク・ダモン、マーナ・ファヘイ、ハリー・エラービー、エレノア・ルファーバー、ルース・オークランダー、ジェラルディン・ポーレット、デヴィッド・アンダー、ビル・ボーゼイジ、マイク・ジョーダン、ジョージ・ポール、フィル・サルヴェストル、ジョン・ジミーズ他。エドガー・アラン・ポーの短編小説『アッシャー家の崩壊(The Fall of The House of Usher)』を基に、「激突!」(1971)「ヘルハウス」(1973)「(TV)恐怖と戦慄の美女」(1975)「ある日どこかで」(1980)「トワイライトゾーン/超次元の体験」(1983)「奇蹟の輝き」(1998)「アイ・アム・レジェンド」(2007)「運命のボタン」(2009)等のリチャード・マシスンが脚本を執筆。撮影はフロイド・クロスビー。ロジャー・コーマンが自ら主宰する映画会社American International Pictures(AIP)でポーの原作を映画化した一連のホラー映画の1つで、この作品のほかには「恐怖の振子(THE PIT AND THE PENDULUM)」(1961)「黒猫の怨霊(TALES OF TERROR)」(1962)「姦婦の生き埋葬(THE PREMATURE BURIAL)」(1962)「忍者と悪女(THE RAVEN)」(1963)「(未公開)赤死病の仮面(THE MASQUE OF THE RED DEATH)」(1964)「(未公開)黒猫の棲む館(TOMB OF LIGEIA)」(1964)がある。このうち、「姦婦の生き埋葬」以外には、怪奇映画の名優ヴィンセント・プライスが主演しており、リチャード・マシスン「恐怖の振子」「黒猫の怨霊」「忍者と悪女」の脚本も担当している。晩秋のニューイングランド。ボストンで婚約したマデリーン(ファヘイ)を訪ねて、アッシャー家にやって来たフィリップ・ウィンスロップ(ダモン)は、マデリーンの兄ロデリック・アッシャー(プライス)に出迎えられる。邸の地下室には、奇怪なことにロデリックとマデリーンの名を刻んだ柩が置かれていた。フィリップがマデリーンを邸から連れ出そうとすると、彼女は突然死んでしまう……。名優ヴィンセント・プライスの格調高い演技と幻想的な映像が見事。

音楽は、上記コーマン=ポー作品の「恐怖の振子」「黒猫の怨霊」「忍者と悪女」も手がけているレス・バクスター「Overture」は、オーケストラによるドラマティックな序曲。続く「Main Title」も、序曲と同じ主題によるメインタイトル。このメインの主題は「Reluctance」「Catalepsy」「Pallbearers」等でも登場する。「Roderick Usher」は、ミステリアスなタッチのロデリックの主題。「Madeline Usher」は、サスペンス調のマデリンの主題。その後は「Tormented」「Lute Song」「The Vault」等、不気味なホラー音楽が連続。「The Sleepwalker」「The Ancestors」は、幻想的なコーラスを織り込んだサスペンス音楽。「House of Evil」も、うめくような不気味なコーラス入り。「Buried Alive」は、ビジーなサスペンスアクション音楽。「Fall of the House of Usher」は、サスペンス調から後半オーケストラとコーラスによりダイナミックに盛り上り、ラストはドラマティックなメインの主題で締めくくる。映画の内容にふさわしいオーソドックスなゴシック・ホラー音楽。このスコアの初CD化で1200枚限定プレス。
(2011年4月)

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