忍者と悪女 THE
RAVEN
作曲・指揮:
レス・バクスター
Composed and Conducted by LES
BAXTER
(米Kritzerland / KR
20021-1)
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1963年製作のアメリカ映画。製作・監督は「(未公開)リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」(1960)「ワイルド・エンジェル」(1966)「聖バレンタインの虐殺/マシンガン・シティ」(1967)「(未公開)血まみれギャングママ」(1970)「レッド・バロン」(1971)「デス・レース2000年」(1975)「バニシングIN
TURBO」(1976)「ピラニア」(1978)「宇宙の7人」(1980)「(未公開)フランケンシュタイン/禁断の時空」(1990)等、多数の作品の製作(一部監督も)を手がけている“B級映画の帝王”ロジャー・コーマン。出演はヴィンセント・プライス、ピーター・ローレ、ボリス・カーロフ、ヘイゼル・コート、オリーヴ・スタージェス、ジャック・ニコルソン、コニー・ウォーレス、ウィリアム・バスキン、アーロン・サクソン、ジョン・ディアケス。エドガー・アラン・ポーの詩『大鴉(The
Raven)』にインスパイアされた脚本を、「激突!」(1971)「ヘルハウス」(1973)「(TV)恐怖と戦慄の美女」(1975)「ある日どこかで」(1980)「トワイライトゾーン/超次元の体験」(1983)「奇蹟の輝き」(1998)「アイ・アム・レジェンド」(2007)「運命のボタン」(2009)「リアル・スティール」(2011)等の原作者リチャード・マシスンが執筆。撮影はフロイド・クロスビー。ロジャー・コーマンが自ら主宰する映画会社American
International Pictures(AIP)でポーの原作を映画化した一連のホラー映画の1つで、この作品のほかには「アッシャー家の惨劇(HOUSE OF USHER)」「恐怖の振子(THE PIT AND THE
PENDULUM)」(1961)「黒猫の怨霊(TALES OF TERROR)」(1962)「姦婦の生き埋葬(THE PREMATURE
BURIAL)」(1962)「(未公開)赤死病の仮面(THE MASQUE OF THE RED DEATH)」(1964)「(未公開)黒猫の棲む館(TOMB
OF
LIGEIA)」(1964)がある。このうち、「姦婦の生き埋葬」以外には、怪奇映画の名優ヴィンセント・プライスが主演しており、リチャード・マシスンは「アッシャー家の惨劇」「恐怖の振子」「黒猫の怨霊」の脚本も担当している。大魔術師スカラバス博士(カーロフ)の魔法で大鴉に変身させられた三流の魔術師アドルファス・ベドロ博士(ローレ)が、臆病だが善良な魔術師エラスマス・クレイヴン博士(プライス)の屋敷へ助けを求めてやってくる。クレイヴンは父の死後27年間も魔術師同盟から脱退していたが、頼みを聞いて人間の姿に戻してやると、ベドロは意外なことを言い出した。2年間に死んだはずのクレイヴンの妻レノーア(コート)を、スカラバスの屋敷で見たというのだ。スカラバスはクレイヴンの魔術の秘法を探ろうと画策しており、夫を裏切ったレノーアを愛人にしていたのだ。事の真相を確かめるために、クレイヴンはスカラバス邸を訪れるが……。コメディ・タッチのファンタジー・ホラー作品となっており、後半ヴィンセント・プライス、ボリス・カーロフの二大怪奇俳優が延々と繰り広げる妖術合戦が見どころ。プライスはポーの小説や詩の朗読でも有名で、この『大鴉』を見事な名調子で朗読したCDも出ている。
音楽は、上記コーマン=ポー作品の「アッシャー家の惨劇」「恐怖の振子」「黒猫の怨霊」も手がけているレス・バクスター。 「Main Title / The
Raven」は、メトロノームのようなリズムからミステリアスな電子音楽によるメインタイトルへ展開。 「Dr. Bedlo /
To the Crypt」は、コミカルなベドロ博士の主題。 「Not Quite Dead
Dad」は、ミステリアスな電子音楽。 「The Plan」は、抑制されたサスペンス音楽。
「Wild Ride to the Castle」は、明るく躍動的でコミカルな曲。 「Dr. Scarabus
/ The Castle / Lenore」は、サスペンス音楽。 「Duel to the Death」「The Duel
Continues」は、クレイヴンとスカラバスの対決シーンでの、様々なフレーズがカラフルに展開するダークかつややコミカルなサスペンス音楽で、後者の後半はダイナミックなアクション音楽。
「The Escape / Quoth The Raven: Nevermore」も、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。
「End
Titles」は、アクション音楽から明るく躍動的な主題へ展開するエンドタイトル。最後にボーナストラックとして電子音楽のフレーズ集「The
Raven
Electronica」を収録。このスコアの初CD化。
後半には、AIPが1972年に製作したTV番組「(TV)エドガー・アラン・ポーの夕べ(AN EVENING WITH EDGAR ALLAN
POE)」 (監督:ケネス・ジョンソン)にレス・バクスターが作曲したスコアが収録されているが、これは1980年に米CitadelレーベルがCD化(米Citadel / STC
77107)
しており、それと同じ内容にメインタイトルとエンドタイトルを追加し、音質を改善したもの。ポーの小説「告げ口心臓(The Tell-Tale Heart/1843)」「スフィンクス(The
Sphinx/1850)」「アモンティリヤアドの酒樽(The Cask of Amontillado/1846)」「陥穽と振子(The Pit and the
Pendulum/1842)」の4作品の各々にバクスターが作曲した前衛音楽的なスコアが組曲として展開。1000枚限定プレス。
(2012年1月)
Les Baxter
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