マイケル・ドレス
 Michael Dress

Date of Birth: 1935
Place of Birth:
Date of Death: 1975
Mini Biography:
Michael Dress seems to have come from a notable family, the son of Pastor Dietrich Bonhoeffer's yougest sister. Growing up in Berlin, Germany, taught expressionist dance, relocated to London, and worked at BBC as a composer. He wrote an opera and a lot of theatre music, some orchestral jazz pieces. He also scored several notable films, including "Quackser Fortune Has a Cousin in the Bronx", which starred a very young Gene Wilder, and an interesting sci-fi film, "The Mind of Mr. Soames", as well as "A Touch of Love", starring Sandy Dennis (called "Take a Girl Like You" in the United States). Each of those scores is very different from the other - "Quackser" has wonderful, melodic themes, "A Touch of Love" is certainly tonal, and "The Mind of Mr. Soames" is very out there. But his output was very small - five feature films in all, and some TV and documentary work.

 


(未公開)ブラッド・ゾーン THE HOUSE THAT DRIPPED BLOOD

作曲・指揮:マイケル・ドレス
Composed and Conducted by MICHAEL DRESS

(米Kritzerland / KR 20035-8)

★TOWER.JPで購入

1971年製作のイギリス映画(日本では劇場未公開でビデオ発売・テレビ放映済み/テレビ放映時のタイトルは「怪奇!血のしたたる家」)。監督は「怪盗軍団」(1975)「(TV)ディック・フランシス・ミステリー」(1979)「(TV)国際夜行列車」(1980)「(未公開)愛と叛乱の大地」(1983)「(TV)モース警部シリーズ VOL.7 ウッドストック行最終バス」(1987)等のピーター・デュフェル(1922〜2017)。出演はジョン・ベネット、ジョン・ブライアンズ、ジョン・マルコム、デンホルム・エリオット、ジョアンナ・ダンハム、トム・アダムス、ロバート・ラング、ピーター・クッシング、ジョス・アックランド、ウォルフ・モリス、クリストファー・リー、ナイリー・ドーン・ポーター、クロエ・フランクス、ジョン・パートウィー、イングリッド・ピット、ジェフリー・ベイルドン、ジョアンナ・ラムレイ他。『サイコ』等の長編や『血は冷たく流れる』『楽しい悪夢』『切り裂きジャックはあなたの友』等の短編集が日本でも出版されているSF/ホラー小説の名手ロバート・ブロック(1917〜1994)の短編小説を基に、ブロック自らが脚本を執筆。撮影はレイ・パースロウ。ミルトン・サボツキーとマックス・ローゼンバーグによる英アミカス・プロダクション製作のオムニバス・ホラー映画で、以下の4話から構成されている(アミカスによるロバート・ブロック原作のオムニバス・ホラーには、本作の他に「残酷の沼」(1967)「(未公開)アサイラム・狂人病棟」(1972)がある)。

映画俳優の失踪事件を捜査するスコットランドヤードのホロウェイ警部(ベネット)が、ある一軒家で起きた4件の不気味な事件の顛末を不動産業者ストーカー(ブライアンズ)から聞かされる形式で展開。第1話『Method for Murder』では、妻のアリス(ダンハム)と屋敷を借りたホラー小説作家のチャールズ(エリオット)が、自身の生み出した小説の悪役ドミニク(アダムス)に精神的に追い詰められていく……。第2話『Waxworks』では、引退した株式ブローカーのフィリップ・グレイソン(クッシング)が屋敷に引っ越してくるが、彼はある日訪れた蝋人形館で過去に愛した女性にそっくりの人形に遭遇する……。第3話『Sweets to the Sweet』では、冷徹なビジネスマンのリード(リー)が娘のジェーン(フランクス)と屋敷に住みはじめ、ジェーンの家庭教師としてアン(ポーター)を雇うが、ジェーンは死んだ母親から魔女の血を受け継いでいた……。第4話『The Cloak』では、傲慢なホラー映画俳優ポール・ヘンダーソン(パートウィー)と共演女優カーラ(ピット)が撮影中の仮住まいとして屋敷を借りるが、吸血鬼役の衣装として用意されたマントが気に入らないポールは、町で見つけた店で店主フォン・ハートマン(ベイルドン)に薦められた“本物の”マントを購入する……。このポール役は当初ヴィンセント・プライスにオファーされたらしい。ブロックの原作をクッシング、リー等秀逸なキャストで映像化したオムニバス・ホラーで、個人的に大いに楽しんだ作品。製作費は約50万ドル(ブロックは「“アミカス”とはラテン語で“低予算”という意味だ」と揶揄していた)。
日本でのテレビ放映時の吹替キャストはジョン・ベネット(嶋俊介)、ジョン・マルコム(水島鉄夫)、ジョン・ブライアンズ(藤本譲)、デンホルム・エリオット(勝田久)、ジョアンナ・ダンハム(浅井淑子)、ピーター・クッシング(八奈見乗児)、ジョス・アックランド(飯塚昭三)、ウォルフ・モリス(国坂伸)、クリストファー・リー(寺島幹夫)、ナイリーン・ドーン・ポーター(荘司美代子)、クロエ・フランクス(冨永美子)、ジョン・パートウィー(北村弘一)、イングリッド・ピット(原えおり)他。

音楽は「愛のふれあい」(1969)等のスコアを手がけているマイケル・ドレス(1935〜1975)が作曲している。「Main Title / Prologue」は、オルガン、ストリングス、ハープシコード、パーカッションをフィーチャーした不気味で陰鬱かつミステリアスなタッチのメインタイトルとプロローグ。第1話『Method for Murder』「Charles and Alice」は、静かにメランコリックなチャールズとアリスの主題。「Writing Horror / Seeing and Hearing Things」は、ヴィブラフォン、オルガンをフィーチャーした不気味なタッチのホラー音楽。「Dominick's Sketch / Seeing Dominick」は、ダークで不気味なタッチ。「Dominick at the Window / Dominick with the Psychiatrist / I Don't Know Anyone Named Richard」は、ショック音楽からサスペンスフルなタッチへ展開。第2話『Waxworks』「Philip Grayson / Remembering」は、グレイソンが自室のレコードプレイヤーでかけるフランツ・シューベルト作曲の「弦楽四重奏曲第14番ニ短調 D810『死と乙女』」の第一楽章。「Museum of Horror / Back Home / Nightmare」は、メランコリックかつ不吉なタッチから後半ダイナミックなサスペンスホラー音楽へ。「Museum of Horror Revisited / Neville's End / Philip's End」は、シューベルトの弦楽四重奏曲の引用を含むダークで不気味なサスペンス音楽。第3話『Sweets to the Sweet』「John Reid and Daughter Jane / Frightened of Fire」「The Book / Witchcraft」は、女声をフィーチャーした不吉で幻想的なタッチ。「Missing Candles / Wax Doll and Pin」「Evil Jane」は、女声をフィーチャーしたダークなホラー音楽。第4話『The Cloak』「Paul Henderson, Horror Star / Costume Shop / The Cloak」は、クラシカルなタッチのピアノ曲。「The Vampire」は、不気味で躍動的なホラー音楽から後半メランコリックなタッチのピアノ曲へ。「Welcome to the Club」は、メランコリックなピアノをフィーチャーした不吉なホラー音楽。ラストの「Epilogue / End Titles」は、ヴィブラフォン、女声、パーカッションをフィーチャーしたダークで不吉なタッチのエピローグから、メランコリックなストリングスによるエンドタイトルへと展開。ミニマルで非常に効果的なホラー・スコア。このスコアの初リリースで、500枚限定プレス。

マイケル・ドレスは、20世紀を代表するキリスト教神学者の一人であるディートリヒ・ボンヘッファー牧師(1906〜1945/第二次大戦中にヒトラー暗殺計画に加担しフロッセンビュルク強制収容所で刑死)の甥にあたる人物で、幼少期をベルリンで過ごした後、ロンドンに移住し、BBCで作曲家として活動するとともに、オペラや舞台、映画の音楽を手がけた。フィルムスコアの仕事は非常に少なく、日本で劇場公開された作品は「愛のふれあい」のみ。1975年にロンドンで死去。

マイケル・ドレスが手がけた映画音楽には
「(未公開)The Six-Sided Triangle」(1963)
「(未公開)Rotten to the Core」(1965)
「(未公開/TV)The Wednesday Play - Death of a Teddy Bear, - Days in the Trees, - Sleeping Dogs, - Toggle, - Spoiled」(1967〜1968)
「(未公開/TV)BBC Play of the Month - Girls in Uniform, - St. Joan」(1967〜1968)
「愛のふれあい(A Touch of Love)」(1969)
「(未公開)Quackser Fortune Has a Cousin in the Bronx」(1970)
「(未公開)The Mind of Mr. Soames」(1970)
「(未公開)ブラッド・ゾーン(The House That Dripped Blood)」(1971)
「(未公開)Black Champagne」(1980)

がある。

(2019年3月)

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