Date of Birth: 1976/8/4
Place of Birth: Washington, District of Columbia, USA
Mini Biography:
Nathan Tyler Johnson is a multidisciplinary artist best known for his work as a film composer and director. He has scored a handful of films, including "Brick" (2005), "Looper" (2012), "Don Jon" (2013), "Kill the Messenger" (2014), "Knives Out" (2019) and "Nightmare Alley" (2021), where he was a late replacement for Alexandre Desplat. For a while he also drifted into other artistic endeavors including directing music videos, producing short films (videos for Son Lux, Lucius) and indie features, live performances, and graphic design, often in collaboration with his multi-media art group The Cinematic Underground. He is the recipient of numerous film and music awards, and his work has been featured extensively by NPR, Wired, the AV Club, and Rolling Stone. He also works as an art director with The Made Shop, a boutique design firm that specializes in graphic and architectural projects. He has lectured at universities around the world and has presented his work at the Hammer Museum, Adobe MAX, TED, and Apple.
Official website of Nathan Johnson: https://www.nathanj.com/
ナイブズ・アウト:グラス・オニオン GLASS
ONION: A KNIVES OUT MYSTERY 作曲:ネイサン・ジョンソン |
2022年製作のアメリカ映画(2022年11月23日にアメリカで劇場公開され、2022年12月23日よりNetflixにより全世界配信)。監督・脚本は「BRICK
ブリック」(2005)「(TV)ブレイキング・バッド」(2010〜2013)「LOOPER/ルーパー」(2012)「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」(2017)「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」(2019)等のライアン・ジョンソン(1973〜)。出演はダニエル・クレイグ、エドワード・ノートン、ジャネール・モナエ、キャスリン・ハーン、レスリー・オドム・Jr、ケイト・ハドソン、デイヴ・バウティスタ、ジェシカ・ヘンウィック、マデリン・クライン、ノア・セガン、ジャッキー・ホフマン、ダラス・ロバーツ、イーサン・ホーク、ヒュー・グラント、スティーヴン・ソンドハイム、ナターシャ・リオン、カリーム・アブドゥル=ジャバー、セリーナ・ウィリアムズ、ヨーヨー・マ、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、アンジェラ・ランズベリー他。撮影はスティーヴ・イェドリン。
ダニエル・クレイグ演じる名探偵ブノワ・ブランを主人公としたミステリ映画「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(KNIVES
OUT)」(2019)の続編。2020年、パンデミックによるロックダウンが相次ぐ中、ハイテク企業アルファ社の創業者で億万長者のマイルズ・ブロン(ノートン)は、ギリシャにあるプライヴェート・アイランドに友人たちを招待し、そこで自分自身の殺人をテーマにしたミステリ・ゲームを開催する。招待していないはずの探偵ブノワ・ブランが「招かれた」と言って現れゲームに参加するが、やがて参加者の1人であるインフルエンサーのデューク・コディ(バウティスタ)が何者かに殺される……。
ブランが自宅のバスルームでオンラインゲームをしている相手に、ブロードウェイ・ミュージカルの作曲・作詞家であり、「ディック・トレイシー」(1990)でアカデミー賞の主題歌賞を受賞しているスティーヴン・ソンドハイム(1930〜2021/この映画が遺作)が登場するが、本作のストーリーはミステリ・マニアだったソンドハイムと俳優のアンソニー・パーキンスが共同で脚本を書いた「シーラ号の謎」(1973)をベースにしているという。“自分自身の殺人者を推理させる”という設定は「名探偵登場」(1976)も同様。「クリスタル殺人事件」(1980)で名探偵ミス・マープル、「(TV)ジェシカおばさんの事件簿」(1984〜1996)で主人公のミステリ作家ジェシカ・フレッチャーを演じたアンジェラ・ランズベリー(1925〜2022/やはりこれが遺作)も、同じオンラインゲームの相手役で登場する(親友のソンドハイムが声をかけたと)。ケイト・ハドソン演じるバーディ・ジェイのキャラは「シーラ号の謎」のダイアン・キャノンのイメージらしいが、バーディは元ファッションアイコンで、高級ジャージ“スウィーティ・パンツ”を発売して大儲けしたが、製造拠点であるバングラデシュの工場の劣悪な労働環境が問題になっている、という設定で、これはハドソン自身にも同様のトラブルがあったとTIME誌で報じられていた。ブランの夫役のグラント、ブロンの部下役のホーク、カメオ出演のアブドゥル=ジャバー、ウィリアムズ、マといった著名人の登場も楽しい。2022年度アカデミー賞の脚色賞、同年のゴールデン・グローブの作品賞(コメディ/ミュージカル)、男優賞(コメディ/ミュージカル)にノミネートされている他、同年の放送映画批評家協会賞の作品賞、助演女優賞、脚色賞、衣装デザイン賞にノミネートされ、同賞のアンサンブル演技賞とコメディ映画賞を受賞している。
音楽はライアン・ジョンソン監督の従兄弟で、彼の監督した「BRICK
ブリック」(2005)「(未公開)ブラザーズ・ブルーム」(2008)「LOOPER/ルーパー」(2012)「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」(2019)のスコアも手がけているネイサン・ジョンソン(1976〜)。
「Theme from Glass Onion」は、ハープシコードによるバロック調のイントロから躍動的で大らかなメインの主題へと展開するメインテーマ。「The
Puzzle Box」は、メインの主題を織り込んだ躍動的でミステリアスなタッチの曲。「Andi's Theme」は、ピアノとストリングスによるメランコリックなタッチのアンディ・ブランド(モネイ)の主題。「An
Anonymous Invitation」は、メインの主題によるミステリアスなタッチから後半リズミックな主題へ。「Ground
Rules」「Dinner Is Served」「Snoop」は、ややおどけたタッチのサスペンス音楽。「Ms. Birdie
Jay」は、ピアノによるリリカルなタッチのバーディ・ジェイの主題。「The Infraction Point」は、ピアノによるミステリアスかつメランコリックな曲。「This
Is Not a Game」「Blanc's Plan」「Something's Off」「You've Got Nothing」は、抑制されたサスペンス音楽。「The
Scene of the Crime」は、不気味なサスペンス調から後半ピアノによるメランコリックな主題へ。「Trapped」は、重厚なサスペンス音楽。「Lights
Out!」「Perjury」「The Center of the Onion」は、ミステリアスなサスペンス音楽。「Time
to Finish This」は、ドラマティックでメランコリックなタッチの曲。「Motive & Opportunity」は、躍動的でミステリアスな曲。「Ransacking」「A.B.」「Peeled
Back」「Burnt」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「Glass Onion String Quartet in Bb
Minor」は、躍動的でスリリングなタッチの弦楽四重奏。「Disruption」は、ピアノとストリングスによるメランコリックなタッチの曲。ラストの「Theme
from Glass Onion - Revisited」は、メインの主題のリプライズにより締めくくる。
オーケストレーションはジェフ・クリカ。弦楽四重奏はティペット・カルテット(ジョン・ミルズ、ジェレミー・アイザック、リディア・ローンデス=ノースコット、ボジダー・ヴコティク)、ハープシコードはイアン・ファーリントンの演奏。ネイサン・ジョンソンは、アガサ・クリスティー原作の「ナイル殺人事件」(1978)にニーノ・ロータが作曲したスコアのスタイルを参照して、このスコアを作曲したという。
ネイサン・ジョンソンは、ライアン・ジョンソン監督作品以外にも、ジョセフ・ゴードン=レヴィットが監督・出演した作品等にスコアを作曲しているほか、ミュージックヴィデオや短編映画の製作・監督や、グラフィックデザイン等も手がけている多彩なアーティストで、世界各国の大学で教鞭も取っている。
ネイサン・ジョンソンが手がけた映画音楽には
「BRICK ブリック(Brick)」(2005)
「(未公開/V)Building 'Brick'(from "Brick")」(2006)
「(未公開)Blue State」(2007)
「(未公開)ブラザーズ・ブルーム(The Brothers Bloom)」(2008)
「(未公開)Morgan M. Morgansen's Date with Destiny」(2010)
「(未公開)Morgan and Destiny's Eleventeenth Date: The
Zeppelin Zoo」(2010)
「(未公開)突然、みんなが恋しくて(Et soudain, tout le monde me manque)」(2011)
「LOOPER/ルーパー(Looper)」(2012)
「ドン・ジョン(Don Jon)」(2013)
「(未公開/TV)Sport in America: Our Defining Storie」(2013)
「マッド・ガンズ(Young Ones)」(2014)
「(VG)inFamous: Second Son」(2014)
「(未公開)Kill the Messenger」(2014)
「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(Knives Out)」(2019)
「ナイトメア・アリー(Nightmare Alley)」(2021)
「ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(Glass Onion)」(2022)
「(未公開/TV)Poker Face」(2023)
等がある。
ネイサン・ジョンソンは、2021年の「ナイトメア・アリー」で放送映画批評家協会賞の音楽賞にノミネートされている。
(2023年9月)
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