エンド・オブ・デイズ END OF DAYS

作曲:ジョン・デブニー
Composed by JOHN DEBNEY

指揮:ピート・アンソニー
Conducted by PETE ANTHONY

(米Varese Sarabande / 302 066 099 2)

cover
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アーノルド・シュワルツェネッガー主演のサスペンス・アクション。共演はガブリエル・バーン、ケヴィン・ポラック、ロビン・タニー、ロッド・スタイガー他。監督は「カプリコン1」「2010年」「タイムコップ」等の職人ピーター・ハイアムズ(例によって撮影監督を兼任)。脚本はアンドリュー・W・マーロウ。クリーチャー・エフェクツをスタン・ウィンストン・スタジオが担当。

1999年12月、元刑事でシークレット・サービスのジェリコ(シュワルツェネッガー)は狙撃事件に遭遇するが、犯人は逮捕直前に「2000年の幕開けとともに魔王サタンが世界を支配する」との予言を残して死ぬ。事件の調査に乗り出した彼は犯人の部屋で若い女性クリスティーン(タニー)の写真を発見するが、彼女こそがサタン復活の鍵となる人物だった。事実を知ったジェリコはクリスティーンの命と人類の存亡をかけてサタン(バーン)との闘いに挑む。

音楽は「サドン・デス」「レリック」でもハイアムズ監督と組んだジョン・デブニー。前2作はアクションとサスペンスをベースとしたスコアだったが、今回もその延長線上にある緊迫した音楽。デブニーの得意とする大編成オーケストラによるパワフルなサウンドに、ボーイソプラノやコーラス、更にラムホーン等特殊な楽器による幻想的なタッチを加え、世界の終焉をかけたサタンとの闘いをダイナミックに表現している。ただ、コーラスの部分はどうしてもカルル・オルフの「カルミナ・ブラーナ」やゴールドスミスの「オーメン」のイメージを拭い切れていない。サタンの襲来を想起させる不気味なタッチのメインタイトルから始まり、前作「サドン・デス」と同様の激しいアクションスコア(「Alley Fight」「Helicopter Pursuit」「Subway Attack and Escape」「The Eternal Struggle」等)を展開。最後にメインタイトルの別バージョン(更に不気味なタッチ)と、cEwin Keyのプロデュースによるメインタイトルのダンス・ミックス・バージョンを収録。

ジョン・デブニーは、当初「(未公開)ホーカス・ポーカス」「(未公開)White Fang 2: Myth of the White Wolf」「(未公開)リトル・ジャイアンツ」等プロモーショナル盤のCDしかなかったが、ある程度メジャーになって正規盤がリリースされだした後も、依然としてプロモーショナル盤が多数出続けている不思議な作曲家である。アメリカン・フットボールを題材にした「リトル・ジャイアンツ」や、レニー・ハーリン監督の海洋冒険活劇「カットスロート・アイランド」、ハイアムズ監督と組んだ「サドン・デス」「レリック」(これもプロモーショナル盤)等ではベテラン的な巧さと発想の独創性を感じさせたが、「(未公開)My Favorite Martian」等のコメディでは、どういう訳か初期のダニー・エルフマンの単なるコピー的なスコアを書いており、作風にムラを感じさせる。今回のスコアはアクション部分にパワーや緊迫感があり、彼の作品中でも水準以上の出来だと思うが、それほど強烈な個性やオリジナリティは感じられない。依然として彼のベストは「カットスロート・アイランド」だろう。
(2000年1月)

John Debney

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