スリーピー・ホロウ SLEEPY HOLLOW

作曲:ダニー・エルフマン
Composed by DANNY ELFMAN

指揮:アラン・ウィルソン
Conducted by ALLAN WILSON

(米Hollywood / HR-62262-2)

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ティム・バートン監督の新作ファンタジー・ホラー(2000年春公開予定)。主演は「シザーハンズ」「エド・ウッド」でもバートンと組んだジョニー・デップ。共演はクリスティナ・リッチ、ミランダ・リチャードソン、マイケル・ギャンボン、キャスパー・ヴァン・ディーン、ジェフリー・ジョーンズ、リサ・マリー他。更にクリストファー・リー、マイケル・ゴーフ(この二人はハマー・フィルムの「吸血鬼ドラキュラ」でも共演している)、イアン・マクディアミッド、マーティン・ランドー、クリストファー・ウォーケンといった、バートン好みの曲者俳優が多数脇で登場する。ワシントン・アーヴィングの原作小説「The Legend of Sleepy Hollow」を基にアンドリュー・ケヴィン・ウォーカーとケヴィン・イエーガーが脚色。撮影はエマニュエル・ルベツキが担当。製作総指揮にフランシス・フォード・コッポラが名を連ねている。

1799年のニューヨーク州北部の村スリーピー・ホロウを舞台に、首なし連続殺人事件の犯人を目撃した警官イカボッド・クレイン(デップ)が、犯人の騎士(やはり首がない)の正体を突き止めようとするというストーリー。子供向けのおとぎ話と考えられている原作小説を、バートンが独自の残酷描写でグロテスクなホラーに作り上げた作品。バートンというと「バットマン」等でメジャーになった以降もコマーシャリズムに迎合せず、独自のアーティスティック・センスでマニアックな作品を撮り続けている監督だが、今回の映画は彼の本領を最も発揮できるダークな作品世界をもった題材であろう。

音楽はバートン監督と「(未公開)ピーウィーの大冒険」('85)「ビートルジュース」('88)「バットマン」('89)「シザーハンズ」('90)「バットマン リターンズ」('92)「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」('93)「マーズ・アタック!」('96)でコンビを組んでいるダニー・エルフマン。今回のスコアでは、重厚なオーケストラ・サウンドに、Metro VoicesによるAdult ChoirとThe London Oratory School SCHOLAによるBoys Choirの合唱を組み合わせた本格的なホラー音楽を展開しており、ベテランの風格さえ感じさせる。抑えたタッチで始まりコーラスを交えてフルオーケストラへと発展していくメインタイトルも良いが、10分近くに及ぶ「The Tree of Death」での暴力的でダイナミックな音楽や、中盤の「The Church Battle」、ラストの「The Windmill」〜「The Chase」〜「The Final Confrontaion」と続くクライマックスのパワフルなアクション音楽も良い。このサントラCDは全編で68分以上収録された聴き応えのあるアルバムとなっている。

エルフマンは、初期の「ダークマン」('90)「ミディアン」('90)等のホラー映画ではどちらかというと同じような印象のワンパターンなスコアを繰り返しており、一時期「ジャック・サマーズビー」('93)「(未公開)ブラック・ビューティー/黒馬物語」('94)「黙秘」('95)「誘う女」('95)「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」('97)といった作品で、あまり彼の個性を感じさせないシリアスな路線に走り、その後「フラバー」('97)「メン・イン・ブラック」('97)等で以前のタッチに戻ったが、これらは初期の頃と比べてもあまり進歩を感じさせない水準程度のスコアだった。更に「シンプル・プラン」('98)「シビル・アクション」('98)といったシリアスなスコアも手がけたが、今回の「スリーピー・ホロウ」では久々にパワー全開のダークなホラー音楽を提供しており、しかも初期のホラー映画でのワンパターンな印象も払拭した独創的で優れたスコアとなっている。
(2000年1月)

Danny Elfman

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