スーパーマン SUPERMAN The Movie

作曲・指揮:ジョン・ウィリアムス
Composed and Conducted by JOHN WILLIAMS

演奏:ロンドン交響楽団
Performed by The London Symphony Orchestra

(米Rhino / R2 75874)

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1978年製作。「三銃士」等のイリヤ・サルキンドが製作し、「オーメン」「リーサル・ウェポン」シリーズ等の職人リチャード・ドナーが監督した第一級のエンターテインメント。過去のTVシリーズのビッグバジェットによる映画化作品としては最も成功した例の1つだろう。惑星クリプトンの崩壊から、地球に降り立ったカル・エルことクラーク・ケントの成長の過程、そしてメトロポリスでデイリープラネット社勤務となったケントとロイス・レインの出逢い、犯罪王レックス・ルーサーの陰謀と、それを阻止するスーパーマンの活躍を、オールスター・キャスト、見事なプロダクション・デザインで全く手を抜かずに真正面から堂々と描いた娯楽大作。

クリストファー・リーヴがスーパーマン/クラーク・ケントに、マーゴット・キダーがロイス・レインに扮して、いずれもはまり役(この2人は実生活では後に不運な境遇に苦しむことになる。リーヴは乗馬事故で車椅子生活となり、キダーは交通事故で入院し、その後精神病になって引退した)。マーロン・ブランドがスーパーマンの父ジョー・エル、ジーン・ハックマンが悪役レックス・ルーサーを演じるという豪華キャスト。更に、ネッド・ビーティ、ジャッキー・クーパー、グレン・フォード、トレヴァー・ハワード、ヴァレリー・ペリン、マリア・シェル、テレンス・スタンプ、フィリス・サクスター、スザンナ・ヨーク、マーク・マクルーア、ジェフ・イースト、サラ・ダグラス、ハリー・アンドリュース、ジャック・オハローラン、ラリー・ハグマン他が共演。「ゴッドファーザー」のマリオ・プーゾによる原案をデヴィッド・ニューマン、レスリー・ニューマン、ロバート・ベントンとプーゾが脚色。撮影はジェフリー・アンスワース(遺作)、プロダクション・デザインはジョン・バリーと、スタッフも超一流。

ジョン・ウィリアムスによる音楽は今やクラシックとも言える傑作スコアだが、ここで紹介している2枚組CDは、公開当時のオリジナルのサントラLPには収録されていなかった音楽を多数含む特別盤で、ファンにとっては待望のリリースである。

有名な「スーパーマンのマーチ」だけでも4つのバージョンが収録されているが、オリジナルLPの冒頭に入っていたファンファーレで始まる最もポピュラーなバージョンは「Concert Version」で、サントラ以外にもウィリアムス自身の指揮によるボストン・ポップスを含む多数のカバー演奏が存在する。実際に映画で流れた曲は「Prelude and Main Title March」として、このCDの冒頭に収録されているが、最初に白黒画像でデイリープラネット社を紹介する映像とナレーションが入り、そこから画面が宇宙へと飛んでストリーク・アニメーション(文字が尾を引いて飛んで行くエフェクト)によるメインタイトルへとつながる部分の曲で、いかにもスペクタクル大作の幕開けにふさわしい栄光に満ちた音楽である(この映画のメインタイトルはストリーク・アニメーションの使い方が実にうまく、ウィリアムスの勇壮な音楽との組合わせにより強烈な映画的興奮を感じさせる)。

「Love Theme from Superman」は、ウィリアムスが書いた数多くのラブ・テーマの中でも最もロマンティックで美しく、個人的に大好きな曲だが、この曲もアルバム用のアレンジであり、実際の映画ではロイス・レインがスーパーマンに独占インタビューをして、その後一緒に空を飛ぶシーンで流れる「The Flying Sequence / Can You Read My Mind」が使われた。この「Can You Read My Mind」にはレスリー・ブリッカスによる歌詞が付けられており、映画の中ではマーゴット・キダーが飛行シーンでこの歌詞を(歌うのではなく)朗読するが、確かモーリン・マクガヴァーンがこの歌詞をちゃんと歌ったカバー・アルバムが出ていた。

更に、ロイス・レインの乗ったヘリコプターがデイリープラネット社ビルの屋上から墜落し、スーパーマンが途中でヘリコプターを受け止めて救出する中盤の見せ場のシーンの音楽「The Big Rescue」が、このCDで初めて収録されている他、オリジナルのLPにあった曲も大半が少しずつ長くなっており、全体としては元のLP(これも78分もあったが)より1時間以上も音楽が追加されている。映画音楽ファンにとっては必須のリリースであろう。
(2000年3月)

John Williams

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