シャイヨの伯爵夫人 THE MADWOMAN OF CHAILLOT

作曲・指揮:マイケル・J・ルイス
Composed and Conducted by MICHAEL J. LEWIS

(プロモーショナル盤)


「キング・ラット」(1965)「シンデレラ」(1976)「インターナショナル・ベルベット/緑園の天使」(1978)等の監督であり、俳優としても知られるイギリス人のブライアン・フォーブスが1969年に監督したドラマ。出演はキャサリン・ヘプバーン、ユル・ブリンナー、ポール・ヘンリード、シャルル・ボワイエ、イーディス・エヴァンス、ジュリエッタ・マシーナ、リチャード・チェンバレン、ダニー・ケイ、オスカー・ホモルカ、ドナルド・ プレザンス、ジョン・ギャヴィン、マーガレット・レイトン、ナネット・ニューマン、クロード・ドーファン他。ジャン・ジロドゥーの戯曲を基にエドワード・アンハルトが脚本を執筆。撮影はクロード・ルノワールとバーネット・ガフィ。パリのシャイヨ地区に暮らす時代錯誤でエキセントリックなオーレリア伯爵夫人(ヘップバーン)が、世界各地から集まってきた欲深い悪人たちと対決する、というドラマ。

これはマイケル・J・ルイスの初期の傑作スコアで、当時サントラLPが出ていた数少ない作品の1つ(ルイスの主要なスコアは1990年代以降に次々とプロモーション用CDがリリースされているが、それ以前にまともにサントラアルバムが出ていたのはこの「シャイヨの伯爵夫人」くらいだった)。今回新たにCD化された本アルバムは、当時のLPに収録されていなかった音楽を多数含む、55分以上の完全盤。

このスコアは基本的に3つのテーマから成り立っており、冒頭の「Aurelia's Theme」は主人公のオーレリア伯爵夫人を描写した素朴で大らかなテーマで、途中の「Remember the First Time」「Thoughts of Long Ago」「Shall I?」「Finale」にも登場する。軽快で爽やかなタッチのイルマ(ニューマン)のテーマは、「Cafe Francais Music - Irma's Theme」「Fantasy」「Irma's Theme」「Irma's Room」で聴くことができる。更に、「Stay and Fall in Love」で初めて現れる物悲しくセンチメンタルなテーマは、「Romance de Chaillot」でフルオーケストラによる感動的な盛り上がりを見せる。音楽的には、この最後のテーマが最もドラマティックで完成度が高い。全体にオーソドックスなオーケストラル・スコアだが、ルイスの出世作であり、美しく感動的な音楽である。
(2000年5月)

Michael J. Lewis

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