(未公開)SHERGAR
作曲・指揮:ジョン・スコット
Composed and Conducted by JOHN SCOTT
演奏:ミュンヘン交響楽団
Performed by the Munich Symphony Orchestra
(米JOS / JSCD 127)
1999年製作のイギリス=アメリカ合作映画。監督・脚本はデニス・C・ルイストン。出演はイアン・ホルム、デヴィッド・ワーナー、ミッキー・ローク、アンドリュー・コノリー、ローラ・マーフィ、トム・ウォルッシュ、アラン・バーカー、ビリー・ボイル、スティーブン・ブレナン、ゲリー・キャディ他。撮影はデヴィッド・ルイス。
1983年にアイルランドで実際に起きた有名な競争馬シャーガーの誘拐事件を描くドラマ。現実の事件では、IRAの武装集団がシャーガーを誘拐し、500万ポンドの身代金が要求されたが、この金は支払われず、その後この馬がどうなったのかは未だに謎に包まれているらしいが、この映画では、IRAが馬を隠した農場に住んでいた少年がこの馬を助け出すという展開のフィクションになっている。
ジョン・スコットの音楽は、映画の舞台となるアイルランド南部の静かで美しい情景と、シャーガーの誘拐を巡るサスペンスを表現しているが、特に冒頭の「Prelude」や「Garrity's
Farm」で静かに流れ、中盤の「Shergar the Champion」「Riding
the Wind」やエンディングの「Shergar - End Credits」では勇壮かつドラマティックに展開するメインテーマが、いかにもスコットらしい情感豊かなメロディで印象的である。「The
Abduction」「Police Search」「No Ransom」等でのスリリングなサスペンス音楽や、「In
the Forest」「Miltown Race」「The Final Race」等でのダイナミックなアクション音楽も相変わらず上手い。オーケストラの演奏が少し粗く感じられるのと、録音時の制約のせいか音にあまり広がりがないのがちょっと残念だが、スコア自体は非常に上質で、特に後半の強いドラマ性は聴き応えがある。このCDは例によってジョン・スコット自身の運営するJOSレーベルのリリースだが、最近の彼のサントラはこのレーベルからしか出ていない。
(2000年12月)
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