(未公開/TV)THE ROSE AND THE JACKAL

(未公開)YES, GIORGIO

作曲・指揮:マイケル・J・ルイス
Composed and Conducted by MICHAEL J. LEWIS

(Promotional)


マイケル・J・ルイスが音楽を担当した2作品をカップリングした彼のプロモーション用CD。

「THE ROSE AND THE JACKAL」は、1990年にアメリカのターナー(CATV)が製作した南北戦争が舞台のラヴ・ストーリーで、監督はジャック・ゴールド。出演はクリストファー・リーヴ、ケヴィン・マッカーシー、マドリン・スミス=オズボーン、キャリー・スノグレス、パティ・マック、クリスティン・ラーキン、ジョーン・リオーダン他。脚本はエリック・エドソン。

ルイスのスコアは、「Quiet Time Together」「Finale」でのトラジックなタッチの美しいメインテーマが全体の聴きどころで、この曲には彼の個性がよく出ている。冒頭の「Sabotage」や続く「Shoot Out」は、サスペンスフルなアクション音楽。「Lets Play」「Lets Dance」「After Dancing」等はピアノによる優雅な音楽。「Awakening」ではオーケストラによるドラマティックな盛り上がりを見せる。このスコアはルイスが母国のイギリスからカリフォルニアに移住して最初に手がけた作品で、1991年度Ace Awardの音楽賞にノミネートされた。

「YES, GIORGIO」は、イタリアの有名なオペラ歌手、ルチアーノ・パヴァロッティ主演のコメディ=ラヴ・ストーリー(1982年製作)で、なんと「パピヨン」「猿の惑星」「パットン大戦車軍団」「ブラジルから来た少年」等のフランクリン・J・シャフナーが監督している(ルイスは「スフィンクス」でもシャフナー監督と組んでいる)。共演はキャサリン・ハロルド、エディ・アルバート、パオロ・バローニ、ジェームズ・ホン他。「(TV)宇宙大作戦(Star Trek)」のテーマ音楽や、ジェリー・ゴールドスミスのオーケストレーターとして知られるアレクサンダー・カレッジがオペラの指揮者として出演しているらしい。アン・パイパーの小説を基にノーマン・スタインバーグが脚本を担当。撮影はフレッド・J・ケーネカンプ。

パヴァロッティ扮するオペラ歌手ジョルジォ・フィーニがアメリカでのコンサート・ツアー中に声が出なくなり、女性の咽喉科医(ハロルド)に診てもらったことで彼女と恋に落ちる、という実に他愛ないストーリー。ただ、劇中にパヴァロッティが歌うシーンが何度かあり、当時リリースされたサントラ盤(英DECCA / 417 000-2)にも彼のテナーによる「サンタ・ルチア」「オ・ソレ・ミオ」「アヴェ・マリア」といったカンツォーネが収録されている(このサントラCDは映画音楽というより、パヴァロッティのアルバムとしてリリースされており、ルイスの音楽は「序曲」のみが収録されている)。また、この映画の主題歌「If We Were in Love」は(なんと)ジョン・ウィリアムスが作曲しており(作詞はアラン&マリリン・バーグマン)、サントラ盤ではもちろんパヴァロッティが歌っている。

ここで紹介しているプロモーション盤には、ルイスが作曲した美しくスケールの大きい序曲(Overture)「Giorgio on the Way to the Airport」「Preludio」「Playful」等ラテン的な陽気さをもった劇伴スコアが収録されているが、一部ウィリアムス作曲の上記主題歌のフレーズが引用されており、その部分はCDの収録曲リストに明記されている。ルイスのスコアは、全体に主役のパヴァロッティの個性を反映した明るく大らかな音楽だが、やはり序曲での後半の盛り上がりが感動的である。
(2000年11月)

Michael J. Lewis

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