(未公開)CANONE INVERSO - MAKING LOVE

作曲・指揮:エンニオ・モリコーネ
Composed and Conducted by ENNIO MORRICONE

演奏:アカデミア・ムジカーレ・イタリアーナ
Performed by A.M.I.T.(Accademia Musicale Italiana)

(伊Virgin / 7243 8 48942 2 1)


2000年製作のイタリア映画。監督はリッキー・トニャッツィ(俳優のウーゴ・トニャッツィの息子)。主演はハンス・マシスン、メラニー・ティエリー、リー・ウィリアムス、ガブリエル・バーン、リッキー・トニャッツィ、ピーター・ヴォーン、ニア・ロバーツ、アドリアーノ・パッパラルド、アンディ・ルオット、マッティア・スブラジア、ドミツィアーナ・ジョルダーノ他。パオロ・マウレンシグの小説を基にシモーナ・イッツォ、グラツィアーノ・ディアーナと監督のトニャッツィが脚本を執筆。撮影はファビオ・チャンケッティ。プラハを舞台に、若きヴァイオリニスト(マシスン)と美しい女性(ティエリー)とのロマンスを描いたドラマ。

エンニオ・モリコーネの音楽は、「海の上のピアニスト」と同様、楽器(ここではヴァイオリン)がドラマの重要な要素となっている作品だけに、非常に内容の濃いクラシカルなタッチのスコアとなっている(なぜか映画の出演者もティエリー、ヴォーン等一部ダブっている)。演奏も「海の上のピアニスト」のジルダ・ブッタによるピアノ、ガブリエレ・ピエラヌンツィ、エットーレ・ペレグリーノ、リッカルド・ペレグリーノ、フランコ・タンポーニによるヴァイオリンをフィーチャーしている。

冒頭の「Canone inverso primo」はヴァイオリンとオーケストラによるトラジックなタッチのメインテーマで、実に美しい。この曲は「Canone inverso secondo」「In bicicletta」等でも異なるアレンジにより繰り返される。「Tema d'amore disperato」も、やはりヴァイオリンとオーケストラの組合わせによるラヴテーマで、しっとりと情感豊か。「Finale di un "Concerto Romantico Interrotto" per violino, pianoforte e orchestra」はヴァイオリン、ピアノとオーケストラのためのコンチェルトになっており、ドラマティックでクラシカルなタッチが秀逸。全体の白眉。「Goliardi e sport」はバロック調の陽気で快活な音楽。「Con disperata gioia」「Nel Campo」「Piccoli studi」等も美しい。「Avvolgente」「Elmetti di fuoco」は軍隊調のマーチで、モリコーネの個性が良く出た曲。スコア全体のトーンは悲劇的だが、様々なタッチの展開を見せ、モリコーネの最近の作品中では水準以上の出来であろう。

尚、このアルバムには劇中演奏されるドビュッシー、パガニーニ、バッハ、ドヴォルザーク作曲のクラシックが1曲ずつ収録されており、それぞれピアノ、ヴァイオリンのソロにより演奏されている。
(2001年2月)

Ennio Morricone

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