大いなる男たち THE UNDEFEATED

作曲・指揮:ウーゴ・モンテネグロ
Composed and Conducted by HUGO MONTENEGRO

太陽の中の対決 HOMBRE

作曲・指揮:デヴィッド・ローズ
Composed and Conducted by DAVID ROSE

(米Film Score Monthly / FSM Vol.3 No.6) 2000

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Film Score MonthlyがFoxの音源から貴重なサントラ盤をリリースしているSilver Age Classicsシリーズの1枚で、ウーゴ・モンテネグロ、デヴィッド・ローズという過去にほとんどサントラ盤がリリースされていない作曲家による西部劇スコアをカップリングにした渋い企画となっている。

 

大いなる男たち THE UNDEFEATED

作曲・指揮:ウーゴ・モンテネグロ
Composed and Conducted by HUGO MONTENEGRO

1969年製作のアメリカ映画。監督は「チザム」「ビッグ・ケーヒル」「大西部への道」「大いなる決闘」等、西部劇を得意とするアンドリュー・V・マクラグレン。出演はジョン・ウェイン、ロック・ハドソン、トニー・アギラー、ロマン・ガブリエル、ブルース・キャボット、リー・メリウェザー、ベン・ジョンソン、マーリン・オルセン、ジャン=マイケル・ヴィンセント、ジョン・エイガー、ハリー・ケリー・Jr、ローヤル・ダーノ、リチャード・マリガン、ジェームズ・マックイーチン、グレッグ・パルマー、キール・マーティン他。スタンリー・L・ハフの原作を基にジェームズ・リー・バレットが脚本を執筆。撮影はウィリアム・クローシア、特殊効果はアルバート・J・ホイットロックが担当。南北戦争後、かつて敵同志だった南軍と北軍の2人の大佐(ウェイン、ハドソン)がメキシコへ向かう道程で困難に立ち向かいながら協力し合って行くというストーリー。出演者の中のロマン・ガブリエルとマーリン・オルセンは実際のフットボール選手である。

音楽を担当しているウーゴ・モンテネグロは、エンニオ・モリコーネ作曲の「夕陽のガンマン」や「続・夕陽のガンマン」のカバー・バージョンの演奏で有名(アメリカでは彼がこれらの曲の作曲者だと間違われて表記されることがあるほどヒットした)だが、自身もTVや映画のスコアを多数手がけているベテランである。

この「大いなる男たち」の音楽は、明るく豪快なウエスタンスコアで、特に親しみやすいメロディのメインテーマが印象的。冒頭の「The Undefeated」は短い軍隊ラッパのイントロから重厚なティンパニの連打へと続き、静かなパッセージをはさんで勇壮なメインテーマへと展開する。この主題は「River Crossing」「Let's Go」等でも雄大なタッチで繰り返される。「Happy Hour」でのロデオ風の音楽や、「Meet Blue Boy」でのダイナミックなアクション音楽も良い。この「大いなる男たち」スコアは、随分前にアルフレッド・ニューマンの「西部開拓史」とカップリングになった音質の悪い海賊盤LPが出ていた。

ウーゴ・モンテネグロが手がけたその他の作品には、「夕陽よ急げ」(1967)「サイレンサー第3弾/待伏部隊」(1967)「セメントの女」(1968)「サイレンサー第4弾/破壊部隊」(1968)「殺し屋の烙印」(1969)「オリビア・ニュートン・ジョンのトゥモロー」(1970)「(未公開)華麗なる殺し屋」(1976)等がある。
(2001年3月)

Hugo Montenegro


太陽の中の対決 HOMBRE

作曲・指揮:デヴィッド・ローズ
Composed and Conducted by DAVID ROSE

1965年製作のアメリカ映画。製作・監督は「長く熱い夜」(1958)「ハッド」(1962)「暴行」(1963)「寒い国から帰ったスパイ」(1965)「男の闘い」(1969)「ノーマ・レイ」(1979)「アイリスへの手紙」(1989)等の社会派マーティン・リット。出演はポール・ニューマン、フレデリック・マーチ、リチャード・ブーン、ダイアン・シレント、マーティン・バルサム、バーバラ・ラッシュ、キャメロン・ミッチェル他。「アウト・オブ・サイト」「ジャッキー・ブラウン」等の原作者として知られるハードボイルド作家エルモア・レナードの小説を基にアーヴィング・ラヴェッチとハリエット・フランク・Jrが脚本を執筆。撮影はジェームズ・ウォン・ハウ。1880年のアリゾナを舞台に、白人でありながらアパッチに育てられた男(ニューマン)が、乗り合わせた駅馬車を強盗に襲撃され、わずかな食糧を残して他の乗客たちとともに置き去りにされるが・・。

作曲のデヴィッド・ローズは、TVシリーズや映画の音楽を多数手がけているベテランだが、おそらく最も有名なスコアは「(TV)大草原の小さな家」(1974〜1983)に書いた音楽だろう(特にテーマ音楽)。彼はこのスコアでエミー賞を受賞している。

この「太陽の中の対決」のスコアは、非常に抑制された地味なアンダースコアで、メインタイトルの「Hombre」も小編成のオーケストラとギターによる乾いたタッチのストイックな音楽。あまり明確なメロディが登場しない劇伴に徹したスコアで、西部劇的な豪快さもないが、映画自体が人種差別等をテーマにした心理劇なので、これにふさわしいシリアスなスコアを提供している。全体で21分半の短いスコアだが、最後に収録されたシングル・バージョンはメインテーマのジャズ風アレンジで、この曲だけは親しみやすいタッチとなっている。

デヴィッド・ローズが手がけたその他の作品には「姫君と海賊」(1944)「ダニー・ケイの天国と地獄」(1945)「ぴんぼけGメンNo.1」(1957)「ペティコート作戦」(1959)「ママは腕まくり」(1960)「暴走する反抗族」(1960)「南極ピンク作戦」(1964)「お呼びの時間」(1965)「空中大脱走」(1971)等がある。彼は「姫君と海賊」で1944年度アカデミー賞の音楽賞、「ダニー・ケイの天国と地獄」で1945年度同歌曲賞にノミネートされている。
(2001年3月)

David Rose

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