エクソシスト2 EXORCIST II: THE HERETIC

作曲・指揮:エンニオ・モリコーネ
Composed and Conducted by ENNIO MORRICONE

(仏Warner Bros / 9362-46992-2)


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ウィリアム・フリードキン監督による傑作「エクソシスト」(1973)の続編で、「殺しの分け前/ポイント・ブランク」(1967)「太平洋の地獄」(1968)「脱出」(1972)「未来惑星ザルドス」(1974)「エクスカリバー」(1981)「エメラルド・フォレスト」(1984)「戦場の小さな天使たち」(1987)等のジョン・ブアマンが1977年に監督した作品。出演はリチャード・バートン、リンダ・ブレア、ルイーズ・フレッチャー、キティ・ウィン、ネッド・ビーティ、マックス・フォン・シドー、ジェームズ・アール・ジョーンズ、ポール・ヘンリード他。脚本はウィリアム・グッドハート、撮影はウィリアム・A・フレイカーが担当。SFXはアルバート・J・ホイットロック。特殊メイクはディック・スミス。前作の事件を調査するために教会から派遣されたラモント神父(バートン)は、リーガン(ブレア)にまだ悪魔が取りついている事を知り、メリン神父(シドー)が40年前に悪霊パズズとの戦いを繰り広げたアフリカへと飛ぶ……。ブアマン監督はこの映画のプレミア翌日に全体の編集をやり直し、いくつもの変更を加えたため、結果として上映時間が117分から110分に短縮された。“全くくだらない駄作”という評価と“深遠なテーマを真正面からとらえた傑作”との評価に二分される作品だが、個人的にはフリードキン監督の前作や、ブアマン監督のその他の作品と比較しても凡作だと感じる。

エンニオ・モリコーネによる音楽はこの手のジャンルにおける彼の傑作スコアの1つで、いつものモリコーネ節による甘く美しい主人公リーガンのテーマ「Regan's Theme」と、不気味な悪魔のテーマ「Pazuzu」、そして舞台となるアフリカの民族色を活かした曲「Little Afro-Flemish Mass」等を交互に展開している。特筆すべきなのはこの“悪魔のテーマ”で、ロックにアレンジした「Magic and Ecstasy」も含めモリコーネの数多い作品中でも最高にブっ飛んだ音楽になっている。モリコーネは1980年代以降、しっとりとした美しい音楽ばかりに作風が固定気味になってしまったので、この1977年の異様な曲は貴重である。なんとも不気味でインパクトの強い音楽で、モリコーネのスコアをあまり聴いたことがない人には、この曲と“リーガンのテーマ”を同じ人間が作曲したとは到底信じられないだろう。その他「Seduction and Magic」「Dark Revelation」「Night Flight」等も静かにサスペンスを盛り上げて行く。「Interrupted Melody」は一転してモリコーネらしい繊細で美しい曲である。

このスコアは、公開当時にサントラ盤がLPでリリースされて以来長らくCD化されていなかったが、2001年になってフランスのワーナー・ミュージックからオリジナルのLPとは異なるジャケットデザインにより再発されたもの(音楽の内容・曲数はLPと同じ)。
(2001年5月)

Ennio Morricone

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