ラッシュアワー2   RUSH HOUR 2

作曲・指揮:ラロ・シフリン
Composed and Conducted by LALO SCHIFRIN

演奏:ハリウッド・スタジオ交響楽団
Performed by the Hollywood Studio Symphony Orchestra

(米Varese Sarabande / 302 066 279 2)

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クリス・タッカージャッキー・チェンが刑事コンビを演じ、予想以上のヒットとなったアクションコメディの続編(2001年製作)。監督は前作「ラッシュアワー」(1998)の他、「ランナウェイ」(1997)「天使のくれた時間」(2000)等を手がけているブレット・ラトナー。共演はジョン・ローン、チャン・ツィイー、ロセリン・サンチェス、ハリス・ユーリン、アラン・キング、ドン・チードル他。脚本はジェフ・ナサンソン、撮影はマシュー・F・レオネッティが担当。バケーションを楽しもうと香港にやって来た刑事のカーター(タッカー)とリー(チェン)が、アメリカ大使館での爆破事件の捜査を命じられたことから、またも事件に巻き込まれていく・・。ジョン・ローンとチャン・ツィイーがここでは悪役を演じている。

音楽は前作同様、ベテランのラロ・シフリンが担当しているが、オーケストラの編成が前作よりスケールアップしており、久しぶりにシフリンがダイナミックにオーケストラを鳴らしたハイテンションなアクションスコアを堪能できる。「Rush Hour 2 - Main Title」は前作の(「燃えよドラゴン」に酷似した)テーマを流用しているが、途中からサスペンス調のアンダースコアになる。「Out of the Way」での独創的な展開や、「Undercover Agents」でのジャズとオーケストラの組合わせによるサスペンス音楽がいかにもシフリンらしく、ファンとしては非常に面白い。「Mu Shu Parlor」での中国風の音楽は幻想的で美しいが、彼にしてはアプローチが平凡。「Isabella」でのセンシュアルなタッチのジャズ(税務捜査官イザベラのテーマ)や、「The Cosma Is Las Vegas」でのビッグバンドジャスとオーケストラによるアンダースコアの組合わせも良い。「Parlor Fight」「Like Father, Like Son」「The Sword and the Spear」「The Dragon and the Treasure」等はフルオーケストラによるダイナミックで緊迫したアクションスコアで、重厚なブラスとパーカッションのアタックが小気味良い。最後のトラックがアクション音楽なのでやや唐突な終わり方をするが、VareseのCDとしては珍しく52分以上の音楽が収録されており、聴き応えがある。

シフリンはジャズベースのサスペンス・アクション音楽を得意としており、オーケストラ主体のアクションスコアというと、戦争映画の「鷲は舞い降りた(The Eagle Has Landed)」、フレデリック・フォーサイス原作のスパイ映画「第四の核(The Fourth Protocol)」等が過去にあったが、今回の「ラッシュアワー2」のスコアも全編にわたってかなりオーケストラが鳴りまくっており、正に彼の本領発揮といったスコアでファンとしては非常に嬉しい。
(2001年9月)

Lalo Schifrin

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