オーメン/最後の闘争   THE FINAL CONFLICT

作曲:ジェリー・ゴールドスミス
Composed by JERRY GOLDSMITH

指揮:ライオネル・ニューマン
Conducted by LIONEL NEWMAN

演奏:ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the National Philharmonic Orchestra

(米Varese Sarabande / 302 066 289 2)

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「オーメン」シリーズの第3作で一応の完結編(1981年製作)。監督は「インパルス!暴走する脳」(1984)「エイリアン・ネイション」(1988)「ボンバー・ライダーズ」(1991)のグラハム・ベイカー。出演はサム・ニール、ロッサノ・ブラッツィ、リサ・ハーロウ、ドン・ゴードン、メイソン・アダムス、バーナビー・ホルム他。脚本はアンドリュー・バーキン、撮影はロバート・ペインターとフィル・メヒューが担当。1作目の監督であるリチャード・ドナーが製作総指揮として参加している。30代となり大企業の社長に就任した悪魔の子ダミアン・ソーン(ニール)は、駐英大使を猟銃自殺に追いやりその後任となるが、彼の真の目的はイギリスのどこかで誕生しようとしているキリストの生まれ変わりの抹殺だった……。というストーリーだが、映画自体はシリーズ中でも最もインパクトの弱い作品。

音楽は「オーメン」でアカデミー音楽賞を授賞したジェリー・ゴールドスミスで、彼はこのシリーズの2作目、3作目の音楽を一貫して担当している(指揮者のライオネル・ニューマン、演奏のナショナル・フィルも同じ)。この3作目のスコアについては、Varese Sarabandeレーベルから1986年に一度サントラCDが出ていたが、今回同じレーベルからリリースされたこの「The Deluxe Edition」は、オリジナル・レコーディングのマスターからデジタルリマスターされて音質が改善されている上に、「The Statue」(4:11)「666」(3:00)の2曲が追加され、更にフィナーレの「The Final Conflict」が8分32秒とオリジナルより5分近く長いバージョンとなっている。

この「オーメン」シリーズの音楽は、3作ともジェリー・ゴールドスミスのベストスコアに入る傑作である。映画自体は後になるほど出来が悪くなっていくが、音楽は更にパワフルに、更にスケールが大きくなっていくところがさすがである。この3作目では、“神と悪魔との対決”という非常にクラシックなテーマを堂々と描写した荘厳でスペクタキュラーなスコアを提供しており、映画の平凡な出来と比べるとまさに「もったいない」の一言である。冒頭の「Main Title」から、パワフルなファンファーレに続く重厚なコーラスによる主題が非常に格調高く、低級ホラー映画がはじまったとは到底思えない立派なオープニングである。この同じ主題を効果的に使った「The Monastery」「Electric Storm」や、恐怖を徐々に盛り上げて行く「The Ambassador」「A T.V. First」も実に上手い。狐狩りのシーンの「The Hunt」は非常に躍動的でダイナミックなオーケストラルスコアで、全体の白眉。後半の「666」「Parted Hair」「The Iron」といったホラー音楽の連続も凄まじい。ラストの「The Final Conflict」はまるで史劇スペクタクルのフィナーレのような壮大なスケールの音楽。どんなくだらない映画にも全く手を抜かずに真正面から取組むゴールドスミスの姿勢は、まさにプロフェッショナリズムの極致と言えよう。
(2001年12月)

Jerry Goldsmith

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