WASABI WASABI: LA PETITE MOUTARDE QUI MONTE AU NEZ
作曲:エリック・セラ、ジュリアン・シュルテイス Composed by ERIC SERRA and JULIEN SCHULTHEIS (仏U.L.M. / 016 444-2) |
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リュック・ベッソンがパリに設立した映画会社Europa Corp.が2001年に製作したアクション・ドラマ(日本公開は2002年1月)。ベッソンはここではプロデュースと脚本を担当。監督は「TAXiA」のジェラール・クラヴジック。出演はジャン・レノ、広末涼子、ミシェル・ミューラー、キャロル・ブーケ、ルドヴィック・ベルティロ、ヤン・エプステイン、ミシェル・スクールノー、クリスチャン・シニガー、ジャン=マルク・モンタルト、アレクサンドル・ブリック、ファビオ・ゼノーニ他。撮影はジェラール・ステランが担当。ジャン・レノ扮するフランス人の刑事ユベールが過去に愛した日本人女性の死を知り、日本にやって来て事件に巻き込まれる、というストーリーだが、秋葉原や帝国ホテル、高島屋デパート等でのロケ撮影が話題になった。2001年4月に東京都が道路や建物など都の施設を利用した映画やテレビドラマのロケ撮影の誘致を目指して、相談窓口「東京ロケーションボックス」を都庁内に開設したが、この映画がそのロケ申請第一号である(が、結果的には一部無許可で撮影している・・)。ベッソンと面談した石原都知事が「君の次回作に出演させてくれ」と言ったという笑えるエピソードがあり。広末涼子の出演は、日本で「秘密」という広末主演の映画を見たベッソンが彼女に惚れ込んで決めたらしい(この映画をフランスでリメイクするという話もあった)。
音楽はベッソンの監督作品「グランブルー」「ニキータ」「レオン」「フィフス・エレメント」「ジャンヌ・ダルク」等を手がけている盟友エリック・セラが担当(ベッソン自身の監督作品でない映画を手がけるのは珍しい)。このサントラCDは全部で27トラックあるが、この内の9トラックはレノ、広末、ミューラー等による劇中の短いセリフで、残り18トラック中の6曲がエリック・セラ、5曲が共同作曲家のジュリアン・シュルテイス、1曲がセラとシュルテイスの共作、残りの6曲がナディア・ファレス等による挿入歌という構成になっている。
エリック・セラが担当した6曲中の「Shakoto & Narita Smurt」は日本が舞台のせいかややオリエンタルなタッチのロックだが、実に平凡(曲中に女性の声で「どこへ行きますか?」「あれは特別な駅です」という日本語のセリフが入っている)。ピアノとオーケストラによるドラマティックな「Song to Miko」や、シンセサイザーを主体にしたサスペンス音楽の「Hub's Bank」、ラストの静かに叙情的な「Miko's Ashes」等はいかにもセラらしいタッチ。「Miko's Testimony」はギターとピアノにストリングスがかぶるリリカルな曲だが、ちょっと短すぎて盛り上がらない。「Miss San」のストイックなタッチのギターも良い。一方、ジュリアン・シュルテイスの曲は「Tokyo Drive」「Killer Golf」「Shooting Game」が無味乾燥なロック。「A Picture of Miko」はセラの曲のイメージに近いリリカルなタッチ。「Have a Receipt」は突如としてオーケストラとシンセサイザーによる重厚なサスペンス音楽で、このアルバム中で最もアンダースコア的な曲。一体この作曲家はどういう作風なのだろう?
このフランスのサントラCDのライナーには、「Bonjour
= OHAYOU GOZAIMASU」といった感じで「フランス人旅行者向け日本語表現集」みたいなページがあるが、所々日本語の発音が間違っているところが可笑しい。実に奇妙なアルバムである。
(2001年12月)
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