屋根の上のバイオリン弾き   FIDDLER ON THE ROOF

作曲:ジェリー・ボック、ジョン・ウィリアムス
Composed by JERRY BOCK and JOHN WILLIAMS

作詞:シェルドン・ハーニック
Lyrics by SHELDON HARNICK

編曲・指揮:ジョン・ウィリアムス
Adapted and Conducted by JOHN WILLIAMS

ヴァイオリン・ソロ:アイザック・スターン
Violin Solo by ISAAC STERN

(米EMI / 72435-35266-2-7)

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ジェローム・ロビンスの演出によるブロードウェイ・ミュージカルを、「シンシナティ・キッド」(1965)「夜の大捜査線」(1967)「華麗なる賭け」(1968)「ジーザス・クライスト・スーパースター」(1973)「ローラーボール」(1975)「アグネス」(1985)「ザ・ハリケーン」(1999)等のノーマン・ジュイソン監督が1970年に映画化した作品。出演はトポル、ノーマン・クレーン、レナード・フレイ、モリー・ピコン、ポール・マン、ロザリンド・ハリス、レイモンド・ラヴロック、ポール・マイケル・グレイザー他。ショーラム・アレイハムの原作を基にジョセフ・スタインが脚本を執筆。撮影はオズワルド・モリス。ロシア革命前夜のユダヤ人の迫害を背景に、ウクライナに暮らす貧しいユダヤ人テビエ(トポル)とその家族の生活を描いたミュージカル。この作品は、1971年度アカデミー賞の作品賞、主演男優賞(トポル)、助演男優賞(レナード・フレイ)、監督賞、撮影賞、音楽(編曲・歌曲)賞、美術監督・装置賞、音響賞にノミネートされ、撮影賞、音楽(編曲・歌曲)賞、音響賞の3部門を受賞した。また、同年度ゴールデン・グローブの作品賞(コメディ/ミュージカル)、男優賞(コメディ/ミュージカル)も受賞している。

この作品はミュージカルで、劇中で歌われる歌曲は全てジェリー・ボック作曲/シェルドン・ハーニック作詞によるもの(パワフルな「Tradition」や、哀愁を帯びた「Sunrise, Sunset」は非常に有名)だが、全体の編曲(Adaptation)とオーケストラの指揮を当時38歳のジョン・ウィリアムスが担当している。このCDは映画公開の30周年記念盤(30th Anniversary Edition)として2001年にリリースされたもので、デジタルリマスターにより音質が鮮明になっている上に、これまでサントラアルバムに未収録だったウィリアムスによるスコア・トラック4曲と、ポール・マイケル・グレイザーによる歌「Any Day Now」(伴奏はウィリアムス指揮ロンドン交響楽団)を含んでいる。

新たに収録されたスコア・トラックの内、「Wedding Procession」は民族色の強い素朴で陽気な舞踏音楽。「First Act Finale」は、不吉なイントロからパワフルでドラマティックなフル・オーケストラによるアンダースコアが展開する(この曲のみ作曲のクレジットがウィリアムスになっているので、これは完全に彼のオリジナル曲ということだろう)。「Entr'acte」は主要な挿入歌をメドレーにしたカラフルな間奏曲。「The Rejection Scene」もダイナミックで力強いスコア。その他、「Wedding Celebration and "The Bottle Dance"」「Chava Ballet Sequence」といった歌曲でのオーケストラによる間奏の部分でも、いかにもウィリアムスらしいドラマティックな表現が秀逸。

ジョン・ウィリアムスが音楽を担当したミュージカルというと、この他にも「チップス先生さようなら(Goodbye, Mr.Chips)」(1969)や、シャーマン兄弟の作詞・作曲による「トム・ソーヤーの冒険(Tom Sawyer)」(1973)がある(LPアルバムが各々MCAとUAからリリースされていた)が、やはり代表作はこの「屋根の上のバイオリン弾き」で、彼はこの作品で初めてアカデミー賞(編曲)を受賞している。時期的には「おしゃれ泥棒」(1966)「ニューヨーク泥棒結社」(1967)「哀愁の花びら」(1967)「華麗なる週末」(1969)といった作品を手がけていた頃で、この作品以降、「ジェーン・エア」(1970)「11人のカウボーイ」(1971)、そして「ポセイドン・アドベンチャー」(1972)と続く。

因みに、ジョン・ウィリアムスは現在(2002年1月)までにアカデミー賞に合計39回ノミネートされ、5回受賞している。その詳細は以下の通り。

(□=ノミネート、■=受賞)

1967年 □音楽(編曲賞)「哀愁の花びら」
1969年 □作曲賞「華麗なる週末」、□ミュージカル映画音楽賞「チップス先生さようなら」
1971年 ■音楽(編曲・歌曲)賞「屋根の上のバイオリン弾き」
1972年 □作曲賞「ポセイドン・アドベンチャー」、□作曲賞「(未公開)ロバート・アルトマンのイメージズ」
1973年 □ミュージカル映画音楽賞「トム・ソーヤーの冒険」、□作曲賞「シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛」、□歌曲賞「シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛」より「You're So Nice to Be Around(作曲)」
1974年 □作曲賞「タワーリング・インフェルノ」
1975年 ■作曲賞「JAWS/ジョーズ」
1977年 ■作曲賞「スター・ウォーズ」、□作曲賞「未知との遭遇」
1978年 □作曲賞「スーパーマン」
1980年 □作曲賞「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」
1981年 □作曲賞「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」
1982年 ■作曲賞「E.T.」、□歌曲賞「(未公開)YES,GIORGIO」より「If We Were in Love(作曲)」
1983年 □作曲賞「スター・ウォーズ/ジェダイの復讐」
1984年 □作曲賞「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」、□作曲賞「ザ・リバー」
1987年 □作曲賞「太陽の帝国」、□作曲賞「イーストウィックの魔女たち」
1988年 □作曲賞「偶然の旅行者」
1989年 □作曲賞「7月4日に生まれて」、□作曲賞「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」
1990年 □作曲賞「ホーム・アローン」、□主題歌賞「ホーム・アローン」より「Somewhere in My Memory(作曲)」
1991年 □作曲賞「JFK」、□主題歌賞「フック」より「When You're Alone(作曲)」
1993年 ■作曲賞「シンドラーのリスト」
1995年 □音楽賞(オリジナルドラマ)「ニクソン」、□音楽賞(オリジナル・ミュージカル/コメディ)「サブリナ」、□歌曲賞「サブリナ」より「Moonlight(作曲)」
1996年 □音楽賞(オリジナルドラマ)「スリーパーズ」
1997年 □音楽賞(オリジナルドラマ)「アミスタッド」
1998年 □音楽賞(オリジナルドラマ)「プライベート・ライアン」
1999年 □音楽賞(オリジナル・ミュージカル/コメディ)「アンジェラの灰」
2000年 □作曲賞「パトリオット」

(2002年1月)

John Williams

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