ファイナル・カウントダウン   THE FINAL COUNTDOWN

作曲・指揮:ジョン・スコット
Composed and Conducted by JOHN SCOTT

(米JOS / JSCD 129)

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1980年製作のアメリカ映画。監督は「ドクター・モローの島」(1977)「オーメン2/ダミアン」(1978)等のドン・テイラー。出演はカーク・ダグラス、マーティン・シーン、ジェームズ・ファレンティノ、キャサリン・ロス、ロン・オニール、チャールズ・ダーニング、スーン=テック・オー、ピーター・ダグラス他。脚本はデヴィッド・アンブローズ、ゲイリー・デイヴィス、トーマス・ハンターとピーター・パウエルが担当。撮影はヴィクター・J・ケンパ。現代から1941年12月7日の真珠湾攻撃直前の過去にタイムスリップした米国海軍原子力空母ニミッツとその乗員を描くファンタジー。米海軍の協力により実物のUSSニミッツを使って撮影されている。

音楽はイギリスのベテラン、ジョン・スコット。思えばこの映画の日本盤サントラLPを買ってはじめてスコットの音楽に触れたような気がする。どちらかといえば地味な作品の多い彼としては、代表作の一つであろう。冒頭の「The Final Countdown - Main Title」は、豪快なファンファーレによるイントロから海洋冒険活劇的な勇壮なメインテーマへと展開する。ブラスとストリングスのクリスプな響きが耳に心地よい。中盤から同じ主題のまま暗転したトーンになる部分も上手い。「Mr.Tideman」はドラマティックな第二主題で、後述するラブテーマへと発展する。「The USS Nimitz on Route」「The Approaching Storm」等はハイテンションなサスペンス音楽だが、「Pursued by the Storm」は「ジョーズ」の主題に少し似ている。「Into the Time Warp」はタイムワープのシーンの、不協和音をベースにした抽象的なタッチの音楽だが、こういう部分はかえって平凡。「Rig the Barricades」「Shake Up the Zeros」「General Quarters」「Operation Pearl Harbor」といったミリタリスティックでパワフルなアクションスコアも良い。「Laurel and Owen」で登場し、「On the Beach」「Mr. and Mrs.Tideman」でも演奏されるやや感傷的なタッチのラブテーマは、後に日本で岩崎宏美が歌って大ヒットした歌謡曲「聖母(マドンナ)たちのララバイ」として盗作されたことで有名(作詞は山川啓介)。この曲は1981年より日本テレビ系の「火曜サスペンス劇場」の主題歌としてオンエアされ、発売後1週間で20万枚を超すヒット曲となり、1982年の第13回日本歌謡大賞を受賞した。このCDのライナーノーツによると、日本で自分の曲が無断で盗作されたことを知ったジョン・スコットは、自ら東京までやって来て音楽出版社に直接抗議したところ、「この曲はきっと大ヒットになる。差し止めようとしたところで日本の著作権法により最大200ドルの罰金が課せられるだけだ」と言われ、結局日本での収入の1/8のロイヤルティを受け取ることで合意したという。

尚、この「ファイナル・カウントダウン」は1980年にドイツのTarantulaというレーベルから海賊盤CDが出ている(全15曲で正規盤のLPと同じ内容)。スコット自身、ロンドンのCDショップでこの海賊盤を見つけ、20ポンドも支払って購入したらしい。今回リリースされたCDはスコット自身が運営するJOSレーベルによるれっきとした正規盤であり、全23曲(約54分)のコンプリート・スコアが収録されている。

= 2020年10月追記 =

米JOSレーベルより同内容のCDが再発されている。

ジョン・スコットが手がけたその他の映画音楽には、「(未公開)恐怖の研究(A Study in Terror)」(1965)「長い長い決闘}(1967)「美人殺人部隊」(1967)「姿なき殺人」(1967)「ああ月旅行」(1967)「おませなツインキー」(1969)「アントニーとクレオパトラ」(1971)「愛と死のエルサレム」(1971)「狂気のいけにえ」(1972)「荒野のガンマン無宿」(1973)「(未公開)英国が私を作った(England Made Me)」(1973)「ス★パ★イ」(1974)「ラッキー・タッチは恋の戦略」(1975)「怒りの日」(1975)「ザ・ショッカー/女子大生を襲った呪いの超常現象」(1976)「続・恐竜の島」(1977)「ノース・ダラス40」(1979)「悪魔の受胎」(1979)「(TV)タワー・ジャック」(1980)「未来から来たハンター/ヨオ」(1982)「グレイストーク/類人猿の王者ターザンの伝説」(1983)「(未公開)シューティング・パーティ(The Shooting Party)」(1984)「(未公開/TV)ガンジーと総督/自由への長い道(Mountbatten - The Last Viceroy)」(1985)「キングコング2」(1986)「影の軍隊」(1986)「(未公開)燃える男(Man on Fire)」(1987)「ボンベイ大捜査線」(1987)「影なき男」(1987)「ウィンターピープル」(1987)「デシーバーズ/暗黒の大地」(1988)「レッド・キング★狙われた赤い星」(1989)「ブラック・レインボウ」(1989)「キング・オブ・ザ・ウィンド/疾風の覇者」(1989)「兜」(1990)「ライオンハート」(1991)「コレット・水瓶座の女」(1991)「ジャック・ルビー」(1992)「イエロードッグ」(1994)「テロリスト・ゲーム2/危険な標的」(1995)「ジャングル・ブック/少年モーグリの大冒険」(1997)等がある。
(2002年3月)

John Scott

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