ダイ・ハード   DIE HARD

作曲・指揮:マイケル・ケイメン
Composed and Conducted by MICHAEL KAMEN

演奏:ハリウッド・スタジオ交響楽団
Performed by the Hollywood Studio Symphony

(米Varese Sarabande / VCL 0202 1004)


1988年製作のアメリカ映画。監督は「シュワルツェネッガー/プレデター」(1987)「レッド・オクトーバーを追え!」(1990)「ラスト・アクション・ヒーロー」(1993)「ダイ・ハード3」(1995)「13ウォーリアーズ」(1999)「トーマス・クラウン・アフェアー」(1999)「ローラーボール」(2001)等のジョン・マクティアナンで、これは彼の出世作となった。出演はブルース・ウィリス、アラン・リックマン、ボニー・ベデリア、アレクサンダー・ゴドノフ、レジナルド・ヴェルジョンソン、ポール・グリーソン、ウィリアム・アサートン、ハート・ボックナー、ジェームズ繁田、アル・レオン、ロバート・ダヴィ、デヴロー・ホワイト、グランド・L・ブッシュ他。ロデリック・ソープの原作を基にジェブ・スチュアートとスティーヴン・E・デ・スーザが脚本を執筆。製作はローレンス・ゴードンジョエル・シルヴァー。撮影は後に「スピード」「ツイスター」等を監督するヤン・デ・ボン、SFXはリチャード・エドランドが担当。

L.A.にある日本企業、ナカトミ商事のハイテク高層ビルがクリスマスパーティの最中にハンス・グルーバー(リックマン)率いる武装テロリストチームによって占拠され、社員が人質となる。ナカトミ商事の女性重役である妻ホリー(ベデリア)に会うために偶々その場に居合わせたNY市警のジョン・マクレーン刑事(ウィリス)は、たった一人でテロリストたちに戦いを挑んでいく……。この映画は、20世紀フォックス社がL.A.のセンチュリーシティに新しく建てたフォックス・プラザ・ビル(皮肉なことにその後日本企業に売却された)を舞台に、当初はリチャード・ギアを主役として製作される予定だったという(が、ギアは出演を断った)。監督を依頼されたマクティアナンは、元の脚本がシリアスすぎると感じ、自らより軽妙なタッチに書き直した。その結果、当時TVのコメディ役者として売っていたブルース・ウィリスが主役に抜擢されたが、この映画は彼がアクション映画スターとしてのキャリアをスタートするきっかけとなった。“刑事VSテロリスト”という図式は決して新しくはないが、ビルの中という限られた範囲内にストーリーを限定することで、テンションを高めることに成功している。脚本の伏線の張り方や、小道具の使い方(ホリーの部屋にある夫婦で映った写真立てや、ホリーが会社からもらったロレックス等)の上手さ、ビル内の位置関係のわかりやすさ等、映画的な工夫が駆使されていて非常に感心する。リチャード・エドランドによるSFXもリアリスティックで迫力がある。この映画以降、“ヒーローが極限状態の中、たった一人で多数の敵と戦う”というパターンのアクション映画が多数製作された。1988年度アカデミー賞の編集賞、録音賞、特殊視覚効果賞、音響効果編集賞にノミネートされている。

音楽はこの映画のプロデューサー、ジョエル・シルヴァー製作の「リーサル・ウェポン」シリーズも担当しているマイケル・ケイメンで、こちらのシリーズも「ダイ・ハード2」「ダイ・ハード3」と常連で手がけている。いかにも彼らしく、あまり明確な主題のない劇伴に徹したオーケストラルスコアだが、ハイテンションでシリアスなタッチの中にも独特のユーモアのセンスを感じさせるところが面白い。また、ストーリーの設定に合せ、クリスマスソングやベートーヴェンの第九交響曲を効果的に挿入しているところも上手い。このCDの最初のトラック「The Nakatomi Plaza」は、実際には映画で使われなかった曲だが、ギターをベースとしたやや暗いトーンの曲で、ビル全体を襲う悲劇を象徴している。「Gruber's Arrival」はグルーバー率いるテロリスト達がビルを占拠するシーンの不吉なテーマで、第九のフレーズを一部引用している。その後、テロリストがナカトミ商事のタカギ社長(ジェームズ繁田)からメインコンピュータの暗証番号を聞き出すシーン(「John's Escape / You Want Money?」)や、マクレーンがビルの火災探知器を反応させ、消防隊を呼び寄せようとするシーン(「The Roof」)等のサスペンス音楽が続くが、「The Fight」ではマクレーンとテロリストの一人との最初の格闘シーンが描かれる。「Going After John Again」「Welcome to the Party」ではマクレーンとテロリストとの銃撃戦が本格化し、ケイメンらしいダイナミックなアクションスコアが展開する。「Assault on the Tower」は、ビルに到着した警官隊とテロリストとの銃撃戦シーンの激しいアクション音楽で、前半の聴きどころ。随所に明るいクリスマスソングのフレーズを挿入するユーモアがケイメンらしい。「Bill Clay」はマクレーンとグルーバーが初めて対面するシーンのハイテンションなサスペンス音楽(映画では未使用)。「Ode to Joy」はテロリスト達がビルの金庫を開けるシーンの音楽で、第九の「歓喜の歌」を効果的に流用している。「The Battle」はFBIのジョンソン捜査官コンビがヘリでビルを襲撃するクライマックスの10分以上に及ぶアクション音楽で、全体の白眉。ダイナミックでエキサイティング。最後に映画のエンドクレジットに流れる「Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!」(作曲ジュール・スタイン/作詞サミー・カーン)のインストゥルメンタル・バージョンが収録されている(映画ではヴォーカル・バージョンだったが、このバージョンを収録したCDは現在出ていないようである)。実際の映画では、必ずしもケイメンの意図した通りに音楽は使われず、何度も同じ曲をループしたり、バラバラにして全く別のシーンに付けられたりした。更に映画のラストで、マクレーンとホリーが再会するシーンでは、ジョン・スコット作曲の「(未公開)燃える男」の曲、その直後にテロリストの一人カール(ゴドノフ)をパウエル巡査(ヴェルジョンソン)が射殺するシーンでは、ジェームズ・ホーナー作曲の「エイリアン2」の曲が流用されている(もちろんこのCDには収録されていないが、いずれも同じVarese SarabandeレーベルからサントラCDが出ている)。

尚、この「ダイ・ハード」のスコアには、以前にPony Tailというレーベルから海賊盤CDがリリースされていたが、ここで紹介しているVarese Sarabandeの正規盤CDは“CD Club”リリースとして3,000枚限定でプレスされたもので、曲数も海賊盤の13曲から21曲に増えており、収録時間も約51分から約77分と長くなっている。ただ、海賊盤と今回の正規盤では曲名や曲のバージョンにかなり相違があるので、参考までに両者の収録曲を以下にリストアップしておく(海賊盤には上記のジョン・スコットとジェームズ・ホーナーの曲までちゃんと入っているところが笑える)。

<海賊盤CD>
(Pony Tail / PTCD 2001)

1. Roy Rogers Meets Beethoven's Ninth (1:30)
2. The Terrorists (4:00)
3. "He Won't Be Joining Us, Forever!" (1:44)
4. Searching for John / Neck Snap (2:09)
5. Ho-Ho-Ho, One Dead Terrorist (0:56)
6. Rooftop / Elevator Shaft / Air Shaft / "Welcome to the Party Pal!" (8:53)
7. "Let's Kick Some Ass!" / S.W.A.T. / "Send in the Car!" / Big Boom (7:19)
8. Bathroom Stories (1:46)
9. Beethoven's Ninth / "Get in the Van" (3:07)
10. Hand to Hand / Helicopters / Another Big Boom (6:44)
11. "Honey, I'm Home" / The Big Fall (5:55)
12. We've Got Each Other + (1:55)
13. Resolution ++ (2:46)
(Total time 50:48)

+ Composed by John Scott for the film "Man on Fire".
++ Composed by James Horner for the film "Aliens".

<正規盤CD>
(Varese Sarabande / VCL 0202 1004)

1. The Nakatomi Plaza (1:50)
2. Gruber's Arrival (3:40)
3. John's Escape / You Want Money? (5:52)
4. The Tower (1:49)
5. The Roof (3:57)
6. The Fight (1:07)
7. He Won't Be Joining Us (3:53)
8. And If He Alters It? (2:39)
9. Going After John Again (4:33)
10. Have a Few Laughs (3:29)
11. Welcome to the Party (1:00)
12. TV Station / His Bag Is Missing (3:52)
13. Assault on the Tower (8:16)
14. John Is Found Out (5:03)
15. Attention Police (3:38)
16. Bill Clay (2:02)
17. I Had an Accident (2:37)
18. Ode to Joy (3:36)
19. The Battle (10:15)
20. Gruber's Departure (1:56)
21. Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow! (2:00)

(2002年3月)

= 2018年8月追記 =

本スコアの拡張盤CDが米La-La Land Recordsから2011年と2017年にリリースされている(内容は同じ)。収録内容は以下の通り(ヴォーン・モンローのヴォーカルによる「Let It Snow」も収録されている)。

★TOWER.JPで購入

★AMAZON.CO.JPで購入

米La-La Land Records / LLLCD 1188(2011年リリース)3500枚限定プレス
米La-La Land Records / LLLCD 1419(2017年リリース)2000枚限定プレス

Disc 1

1. Main Title* (00:38)
2. Terrorist Entrance (04:05)
3. The Phone Goes Dead/Party Crashers (01:51)
4. John's Escape/You Want Money (06:00)
5. Wiring the Roof (01:51)
6. Fire Alarm (02:04)
7. Tony Approaches (01:41)
8. Tony and John Fight (01:11)
9. Santa (00:55)
10. He Won't Be Joining Us (03:01)
11. And If He Alters It (02:39)
12. Going After John (04:29)
13. Have A Few Laughs/Al Powell Approaches (03:31)
14. Under the Table (01:55)
15. Welcome to the Party (01:09)
16. TV Station (02:47)
17. Holly Meets Hans (01:19)
18. Assault On the Tower (08:35)

Disc 1 Time: 49:53

Disc 2

1. John Is Found Out (05:03)
2. Attention Police (03:54)
3. Bill Clay (04:09)
4. Shooting the Glass (01:05)
5. I Had an Accident (02:37)
6. The Vault (03:07)
7. Message for Holly (01:07)
8. The Battle/Freeing the Hostages (06:53)
9. Helicopter Explosion and Showdown (04:00)
10. Happy Trails (01:12)
11. We've Got Each Other (01:56) Written by John Scott
12. Let It Snow (01:43) Performed by Vaughn Monroe
     Written by Sammy Cahn and Jule Styne
13. Beethoven's 9th (End Credits Excerpt) (03:54)
     Written by Ludwig Van Beethoven

BONUS TRACKS

14. The Nakatomi Plaza (01:45)
15. Message for Holly (Film Version)* (02:46)
16. Gun in Cheek* (01:01)
17. Fire Hose* (01:00)
18. Ode to Joy (Alternate) (02:10)
19. Let It Snow (Source) (01:58) Performed by Michael Kamen
Written by Sammy Cahn and Jule Styne
20. Winter Wonderland (Source) (01:25)
     Written by Felix Bernard and Dick Smith
21. Christmas in Hollis (04:49) Performed by RUN-DMC
     Written by Joseph Simmons, Darryl McDaniels, Jason Mizell

Disc 2 Time: 57:59

*Mono Source

Total Duration: 01:47:15

Michael Kamen

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