(未公開)ENTRE CHIENS ET LOUPS

作曲:フィリップ・サルド
Composed by PHILIPPE SARDE

演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra

(仏Capitol / 542229 2 4)


「熱砂に抱かれて」(1991)「流血の絆」(1993)「世界で一番好きな人」(1995)「告発者K」(1997)等のアレクサンドル・アルカディが製作・監督した犯罪ドラマ。米国公開題名は「Break of Dawn」(原題名の“Entre chiens et loups”は“たそがれ時に”という意味)。出演はリシャール・ベリ、サイード・タグマウイ、ホアキム・デ・アルメイダ、アヌーク・グランベール、エチエンヌ・シコット、ムーサ・マースクリ、クリスチャン・イアコブ、アレクサンドル・ルパン、ヴァレンタン・テオドシウ、アンドレイ・フィンチ、サラ・テスクーク、ジョヴァンカ・ソパロヴィック、ジェームソン・ペッパー、ゲオ・ドブル、ジャン=クロード・ドゥ・ゴロス他。脚本は、アレクサンドル・アジャ、グレゴリー・レヴァズールとアレクサンドル・アルカディ。撮影はアレッサンドロ・フェイラ・シオス。ルーマニアのブカレストを舞台に、将軍暗殺の仕事を請け負った、癌に苦しむ前科者の元銀行強盗アドリアン(ベリ)と、傭兵出身で自殺願望の狙撃手ウェルナー(タグマウイ)の逃避行と友情を描くドラマ。

音楽はアルカディ監督の前作「La-bas... mon pays」(2000)等も担当しているベテランのフィリップ・サルド「Marie」は、いかにもこの作曲家らしい繊細で美しいシンフォニック・スコア。ギター等の入り方がちょっと懐かしさを感じさせる。「On est vivant!」は複雑で情感豊かな音楽。「Bucharesti Romania」「Les Carpates」はサスペンス調。「Ultime Rendez-vous」では讃美歌風の男声がフィーチャーされ、宗教的に響く。「Retour a Paris」も非常にドラマティック。地味ながらベテランらしいスコアで、安定感がある。寡作ではあるが、今でも継続的に新作を発表してくれることはファンとしては嬉しい。

尚、これらサルドによるアンダースコアの他に、クサヴィエ・ジャモー(Xavier Jamaux)作曲によるロック調の曲「Morphine」「Bastia Airport」フェリックス・グレイ作曲・作詞でジョニー・ハリデイのヴォーカルによる「Entre chiens et loups」「Un monde apart」アラウア・ゼルーキ作曲・作詞・ヴォーカルによる「Aya guellid moulana」が収録されている。
(2002年10月)

Philippe Sarde

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