フィリップ・サルド=ベルトラン・タヴェルニエ監督作品集
LE CINEMA DE BERTRAND TAVERNIER: MUSIQUES DE PHILIPPE SARDE

作曲:フィリップ・サルド
Composed by PHILIPPE SARDE

指揮:ユベール・ロスタン、カルロ・サヴィーナ、ピーター・ナイト、ハリー・ラビノウィッツ
Conducted by HUBERT ROSTAING, CARLO SAVINA, PETER KNIGHT, HARRY RABINOWITZ

(仏Universal / 017 178-2)

cover
このCD(輸入盤)を購入する

<収録曲>

1. (未公開)L'HORLOGER DE SAINT-PAUL
  ・Generique
  ・La visite
2. 判事と殺人者  LE JUGE ET L'ASSASSIN
  ・Le juge et l'assassin
  ・Complainte de Bouvier l'eventreur, par Jean-Roger Caussinmon
  ・Pour le temps et pour l'eternite
  ・Sigismond le Strasbourgeois, par Bob Morel
  ・La commune est en lutte, par Jean-Roger Caussimon
  ・Bal de nuit
3. (未公開)DES ENFANTS GATES
  ・Paris jadis, par Jean Rochefort et Jean-Pierre Marielle
  ・Le petit couteau
  ・Paris jadis
4. (未公開)COUP DE TORCHON
  ・Coup de torchon(ouverture)
  ・Dans la chambre vide, par Isabelle Huppert
  ・Ce soir on fete Munich
  ・La java de la masochiste, par Stephane Audran
  ・Je suis mort il y a si longtemps
5. 田舎の日曜日  UN DIMANCHE A LA CAMPAGNE
  ・Un dimanche a la campagne, par Marc Perrone
6. (未公開)L.627
  ・L.627(suite)
7. ソフィー・マルソーの三銃士  LA FILLE DE D'ARTAGNAN
  ・Les oubliettes
  ・Ave Maria

 

ベルトラン・タヴェルニエ監督(1941/4/25生)とフィリップ・サルドのコラボレーション作品を集めたコンピレーションで、1973年の「(未公開)L'HORLOGER DE SAINT-PAUL」から1994年の「ソフィー・マルソーの三銃士」までの7作品の音楽を収録している。フランスのUniversalレーベルによる、この「Ecoutez le cinema!」シリーズによって、サルドの過去の重要なスコアの大半はCD化された感がある。

1. (未公開)L'HORLOGER DE SAINT-PAUL (1973)

出演はフィリップ・ノワレ、ジャン・ロッシュフォール、ジャック・ドゥニ、イヴ・アフォンソ、ジュリアン・ベルトー、ジャック・イヤン、クロチルド・ジョーノ、アンドレ・タンシー、ウィリアム・サバティエ、セシール・ヴァソール他。ジョルジュ・シムノンの小説“L'Horloger d'Everton”を基に、ジャン・オーランシュ、ピエール・ボストとタヴェルニエが脚本を執筆。撮影はピエール=ウィリアム・グラン。リヨンのサン・ポール地区で時計屋を営むミシェル(ノワレ)は、彼の息子ベルナールが殺人を犯したことを刑事のギルブー(ロッシュフォール)から知らさせるが・・。サルドの音楽は、「Generique」がリズミックでサスペンスフルなメインタイトル。「La visite」は繊細で美しいタッチ。

2. 判事と殺人者  LE JUGE ET L'ASSASSIN (1975)

日本公開は1978年11月。出演はフィリップ・ノワレ、ミシェル・ガラブリュ、イザベル・ユペール、ジャン=クロード・ブリアリ、ルネ・フォール、セーシル・ヴァソール、ジャン=ロジェ・コーシモン、ジャン・ブレトニエール、フランソワ・ディレック、モニーク・ショーメット他。ピエール・ボストとジャン・オーランシュの原作を基にオーランシュとタヴェルニエが脚本を執筆。撮影はピエール=ウィリアム・グラン。サルドがピアニスト役でカメオ出演している。1893年のフランス。元軍曹のブーヴィエ(ガラブリュ)は恋人を殺して拳銃自殺を図るが、一命をとりとめ精神病院に入れられる。退院した彼は南フランスを徘徊し、多数の男女を殺害していく。判事のルーソー(ノワレ)は、ブーヴィエを逮捕することで出世を目論むが・・。サルドの音楽は、切り裂くような鋭いストリングスがテンションを高めているメインタイトル「Le juge et l'assassin」が秀逸。「Pour le temps et pour l'eternite」はトラジックなタッチ。「Bal de nuit」は美しいワルツ。ジャン=ロジェ・コーシモンとボブ・モレルによる3曲の挿入歌「Complainte de Bouvier l'eventreur」「Sigismond le Strasbourgeois」「La commune est en lutte」は、一転して陽気で素朴な雰囲気。

3. (未公開)DES ENFANTS GATES (1977)

出演はミシェル・ピコリ、クリスティーヌ・パスカル、ミシェル・オーモン、ジェラール・ジュニョー、アルレット・ボナール、ジュヌヴィエーヴ・ムニシ、ジェラール・ジメルマン、リザ・ブラコニエ、ミシェル・ベルト、ジョルジュ・リキエ、ミシェル・ブラン、イザベル・ユペール他。脚本はシャルロット・デュブルイユ、クリスティーヌ・パスカルとタヴェルニエ。撮影はアラン・ルヴァント。サルドの音楽は、「Paris jadis」がジャン=ロッシュフォールとジャン=ピエール・マリエールの歌うコミカルでセンチメンタルなワルツ調のシャンソンで、実に楽しい。「Le petit couteau」はサックスとコントラバスによるインティメートな曲。主題歌「Paris jadis」のジャズ・ピアノ版も収録。

4. (未公開)COUP DE TORCHON (1981)

出演はフィリップ・ノワレ、イザベル・ユペール、ジャン=ピエール・マリエール、ステファニー・オードラン、エディ・ミッチェル、ギイ・マルシャン、イレーヌ・スコブリーヌ、ミシェル・ボーヌ、ジャン・シャンピオン、ヴィクター・ガリヴィエ他。ジム・トンプソンの原作小説を基にジャン・オーランシュとタヴェルニエが脚本を執筆。撮影はピエール=ウィリアム・グラン。1938年の仏領のアフリカの国を舞台に、村の住民だけでなく妻(オードラン)からも馬鹿にされている無能な警官ルシアン(ノワレ)が、ある日突然正義に燃えて犯罪者を次々と処刑していく・・。サルドの音楽は、「Coup de torchon(ouverture)」がアブストラクトな前半から舞踏音楽風のダイナミックな主題へと展開していく序曲で、この主題は「Je suis mort il y a si longtemps」でも繰り返される。「Ce soir on fete Munich」はコミカルなタッチ。「Dans la chambre vide」「La java de la masochiste」は、出演女優のユペールとオードランによるロマンティックなシャンソン。フランス映画は出ている女優に劇中で歌わせるのが好きである(ミュージカルでなくても)。

5. 田舎の日曜日  UN DIMANCHE A LA CAMPAGNE (1984)

日本初公開は1985年11月。出演はルイ・デュクルー、サヴィーヌ・アゼマ、ミシェル・オーモン、ジュヌヴィエーヴ・ムニシ、モニーク・ショーメット、トーマス・デュヴァル、クェンティン・オジエ、カティア・ウォストリコフ他。ピエール・ボストの小説“Monsieur Ladmiral va bientot mourir”を基にベルトラン・タヴェルニエとコロ・タヴェルニエが脚本を執筆。撮影はブリューノ・ド・ケイゼル。パリ郊外に家政婦と共に暮らす老画家を主人公に、初秋の日曜日にパリから3人の孫を連れてやって来た息子夫婦や、突然立ち寄ってきた娘との交流を描くドラマ。1984年度カンヌ国際映画祭の監督賞、及び同年度ニューヨーク批評家協会賞の外国映画賞を受賞している。サルドの音楽は、マルク・ペローヌによる物悲しいアコーディオンの響きが印象的。

6. (未公開)L.627 (1992)

出演はディディエ・ベザース、ジャン=ポール・コマール、シャルロット・カディ、ニルス・タヴェルニエ、フィリップ・トルトン、ララ・ギラオ、セシール・ガルシア=フォージェル、クロード・ブロッセ、ファブリス・ルー、ジャン=リュック・アベル、フランシス・ジロー、マルク・ペローヌ他。脚本はミシェル・アレクサンドルとタヴェルニエ。撮影はアラン・ショカール。麻薬取引を強引なやり方で捜査するパリ警察麻薬課刑事ルル(ベザース)を描く犯罪ドラマ。サルドの音楽はアブストラクトでサスペンスフル。非常に複雑な構成で面白い。このスコアには1枚もののサントラCDが出ている(仏Milan / 873 131)。

7. ソフィー・マルソーの三銃士  LA FILLE DE D'ARTAGNAN (1994)

日本初公開は1996年6月。出演はソフィー・マルソー、フィリップ・ノワレ、クロード・リッシュ、サミー・フレイ、ラウール・ビレリー、ジャン=リュック・ビドー、シャルロット・カディ、ニルス・タヴェルニエ、ルイジ・プロイエッティ他。脚本はジャン・コスモとミシェル・レヴィアン、撮影はパトリック・ブロシェ。アレクサンドル・デュマ原作の『三銃士』の後日譚。ダルタニアンの娘エロイーズ(マルソー)が、老ダルタニアン(ノワレ)と、アラミス(フレイ)、ポルトス(ビレリー)、アトス(ビドー)の老三銃士たちと共に悪漢たちの陰謀を粉砕していくというコメディ・タッチの冒険ロマン。サルドの音楽は室内楽風の美しく優雅な曲。このスコアにも1枚もののサントラCDが出ている(仏Sony Classical / SK 66364)。

(2002年10月)

Philippe Sarde

Soundtrack Reviewに戻る


Copyright (C) 2002  Hitoshi Sakagami.  All Rights Reserved.