ミッドナイトクロス  BLOW OUT

作曲:ピノ・ドナジオ
Composed by PINO DONAGGIO

指揮:ナターレ・マッサラ
Conducted by NATALE MASSARA

演奏:ニューヨーク・スタジオ交響楽団
Performed by The New York Studio Symphony Orchestra

(ベルギーPrometheus / PCR 515)

★TOWER.JPで購入(Intrada盤) 


1981年製作のアメリカ映画。監督・脚本はブライアン・デ・パルマ。出演はジョン・トラヴォルタ、ナンシー・アレン、ジョン・リスゴー、デニス・フランツ、ピーター・ボイデン他。撮影はヴィルモス・ジグモンド。映画の音響効果マンであるジャック・テリー(トラヴォルタ)は、深夜に環境音(アンビエント・サウンド)を録音中に自動車事故を目撃し、その音もテープに収録してしまう。彼は事故現場から娼婦のサリー(当時デ・パルマ監督の妻だったナンシー・アレンが演じている)を助け出すが、ジャックとサリーは事故で死亡した大統領候補の関係者から事件を忘れるように指示される。が、ジャックが録音したテープには事故が殺人であったことを示す証拠が含まれており、それを知った殺し屋(リスゴー)は彼の命を狙いはじめる・・。例によってグルグルと回転するカメラワーク等技巧ばかりが鼻につく演出だが、デ・パルマとしてはオリジナリティを感じさせるストーリーで、悲痛な結末も印象的だった。トラヴォルタも好演している(彼を「パルプ・フィクション」でカムバックさせたクェンティン・タランティーノはこの映画のファンだったらしい)。原題の“Blow Out”は録音テープを“消去する”という意味と、知りすぎた男を“始末する”という2つの意味にひっかけている(日本語題名の意味は不明だが・・)。

音楽はデ・パルマとのコラボレーションの多いイタリアの作曲家ピノ・ドナジオ。なんといっても冒頭の「Theme from "Blow Out"」がトラジックで美しい“ドナジオ節”で、個人的には彼の作品中でも好きな曲である。この曲は「Jack and Sally in Cafe #2」「Jack Kills Burke」でもドラマティックに展開し、エンディングの「Good Scream / End Credits」でも繰り返されるが、上述の通り悲痛極まりない結末なので、音楽の効果も絶大だった。「Jack Saves Sally」等はダイナミックでサスペンスフルなスコア。中盤の「Jack Cuts Pictures」「Freddie and the Mobsters / Dead Freddie」「Burke to Phone Booth / Burke Kills Hokker」等でも不吉なタッチのサスペンス音楽が展開。リスゴー扮する殺し屋の脅威を描いたパーカッシヴな「Burke Meets Sally / The Station」「Burke Kills Sally」も良い。「Jack on the Move」「Jack Discovers Gunshot」等はロック音楽。アルバムの最後にソース音楽が2曲収録されている。1981年の録音だが、音質が今ひとつ良くないのが残念。これはサントラ音源が初CD化されたもので、2,500枚限定プレス。

尚、映画公開当時に日本のPolydorレーベルからスコア盤(サントラではなく別のオーケストラにより再録音したもの)のLPが出ていた。
(2002年12月)

Pino Donaggio

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