北極の基地/潜航大作戦 ICE
STATION ZEBRA 作曲・指揮:ミシェル・ルグラン (米Film Score Monthly / FSM Vol.6 No.2) |
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1968年製作のアメリカ映画。監督は「OK牧場の決斗」(1957)「荒野の七人」(1960)「大脱走」(1963)「サタンバグ」(1964)「鷲は舞いおりた」(1976)等の硬派ジョン・スタージェス。出演はロック・ハドソン、パトリック・マクグーハン、アーネスト・ボーグナイン、ジム・ブラウン、トニー・ビル、ロイド・ノーラン他。「秘密諜報機関」(1961)「ナバロンの要塞」(1961)「サタンバグ」(1964)「荒鷲の要塞」(1968)「デンジャー・ポイント」(1970)「八点鐘が鳴るとき」(1971)「爆走!」(1972)「地獄のキャラバン隊」(1974)「軍用列車」(1975)「黄金のランデブー」(1977)「ナバロンの嵐」(1978)「オーロラ殺人事件」(1979)等、大半の作品が映画化されている冒険小説の名手アリステア・マクリーンの原作を基に、「ダーティハリー」等のハリー・ジュリアン・フィンクとダグラス・ヘイズが脚本を執筆。撮影はダニエル・L・ファップ、ジョン・M・スティーヴンスとネルソン・タイラー。
極秘任務を受けたジェームズ・フェラデイ艦長(ハドソン)率いるアメリカの原子力潜水艦タイガーフィッシュは、米海兵隊員とイギリスの諜報員ジョーンズ(マクグーハン)を乗せて北極の英気象観測基地ゼブラへと向かう。そこには米ソのミサイル基地を撮影したフィルムを乗せたソ連の人工衛星が墜落していた・・。本作品は1968年度アカデミー賞の撮影賞と特殊視覚効果賞にノミネートされている(同年に受賞したのは「2001年宇宙の旅」だった)。プロデューサーのマーティン・ランソホフは、マクリーンによるベストセラー小説の映画化権を1964年に購入した際に、「ナバロンの要塞」の成功にあやかってグレゴリー・ペックとデヴィッド・ニーヴンを主役にキャストしたが、後に彼らはハドソンとマクグーハンにリプレースされた。なぜか著名な富豪ハワード・ヒューズのお気に入りの映画だったらしく、晩年にラス・ヴェガスのホテル・スイートで何度も繰り返しこの映画を見たという。
音楽はフランスのベテラン作曲家ミシェル・ルグラン。「シェルブールの雨傘」「おもいでの夏」といったリリカルな音楽で知られるメロディメーカーだが、ここでは珍しく75人編成のオーケストラによるソリッドなアクション・スコアを提供している。彼自身にとっても貴重な体験で、作曲を大いに楽しんだという。冒頭の「Overture」は、緊迫したイントロからフル・オーケストラによる雄大でヒロイックな主題の序曲へと展開。堂々としたアドベンチャー音楽で、ルグランらしい明快さ・大らかさを感じさせるところが実に良い。続く「Main Title / Satellite / Jones Arrives / All Aboard」は、メインの主題からサスペンス調のアンダースコアへと展開。この主題は「Wrong Bunk / The Mysterious Rendezvous」「Opaque Water」「Bring Her Up / Tigerfish Hits Ice / Intermission Card」等でも繰り返し登場する。「Under the Ice」では電子楽器が北極の雰囲気を表現。間奏曲「Ent'Acte」のビジーなイントロがなかなかかっこいい。続く「Crewman / Falls Into Crevasse / Tigerfish Submerges」はダイナミックなアクション音楽。「Jones Searches / Meteorology Lab」「Jones Finds Detector」「Anders Shot」「Russian Paratroops Land」等はソリッドなサスペンス調アンダースコア。「Unidentified Aircraft / Russian Planes」でのジャズ風のアレンジメントがルグランらしい。
このスコアは過去にMGMレーベルからサントラLP、Pendulumレーベルから同内容のCDが出ていたが、今回Film
Score MonthlyレーベルからリリースされたCDは未発表曲を含む約79分収録のコンプリート・スコアとなっており、3,000枚の限定プレス。
(2003年4月)
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