マジック  MAGIC

作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by JERRY GOLDSMITH

(米Varese Sarabande / VCL 0403 1018)


1978年製作のアメリカ映画。監督は「遠すぎた橋」(1977)「ガンジー」(1982)「コーラスライン」(1985)「遠い夜明け」(1987)「永遠の愛に生きて」(1993)等のリチャード・アッテンボロー(俳優としても有名で、特に「紳士同盟」(1960)「大脱走」(1963)「飛べ!フェニックス」(1965)等での脇役が印象的だった)。出演はアンソニー・ホプキンス、アン=マーグレット、バージェス・メレディス、エド・ローター、ジェリー・ハウザー、デヴィッド・オグデン・スティアーズ、リリアン・ランドルフ、ジョー・ローリー、ボブ・ハックマン、ベヴァリー・サンダース他。「動く標的」(1966)「明日に向って撃て!」(1969)「ホット・ロック」(1971)「マラソンマン」(1976)「大統領の陰謀」(1976)「プリンセス・ブライド・ストーリー」(1987)「ミザリー」(1990)「目撃」(1997)等の名手ウィリアム・ゴールドマンが、自らの原作小説を基に脚本を執筆。製作はジョセフ・E・レヴィン、撮影はヴィクター・J・ケンパー。腹話術師のコーキー(ホプキンス)はマネージャー(メレディス)ともめて故郷へ帰り、かつての恋人であるペギー(アン=マーグレット)と再会するが、マネージャーは彼を執拗に追い回す。やがて腹話術の人形ファッツが自らの意志をもってコーキーに命令しはじめる・・。人形に乗りうつられた腹話術師という設定は、1945年製作のイギリスのオムニバス・ホラー映画「(未公開)夢の中の恐怖(Dead of Night)」の最後のエピソードと似ているが、このマイケル・レッドグレーヴ主演の旧作の方が恐怖度は高かった。

音楽はジェリー・ゴールドスミスが作曲しており、これは以前からサントラ盤リリースの要望が多かったスコアである(一部を収録したプロモーショナル盤や海賊盤は存在していたが)。「オーメン」シリーズのようなホラー・パワー全開のスコアではないが、抑制されたタッチで恐怖感とテンションを高めている。「Main Title」は、ハーモニカとピアノのイントロからストリングスによる美しくも不安定さを感じさせるメインの主題へと展開。基本的にこの主題の様々なバリエーションにより全体が構成されている。「Corky's Retreat」は神経を逆撫でするようなストリングスによるサスペンス調で、後半はメインの主題。「Didn't Remember Me」「Memories」「Let's Take Off」等はメインの主題のジェントルなアレンジメント。特に「Appassionata」は繊細な美しさがゴールドスミスらしい(後半に不吉なアクセントを入れるところが上手い)。「One Chance」「Stop the Postman」は不気味なサスペンス音楽。「The Lake」は抑制されたタッチから暴力的なストリングスに。「Duke's End」「Fats Blows the Whistle」はビジーなストリングスによるハイテンションな恐怖音楽。「I'll Tell」もメインの主題のバリエーション。「End Titles」はメインの主題のジェントルなリプライズで締めくくる。最後にボーナストラックとしてナイトクラブのシーン用のソース音楽が2曲収録されている。

これはVarese Sarabandeレーベルの“CD Club”リリースとして3,000枚限定でプレスされたもの。
(2003年5月)

Jerry Goldsmith

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