(未公開)リプリーズ・ゲーム RIPLEY'S GAME(IL GIOCO DI RIPLEY)
作曲・指揮:エンニオ・モリコーネ Composed and Conducted by ENNIO MORRICONE 演奏:ヌオーヴァ・ローマ・シンフォニエッタ (伊Warner / 256460072-2) |
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2002年製作のアメリカ=イギリス=イタリア合作映画。「見知らぬ乗客」(1951)「太陽がいっぱい」(1960)「リプリー」(1999)等で知られるパトリシア・ハイスミスの原作「Ripley's Game」を「愛の嵐」(1973)「愛の謝肉祭」(1982)「卍/ベルリン・アフェア」(1985)等のイタリアの女流監督リリアーナ・カヴァーニが映画化した作品(この同じ原作は1977年にヴィム・ヴェンダース監督が「アメリカの友人」として既に映画化している)。「太陽がいっぱい」及び「リプリー」の原作「The Talented Mr.Ripley」にも登場したトム・リプリーが主人公のドラマ(この役は「太陽がいっぱい」ではアラン・ドロン、「リプリー」ではマット・デイモン、「アメリカの友人」ではデニス・ホッパーが演じた)で、海外での公開時のコピーは「Older. Wiser. More talented.」。マット・デイモンより年長で、より狡猾で、より才能豊かに見えるジョン・マルコヴィッチがトム・リプリーを演じている。共演はダグレイ・スコット、レイ・ウィンストーン、レナ・ヒーディ、キアラ・カセッリ他。脚本はチャールズ・マッケオンとリリアーナ・カヴァーニ、撮影はアルフィオ・コンティーニ。白血病に苦しむ額縁職人ジョナサン(スコット)と、彼を殺人計画に巻き込むリプリー(マルコヴィッチ)との関係を描くサスペンス。
「太陽がいっぱい」の音楽はニーノ・ロータ(あまりにも有名)、「リプリー」はガブリエル・ヤレ、「アメリカの友人」はユルゲン・クニーパーだったが、この「Ripley's
Game」の音楽はエンニオ・モリコーネが担当。“モリコーネ節”全開のクライムフィルム・スコアで、ドラマティックかつサスペンスフル。最近のモリコーネの作品としては珍しくストレートにサスペンスを強調したスコアで、特に冒頭の「In
concerto」や「Primo treno」「Secondo treno」「Collage per Ripley」等は70〜80年代の彼の犯罪映画音楽に近いタッチで懐かしさを感じさせる。「In
registrazione」のトラジックなタッチも素晴らしい。オーケストラをベースにジルダ・ブッタのピアノ、ジャンニ・オッディのソプラノ・サックスが気だるい雰囲気を出している。モリコーネ・ファン向きのスコア。
(2003年7月)
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