かげろう LES EGARES
作曲:フィリップ・サルド
Composed by PHILIPPE SARDE
指揮:コリン・シーン
Conducted by COLIN SHEEN
演奏:ステファン・グラッペリ(ヴァイオリン)、マルセル・アッゾーラ(アコーディオン)、ロンドン交響楽団
Performed by STEPHANE GRAPPELLI (Violon), MARCEL AZZOLA (Accordeon), and the
London Symphony Orchestra
(仏Universal / 980 988 7)
2003年製作のフランス映画で、同年度カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品された作品(英語題名は「STRAYED」。日本公開は2004年正月予定)。監督は「バロッコ」(1976)「ブロンテ姉妹」(1978)「ランデヴー」(1985)「深夜カフェのピエール」(1991)「夜の子供たち」(1996)「溺れゆく女」(1998)等のアンドレ・テシネ。出演はエマニュエル・ベアール、ギャスパール・ウリエル、グレゴワール・ルプランス=ランゲ、クレマンス・メイエ、ジャン・フォルヌロッド、サミュエル・ラバルト、エリック・クライケンマイヤー、ニコラ・ミード、ロベール・エリオット、ニジェル・オリッジ他。ジル・ペローの原作「Le garcon aux yeux gris」を基にジル・トランとアンドレ・テシネが脚本を執筆。撮影はアグネス・ゴダール。1940年のフランス。ドイツ空軍の爆撃を受け、道路に車を捨てて森へと逃げ込んだオディール(ベアール)と2人の子供は、放浪者のイヴァン(ウリエル)と出会う・・。
音楽はテシネ監督とのコラボレーションが多いフィリップ・サルド。冒頭の「Les
egares」はメランコリックで情感豊かな曲で、マルセル・アッゾーラのアコーディオンの響きが切ない。「La maison abandonnee」はステファン・グラッペリの美しく懐かしいヴァイオリンをフィーチャーした繊細なタッチの曲。「Un
printemps 1940」はサルドの傑作「離愁」に似たサスペンスフルな曲。「Traversee de la riviere」は70年代のサルドの作風を思い出させるジェントルなタッチが懐かしい。この曲と「Ce
grand amour que j'attendais」「Avant la guerre...」の3曲はサルドとジャンヌ・モローの共作とクレジットされている。「Le
garcon aux yeux gris」と「Odile」は「La maison abandonnee」の異なるアレンジメント。「La
baignade」はグラッペリのヴァイオリンとギターによるジェントルな曲で、実に心がなごむ。ラストの「L'adieu」は「Les
egares」の短いリプライズで締めくくる。サルドの個性を強く感じさせる美しいスコア。
(2003年9月)
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