ウォルター少年と、夏の休日 SECONDHAND LIONS

作曲:パトリック・ドイル
Composed by PATRICK DOYLE

指揮:ジェームズ・シャーマン
Conducted by JAMES SHEARMAN

演奏:スロヴァク放送交響楽団
Performed by the Slovak Radio Symphony Orchestra

(米New Line Records / NLR 39027)

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2003年製作のアメリカ映画。監督・脚本は「ノース・ショア」(1987)「アイアン・ジャイアント」(1999)等の脚本を担当しているティム・マッキャンリースで、これは「(未公開)テキサス、ポップ81」(1998)に次ぐ彼の監督第2作となる。出演はマイケル・ケイン、ロバート・デュヴァル、ハーレイ・ジョエル・オスメント、キーラ・セジウィック、ニッキー・カット、ジョッシュ・ルーカス、マイケル・オニール、ディアドレ・オコンネル、エリック・バルフォア、クリスチャン・ケイン、ケヴィン・ハバーラー、エマニュエル・ヴォージアー、アダム・オズターク、ジェニファー・ストーン、ミッチェル・ムッソ、マーク・ムッソ他。撮影はジャック・N・グリーン。無責任な母親(セジウィック)によって、彼女の2人の叔父が住むテキサスの家に置いていかれた内気な少年ウォルター(オスメント)と、その2人のエキセントリックな老人ガース(ケイン)、ハブ(デュヴァル)との関係を描くコミカル・ドラマ。

音楽はイギリスのベテラン、パトリック・ドイルが担当。ドイルとしては「イースト/ウェスト 遙かなる祖国」以来の派手めのオーケストラ音楽で、映画の舞台となるアメリカ南部のタッチに加え、アフリカやアジア風の味付けが部分的になされたカラフルなスコアとなっている。監督のマッキャンリーズはフラッシュバックのシーンのテンプトラックにコルンゴルトのスワッシュバックリング・スコア(海洋冒険活劇音楽)を付けており、その部分のドイルのスコアも彼らしい豪快なタッチになっていて面白い。冒頭の「Main Titles」は、短いファンファーレに続いて冒険活劇調の華麗でシンフォニックなメインテーマが展開。ここでの主人公ウォルターの明るくリリカルな主題は「Walter Runs Away」「Fireside Chat」「Walter Comes Home」等でも繰り返し登場する。その後も「The Plunger」「Forein Legion」「Hub Meets Jasmine」「Hub Rescues Jasmine」等ではダイナミックで勇壮なオーケストラ音楽を聴かせる。「The Assassins」「Sheik Swordfight」はまさに豪快なスワッシュバックリング・スコア。「Lion Hunt」はパーカッションを効かせたライオン狩りの音楽。「Secondhand Arrival」「Cornfield Jungle」はアフリカ民族音楽調で、「I Must Meet This Man」はアジア・中東調。「Finding the Money」「Stan Lies to Walter」はシリアスなドラマティック・スコア。センチメンタルな「She Was a Real Lion」での幻想的なヴォーカルは作曲家の息子パトリック・ドイル Jr.。「Nice To Meet You」は感動的で明快なフィナーレ。最後はウォルターの主題をフィーチャーしたピアノ曲「Piano Suite」で静かに締めくくる。このサントラ盤はエンハンストCDになっており、監督と作曲家のインタビュー等が収録されている。

パトリック・ドイルが手がけたその他の映画音楽には「(未公開/TV)Twelfth Night, Or What You Will」(1988)「ヘンリー五世」(1989)「(未公開/TV)Look Back in Anger」(1989)「(未公開)冒険の島/海賊メリックをやっつけろ!」(1990)「愛と死の間で」(1991)「インドシナ」(1992)「(未公開)L'echange」(1992)「白馬の伝説」(1993)「ニードフル・シングス」(1993)「カリートの道」(1993)「から騒ぎ」(1993)「フランケンシュタイン」(1994)「いつか晴れた日に」(1995)「フランスの女」(1995)「リトル・プリンセス」(1995)「ハムレット」(1996)「くちづけはタンゴの後で」(1996)「フェイク」(1997)「キャメロット」(1998)「大いなる遺産」(1998)「恋の骨折り損」(1999)「シャンプー台のむこうに」(2000)「イースト/ウェスト 遙かなる祖国」(2000)「ゴスフォード・パーク」(2001)「ブリジット・ジョーンズの日記」(2001)「(未公開)The Galindez File」(2003)等がある。ドイルは1995年に「いつか晴れた日に」、1996年に「ハムレット」でアカデミー賞に音楽賞(オリジナルドラマ)ノミネートされている他、1995年に「リトル・プリンセス」でLA批評家協会賞の音楽賞を受賞している。
(2003年10月)

Patrick Doyle

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