ワイルド・レンジ 最後の銃撃  OPEN RANGE

作曲・指揮:マイケル・ケイメン
Composed and Conducted by MICHAEL KAMEN

演奏:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the Czech Philharmonic Orchestra

(米Hollywood Records / 2061-62416-2)

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今月の18日、マイケル・ケイメンが心臓発作によりロンドンの自宅で死去した。まだ55歳だった。彼は1996年に多発性硬化症を発病していたが、この9月までは公表していなかった。このケヴィン・コスナー監督・主演による西部劇「 ワイルド・レンジ 最後の銃撃」は、ケイメンが最後に手がけた映画音楽の1つとなった。彼はこの作品の後も、ボクシングを題材にした「AGAINST THE ROPES」(2004年公開予定)のスコアを担当しており、舞台版の「陽のあたる教室」「ドン・ファン」の音楽も作曲中だったという。他界する直前にもフォレスト・ウィテカー監督のロマンティック・コメディ「FIRST DAUGHTER」の音楽を担当すると発表していた。まさに働き盛りの最中での突然の死であり、本人も無念だったに違いない。かの名指揮者レナード・バーンスタインが生前に語った言葉を思い出す。「Conductors never retire. They just die.(指揮者というものは引退したりしない。死ぬだけだ)」作曲家で指揮者でもあったケイメンも、最後の瞬間まで創作活動を続けていたかったのだろう。

「ワイルド・レンジ 最後の銃撃」の共演者はロバート・デュヴァル、アネット・ベニング、マイケル・ガンボン、マイケル・ジェッター、ディエゴ・ルナ、ジェームズ・ルッソ、エイブラハム・ベンルビ、ディーン・マクダーモット、キム・コーツ、ハーブ・コーラー、ピーター・マクニール、クリフ・ソーンダース、パトリシア・スタッツ、ジュリアン・リッチングス、イアン・トレイシー、ロブ・ウィルソン他。ローラン・ペインの小説「The Open Range Men」を基にクレイグ・ストーパーが脚本を執筆。撮影はジェームズ・ミューロー。4人のカウボーイたち(デュヴァル、コスナー、ベンルビ、ルナ)が旅の途中で立ち寄った町で、恐怖政治により町を支配する牧場主(ガンボン)と汚職保安官(ルッソ)とのトラブルに巻き込まれ、やがて彼らと対決することになる・・。

マイケル・ケイメンの音楽は、「Open Range」が平原の夜明けを思わせるイントロから、美しくスケールの大きいメインの主題へと展開する。「Card Game」はストイックなタッチ。「Wagon Wheel」「Cattle Drive」等は雄大なウエスタン音楽。「Ride to Town」は躍動的な主題からドラマティックなタッチへ。「Spooks on the Hill」「Laudanum Dream」「Cat and Mouse」「Face Off」等はサスペンス調。「Charley and Sue」はチャーリー(コスナー)とスー(ベニング)のロマンスを描写したジェントルな主題。この主題は「On the Porch」「Charley Rides Off」「Proposal」等でも繰り返し登場する。クライマックスの決闘シーンの「Gunfight」は、ケイメンらしい緊張感のあるアンダースコア。続く「Aftermath」はトラジックなタッチ。ラストの「Teapot」は「Charley and Sue」の主題により感動的に静かに締めくくる。冒頭の「Holding All My Love for You」も、この主題にジュリアナ・レイの歌詞・ヴォーカルをつけた曲。
ケイメンらしい真摯で美しいスコアである。冥福を祈りたい。
(2003年11月)

Michael Kamen

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