(未公開)COLETTE, UNE FEMME LIBRE

作曲:フィリップ・サルド
Composed by PHILIPPE SARDE

(仏Warner Jazz France / 2564 61479 2)

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2004年製作のフランスのTV映画。監督は名優ジャン=ルイ・トランティニアンの元妻で、「恋びと」(1968)「哀しみの終るとき」(1971)等20本ほどの監督作があるナディーヌ・トランティニアン。主演はジャン=ルイとナディーヌの娘マリー・トランティニアンで、この作品は彼女の遺作となった。共演はウラジミール・ヨルダノフ、ランベール・ウィルソン、バルバラ・シュルツ、リュディジェール・ヴォグレール、ジャック・イジュラン、リオ、ジャン=ミシェル・フェット、イヴ・ランブレッシュ、ロマン・コリンカ、リュタ・ラティニート、カロリーヌ・プルースト、カトリーヌ・ジャコブ他。脚本はナディーヌとマリーのトランティニアン母娘が執筆している。2003年7月27日、マリー・トランティニアンは滞在中のホテルで、交際相手だったミュージシャンのベルトラン・カンタと口論になり、カンタに殴られて頭を強打し、8月1日に脳浮腫で死亡した。41歳だった。カンタは2004年3月に殺人罪で起訴され、懲役8年の刑を宣告された。マリーは「哀しみの終るとき」(1971)「恋人たちのポートレート」(1996)「ポネット」(1996)「絹の叫び」(1996)等60本ほどの作品に出演しているが、そのデビュー作「(未公開)Mon amour, mon amour」(1967)と遺作「(未公開)Colette, une femme libre」は、いずれも実母のナディーヌ・トランティニアンの監督作品だった。また、この遺作にはマリーの実娘であるロマン・コリンカも出演している。

「(未公開)Colette, une femme libre」の音楽はフィリップ・サルドが作曲しており、このサントラCDは亡きマリーに捧げられている。「Tu souriras, peut-etre...」は、ストリングスとピアノによる、物悲しくも美しい主題がドラマティックに展開。この主題は「Moment de paresse」「On ne souffre que de son premier amour」等でも繰り返される。「Reves d'Egypte」はパーカッションをベースにした中東風の主題。「On apprend donc a vivre?」はジェントルでリリカルなタッチで、後半ドラマティックに展開。「Etreinte」はメインの主題の明るく軽快なバリエーション。「Trahison」はトラジックなコーラスからサスペンスフルな主題に。「La fenetre ouverte」はミステリアスで幻想的なタッチ。「Tout m'echappe」はメインの主題のピアノによるジャズ風アレンジメント。最後のトラック「Nos routes se separent」は、マリー・トランティニアンによるモノローグ。マリーの死を反映してか、全体にトラジックなトーンのスコアとなっている。
(2004年5月)

Philippe Sarde

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