カナディアン・エクスプレス NARROW MARGIN
作曲・指揮:ブルース・ブロートン
Composed and Conducted by BRUCE BROUGHTON
(米Intrada / Intrada Special Collection Volume 14)
1990年製作のアメリカ映画。監督・脚本・撮影は「カプリコン1」(1977)「アウトランド」(1981)「2010年」(1984)「プレシディオの男たち」(1988)「タイムコップ」(1994)「サドン・デス」(1995)「レリック」(1997)「エンド・オブ・デイズ」(1999)「ヤング・ブラッド」(2001)等の職人ピーター・ハイアムズ。出演はジーン・ハックマン、アン・アーチャー、ジェームズ・B・シッキング、J・T・ウォルシュ、M・エメット・ウォルッシュ、スーザン・ホーガン、ナイジェル・ベネット、J・A・プレストン、ハリス・ユーリン他。1952年製作のB級サスペンス映画の傑作「(未公開)その女を殺せ(The Narrow Margin)」(監督:リチャード・フライシャー/出演:チャールズ・マックグロー、マリー・ウィンザー、ジャクリーン・ホワイト/原案:マーティン・ゴールドスミス、ジャック・レナード/脚本:アール・フェントン/撮影:ジョージ・E・ディスカント)のリメイク。殺人を目撃した女性キャロル・ハニカット(アーチャー)と、彼女から証言を得ようとする検事のコーフィールド(ハックマン)は、カナディアン・ロッキーを超える列車に乗り込むが、彼女を命を狙うネルソン(シッキング)たちも同じ列車に乗り込んでくる・・。
音楽は「プレシディオの男たち」等でもハイアムズ監督と組んでいるブルース・ブロートン。彼がこの作品のために書いたスコアの一部は最終的に映画では使用されなかったが、このサントラCDにはそれらの未使用の曲も含めて収録されている。冒頭の「Theme
from Narrow Margin」は、不安感を煽るようなピアノとオーケストラによるミニマルだが重厚で緊張感のあるメインテーマ(これは映画では使用されなかった)。続く「Main
Title」が実際に映画で使用されたバージョンで、ピアノとストリングスによる静かにミステリアスなタッチ。「The Hit」は不協和音によるショック音楽からサスペンス調に展開。その後「The
Cabin」「Siege from Above」「Chopper Chase」と、フルオーケストラによる激しいアクション音楽が連続。「The
Boarding」「New Passengers」「Into the Station」「No Carol for Wooton」「Monashee
Station」「Narrow Escapes」等は、メインの主題を織り込んだサスペンス音楽。「Freeze!」「Fat
Refuge」「Wooton, Then Nelson」等は後半のアクション・シーンの音楽だが、クライマックスの列車の屋根の上での格闘シーンでの「Nelson,
Then Katherine」は実際には使用されず、別バージョンの「Fighting Nelson」(ボーナストラックに収録)が新たに作曲されたが、こちらも完全な形では使用されなかった。「It's
That Man」は短いエンディングのキューだが、こちらも別バージョン「Collared」が新たに作曲され、映画で使われた(ボーナストラックに収録)。最後の瞬間にハッピーエンディング風になる。「End
Credits」も、やはりサスペンス調のエンドクレジット。ボーナス・トラックには映画では使用されなかったバージョンの「End Credits」が収録されている。全体にサスペンスフルで手堅いアンダースコアとなっているが、効果音が映画の音響トラックの重要なパートを占めているため、高音と低音を強調したスコアを作曲した(中間部分の音は効果音に相殺されてしまう)というプラクティカルなところが、いかにもこの作曲家らしい。このCDは2004年に米Intradaレーベルからリリースされたサントラ盤で、1,500枚の限定プレス。
(2004年6月)
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