エイリアン・ネイション ALIEN NATION

作曲・演奏:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Performed by JERRY GOLDSMITH

(米Varese Sarabande / VCL0505 1035)


1988年製作のアメリカ映画。監督は「オーメン/最後の闘争」(1981)「(未公開)インパルス!暴走する脳」(1984)「(未公開)ボンバー・ライダーズ」(1991)「ベオウルフ」(1998)等のグラハム・ベイカー。出演はジェームズ・カーン、マンディ・パティンキン、テレンス・スタンプ、ケヴィン・メイジャー・ハワード、レスリー・ビーヴィス、ピーター・ジェイソン、ジョージ・ジェネスキー、ジェフ・コーバー、ロジャー・アーロン・ブラウン、トニー・シモテス、ブライアン・トンプソン、フランク・マッカーシー、キオニー・ヤング、ドン・フッド、アール・ボーエン他。脚本はロックニ・S・オバノン、撮影はアダム・グリーンバーグ。製作はゲイル・アン・ハードとリチャード・コブリッツ。大量の異星人が移住してきた近未来のロサンゼルスを舞台に、相棒を異星人の犯罪者に殺された地球人の刑事マシュー・サイクス(カーン)が、異星人の刑事サム・フランシスコ(パティンキン)とコンビを組み、異星人社会にはびこる麻薬ルートを追う。後にゲイリー・グレアム、エリック・ピアポイント主演、アンドリュー・シュナイダー製作による「(TV)エイリアン・ネイション」(1989〜1990)としてTVシリーズ化された(日本ではFOXチャンネルで放映)。

音楽は「オーメン/最後の闘争」でグラハム・ベイカー監督とコンビを組んだジェリー・ゴールドスミスが作曲したが、彼のスコアはスタジオ側にリジェクトされ、代わりに「ハートに火をつけて」(1989)「ディフェンスレス/密会」(1991)「(TV)SFXハードボイルド/ラブクラフト」(1991)「(TV)アトランティック殺人事件」(1992)「ボディ・カウント/ヤバい奴ら」(1996)「クール・ドライ・プレイス」(1999)等のカート・ソベルが雇われて別のスコアを作曲した(ゴールドスミスの音楽は予告編でのみ使用された)。このCDはリジェクトされたゴールドスミスのスコアを収録したもので、タイトル上も「Music Inspired by the Film ALIEN NATION」となっている。「未来警察」(1983)「クリミナル・ロウ」(1985)と同様、全編がシンセサイザーによるスコア(演奏はゴールドスミス自身)だが、面白いのは「The Wedding」「Take It Easy」等で登場するリリカルな主題で、これはゴールドスミスが当初オリヴァー・ストーン監督の「ウォール街」(1987)用に作曲したメロディだった。彼はクリエイティブ面での意見の相違からこの映画を離脱し、未使用となったこのメロディを「エイリアン・ネイション」で使おうとしたが、またもリジェクトされ、最終的に「ロシア・ハウス」(1990)のラブ・テーマとして使用した(この3作品が全く異なるジャンルである点に注目)。これはゴールドスミスが書いた数多いラブ・テーマ中でも最も美しい曲の1つ。このリリカルな主題を除けば、全体がサスペンス・アクション調のスコアとなっており、特に「Are You Alright?」「The Vial」「Are You There?」「Tow Truch Getaway」「Tell Them」「A Game of Chicken」「Got a Match?」「Just Ugly」等でのスリリングで独創的なアクション音楽がさすがに上手い。アルバムの最後のトラックの後にちょっとしたボーナスが入っているので聞き逃しのないように。Soundtrack CD Clubによるリリースで3,000枚の限定プレス。
(2005年6月)

Jerry Goldsmith

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