イギリスのヴァンガード・アニメーションが2005年に製作したCGアニメ(北米配給はブエナ・ヴィスタ)。監督はこれがデビュー作のゲイリー・チャップマン。声の出演はユアン・マクレガー、リッキー・ジャーベス、ティム・カリー、ジム・ブロードベント、ヒュー・ローリー、ジョン・クリース、ジョン・ハート、ピップ・トーレンス、リック・メイオール、オリヴィア・ウィリアムス、ブライアン・ロンスデール、マイケル・シリングマン、シャロン・ホーガン、ショーン・サミュエル、バックリー・コラム、アネット・バッドランド、ゲイリー・チャップマン他。ジョージ・ウェブスターの原案を基にジョーダン・カッツ、ジョージ・メルロッドとジョージ・ウェブスターが脚本を執筆。撮影はジョン・フェナー。第二次大戦中に、鳩のヴァリアント(マクレガー)が、 イギリス空軍伝書鳩サービス(Royal Air Force Homing Pigeon Service)の一員として、ドイツ軍のフォン・タロン将軍(カリー)率いる残忍な鷹編隊の襲撃をかわしつつ、イギリス海峡での敵の動向に係る重要なメッセージを運び、連合軍に勝利をもたらす……、というコメディ・タッチのアドベンチャー。
音楽は、アニメーション映画を担当するのは珍しいジョージ・フェントン。シリアスなスコアが多い人だが、ここではマーチを主体にロイヤル・フィルをパワフルに鳴らした豪快なオーケストラ音楽を展開している。冒頭の「Valiant」はフルオーケストラによる勇壮なマーチ。英国調のアドベンチャー・スピリットが素晴らしい。「March
of the R.H.P.S.」は、口笛とオーケストラによる軽快で明るい“イギリス空軍伝書鳩サービス”のマーチ。「"Wish Me Luck"」も後半はやはり勇壮なマーチに展開。「Meeting
Bugsy」は、ヴァリアントが詐欺師鳩のバグジー(ジャーベス)に会うシーンのややコミカルなタッチの音楽。「Arrival at Camp」は、Chris
Dean and the Syd Lawrence Orchestraの演奏によるビッグバンドジャズ。「Von Talon and the
Bastion」は、フォン・タロン将軍率いる鷹編隊を描いたサスペンス音楽。「Victoria and the Final Training」は、ジェントルなヴィクトリア(ウィリアムス)の主題からメインのマーチへ展開。「The
Eve of the Mission (Adagio)」「Winged Heroes (Adagio and Fanfare)」は、エルガーのシンフォニーを想わせる荘厳なアダージョで、フェントンの個性を感じさせる曲。「Decays」はダイナミックなアクション音楽。「The
Rescue and Escape」は、サスペンス音楽からメインのマーチ、そしてアクション音楽へと展開するクライマックスの曲。「End
Titles - March of the R.H.P.S.」は、ダンカン・スタッブス隊長指揮のイギリス空軍中央軍楽隊の演奏による“イギリス空軍伝書鳩サービス”のマーチ(エンドタイトル)。ラストにMis-Teeqの演奏による主題歌「Shoo
Shoo Baby」が収録されている。
(2005年6月)
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