宇宙戦争 WAR OF THE WORLDS 作曲・指揮:ジョン・ウィリアムス (米Decca / B0004568-02) |
このCD(輸入盤)を購入する |
このCD(日本盤)を購入する |
2005年製作のアメリカ映画。監督はスティーヴン・スピルバーグ(1946〜)。出演はトム・クルーズ、ダコタ・ファニング、ティム・ロビンス、ジャスティン・チャットウィン、ミランダ・オットー、リック・ゴンザレス、ユル・ヴァスケス、レニー・ヴェニート、リサ・アン・ウォルター、デヴィッド・アラン・バスケ、マイケル・ブラウニー、カミリア・セインズ、マーロン・ヤング、ジョン・エディンズ他。「月世界旅行」(1902)「透明人間」(1933)「来るべき世界」(1936)「タイム・マシン/80万年後の世界へ」(1959)「巨大生物の島」(1976)「ドクター・モローの島」(1977)等の映画化作品で知られる著名なSF作家H・G・ウェルズ(1866〜1946)が1898年に発表した異星人侵略ものの古典を基に、デヴィッド・コープとジョシュ・フリードマンが脚本を執筆。撮影はヤヌス・カミンスキー。ウェルズの原作は1953年にジョージ・パル製作/バイロン・ハスキン監督による「宇宙戦争」として一度映画化されている(その時の主演だったジーン・バリーとアン・ロビンソンがこのスピルバーグ版にもカメオ出演している)。また、1938年にはオーソン・ウェルズがこの原作をラジオ・ドラマ化して放送したが、リアルさを狙ってニュース・スタイルのドラマとしたため実際に宇宙人が襲ってきたと信じた人々がパニックになったという有名なエピソードがある。この出来事そのものを映画化した「アメリカを震撼させた夜」(1975/監督:ジョセフ・サージェント/主演:ヴィク・モロー)というTV映画もある。このスピルバーグ版の新作は、「インデペンデンス・デイ」(1996)「デイ・アフター・トゥモロー」(2004)といったローランド・エメリッヒ監督の異星人侵略・世界崩壊テーマ作品のような俯瞰的な視点ではなく、主人公とその家族の視点に絞って、異星人が侵略してくる様を「プライベート・ライアン」の戦闘シーンに通ずる迫真のリアリズムで描写している点がユニーク。H・G・ウェルズの原作が発表された時にも戦争に対する世界不安が背景にあったが、このスピルバーグ版は世界中で現実に発生している戦争やテロリズムに対する人々の恐怖や不安を背景に製作されている。
ジョン・ウィリアムス(1932〜)のスコアは、スピルバーグ監督の「ジョーズ」や「未知との遭遇」に彼が提供したドライでサスペンスフルなスコアを踏襲した、非常に効果的な劇伴音楽となっている。「Prologue」は、アブストラクトで不吉なタッチのプロローグにモーガン・フリーマンによるオープニングナレーションがかぶさる。「The
Ferry Scene」は、フェリーに乗り込もうとする主人公たちに宇宙人のトライポッドが襲撃してくるシーンのサスペンス音楽。「The
Intersection Scene」は、落雷により交差点の真ん中に開いた穴からトライポッドが出現するシーンの音楽。徐々にサスペンスを盛り上げていくテクニックは流石。この曲や、「Escape
from the City」「The Attack on the Car」「Escape from the Basket」といったサスペンス音楽は、ビジーなブラスとストリングスのパッセージが「ジョーズ」のクライマックスのアンダースコアを思い出させる。「Ray
and Rachel」は、主人公レイ(クルーズ)と娘のレイチェル(ファニング)を描いたジェントルな主題。「The Return to
Boston」は、後半なストイックなマーチが印象的。「The Reunion」は、主人公たちの家族が再会するエンディングを描いたジェントルなタッチの曲で、モーガン・フリーマンによる結末のナレーションがかぶさる。「Epilogue」は、トラジックなタッチのエピローグ。
(2005年7月)
= 2020年11月追加 =
2020年10月、米IntradaレーベルがCD2枚組のエクスパンデッド盤(全46曲/約156分収録)をリリース。「Driving Away From
Trouble」「Attacking The Car」「The Ferry Scene (Extended
Version)」といったロング・バージョンのビジーなサスペンスアクション音楽が職人的巧さで秀逸。限定プレス。収録曲は以下の通り。
●米Intrada CD(2020年10月リリース/Intrada Special Collection
Volume459)
CD 1: SCORE PRESENTATION
1. Prologue And Opening Montage 2:54
2. Is It Over? 3:05
3. The Intersection Scene (Film Version)** 4:10
4. What Happened? 3:36
5. Driving Away From Trouble** 3:39
6. Surveying Wreckage / Watch The Lightning* 2:15
7. Bodies In The Water / Ray And Rachel** 3:47
8. Attacking The Car** 2:53
9. In The Cafe* 1:12
10. The Ferry Scene (Extended Version)** 5:56
11. Woods Walk* 1:55
12. Refugee Status (Extended Version)** 4:12
13. Robbie Joins The Fight 3:27
14. The Basement* 2:42
15. Harlan Ogilvy* 2:37
16. Probing The Basement (Extended Version)** 4:24
17. The Aliens* 3:16
18. Ogilvy’s End* 1:49
19. Red Planet** 3:56
20. The Basket** 3:17
21. The Entrance To Boston** 4:43
22. Defeat And Reunion** 2:35
23. Boston Street Finale** 2:13
24. Closing Montage** 1:36
25. Epilogue (Film Version) 3:14
CD 1 Total Time: 79:36
CD 2: REMASTERED ORIGINAL
SOUNDTRACK
1. Prologue 2:53
2. The Ferry Scene 5:49
3. Reaching The Country 3:24
4. The Intersection
Scene 4:14
5. Ray And
Rachel 2:41
6. Escape
From The City 3:50
7.
Probing The Basement 4:13
8. Refugee Status 3:51
9. The Attack On The Car 2:44
10. The Separation Of The
Family 2:37
11. The
Confrontation With Ogilvy 4:35
12. The Return To Boston 4:29
13. Escape From The Basket
9:21
14. The Reunion
3:17
15. Epilogue 3:13
Remastered Original Soundtrack
Total Time: 61:11
THE EXTRAS
16. Prologue And Opening Montage (Alternate)* 2:43
17. Before The Escape
0:35
18. The Entrance
To Boston (Alternate)** 4:40
19. Boston Street Finale (Alternate No. 1)* 2:03
20. Boston Street
Finale (Alternate No. 2)* 2:00
21. Epilogue (Alternate)* 3:24
Total Extras Time: 15:30
CD 2 Total Time: 76:46
Two-Disc Total Time: 156:22
*previously unreleased
**contains previously unreleased music
Copyright (C) 2005 - 2020 Hitoshi Sakagami. All Rights Reserved.