亡国のイージス AEGIS

作曲:トレヴァー・ジョーンズ
Composed by TREVOR JONES

指揮:ジェフリー・アレクサンダー
Conducted by GEOFFREY ALEXANDER

演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra

(ユニバーサル・シグマ / UPCI-1026)

cover
このCD(日本盤)を購入する

2005年製作の日本映画。監督は「どついたるねん」(1989)「トカレフ」(1994)「顔」(2000)「KT」(2002)「この世の外へ クラブ進駐軍」(2003)等の阪本順治。出演は真田広之、寺尾 聰、佐藤浩市、中井貴一、勝地 涼、チェ・ミンソ、吉田栄作、谷原章介、豊原功補、光石 研、森岡 龍、中沢青六、中村育二、橋爪 淳、安藤政信、真木蔵人、松岡俊介、池内万作、矢島健一、佐々木勝彦、天田俊明、鹿内 孝、平泉 成、岸部一徳、原田美枝子、原田芳雄、他。「ローレライ」「戦国自衛隊1549」の福井晴敏の原作『亡国のイージス』を基に長谷川康夫と飯田健三郎が脚本を執筆。撮影は笠松則通。企画は小滝祥平と遠谷信幸。東京湾沖で訓練航海中のイージス艦“いそかぜ”が副長の宮津(寺尾)と某国対日工作員ヨンファ(中井)の共謀により乗っ取られ、宮津は日本政府に対し全ミサイルの照準を東京に合わせたと宣言する。政府が対応に手間取る中、艦の構造を熟知した先任伍長の仙石(真田)は艦を奪還に向かう……。

音楽は南アフリカ出身でハリウッドで活躍する映画音楽作曲家のトレヴァー・ジョーンズ「序章〜論文から(Prologue - The Thesis)」は、どことなくアジア風テイストのストイックなタッチのメインの主題。この主題が全編を通じて何度も繰り返される。「抜錨(Departure for Battle Exercises)」「破局の際で(On the Brink of Destiny)」「グソー、カクホセリ(A Nation's Pride)」「託したもの、託されたもの(The Courage to Survive)」等は、このメインの主題を織り込んだサスペンス音楽。「亡国の楯(The Invincible Shield)」はメインの主題のゆっくりとした叙情的なアレンジメント。「破壊工作(Sabotage)」「平和国家の代償(In Defence of Honour)」「騙しあい(Keep Constant Vigil)」等はストイックなタッチの抑制されたサスペンス音楽。「帰ってきた男(Combat Alert)」「死闘それぞれ(Abandon Ship)」は激しいアクション音楽。「恥を知る、ということ(A Sense of Shame)」は、メインの主題のドラマティックなアレンジメント。「エンドタイトル〜今日と明日の狭間に(Remember the Past)」は、ジェントルなタッチからメインの主題へと展開し締めくくる。最後にHoobastankによる挿入歌「The Reason」が収録されている。主題がアジア的なのは、ストーリーの舞台が日本で画面に登場するキャラクターがアジア人ばかりであることから自然とそうなったのだろうが、スコア全体の印象はいかにもジョーンズらしいソリッドなサスペンス・アクション音楽となっている。その意味では、かつてジェリー・ゴールドスミスが「トラ・トラ・トラ!」に書いたスコアにやや通ずるものがある(もっともこれは日米を並行して描いた映画だったが)。
(2005年7月)

Trevor Jones

Soundtrack Reviewに戻る


Copyright (C) 2005  Hitoshi Sakagami.  All Rights Reserved.