ナバロンの嵐 FORCE 10 FROM
NAVARONE 作曲・指揮:ロン・グッドウィン (米Film Score Monthly / Vol.9 No.4) |
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1978年製作のイギリス映画。監督は「007/ゴールドフィンガー」(1964)「空軍大戦略」(1969)「007/死ぬのは奴らだ」(1973)「地中海殺人事件」(1982)「レモ/第1の挑戦」(1985)等のガイ・ハミルトン。出演はロバート・ショー、ハリソン・フォード、エドワード・フォックス、バーバラ・バック、フランコ・ネロ、カール・ウェザース、リチャード・キール、アラン・バデル、マイケル・バーン、フィリップ・レイサム、アンガス・マッキネス、マイケル・シアード、ピーター・ブンティック、レスリー・スコフィールド、アンソニー・ラングドン、リチャード・ハンプトン、ウォルフ・カーラー、パトリック・アレン他。「ナバロンの要塞」(1961)「北極の基地/潜航大作戦」(1968)「荒鷲の要塞」(1968)「八点鐘が鳴るとき」(1971)「黄金のランデブー」(1977)等のアリステア・マクリーンの原作を基にロビン・チャップマンが脚本を執筆。撮影はクリストファー・チャリス。マクリーンの原作をJ・リー・トンプソンが監督した「ナバロンの要塞」(1961)の続編。前作の任務で生き残ったキース・マロリー少佐(ショー/前作ではグレゴリー・ペックが演じた)とダスティ・ミラー軍曹(フォックス/前作ではデヴィッド・ニーヴン)は、バーンズビー中佐(フォード)、レスコヴァル大尉(ネロ)たちとユーゴスラビアへ潜入し、ドイツ軍に包囲されたパルチザンを救出するため、ネレトバの橋を破壊しようとする……。
音楽はガイ・ハミルトン監督と「空軍大戦略」でも組んだ“戦争映画のエキスパート”ロン・グッドウィンで、これは彼が最後に手がけたメジャーな劇場映画のスコア。「Prologue」は、前作「ナバロンの要塞」のクライマックスを再現した冒頭のシーンの音楽で、ブラスとパーカッションによる短いスティンガーから静かなフレーズを挟み、ダイナミックでスケールの大きいタッチへと展開。続く「Main Title」は、グッドウィンのトレードマークである豪快なミリタリスティック・マーチ。“戦争”よりも“スポーツマンシップ”を感じさせるところが彼らしい。サントラ音源は後述する新録音版よりも早いテンポで迫力がある。このメインの主題のバリエーションは、「Take-Off / In Yugoslavia」「Morning / Met Comrades」「Arrival / Surprise」「Where Is It / Being Followed / Here We Go Again」「It Worked / How To Blow It Up / Explosion」等、全編を通して登場する。「Fight」は、マーチをベースにしたサスペンス調。「Hiding」「Kill Them」「Captured」「Not Dead / The Escape Begins」「Trapped」「He's a Spy」「A Little Diversion / Come On, Blackie」等も緊張感のあるサスペンス音楽。「She's Dead / You Need Me / The Tank」はトラジックなタッチ。「Setting the Charge / Out of Time」は、スネアドラムによるミリタリスティックなリズムからサスペンス調へ。「You Did It」は、ダイナミックなイントロからマーチへ展開。「Down Bridge」は、メインの主題を織り込んだクライマックスの勇壮な音楽で、グッドウィンらしい栄光に満ちたタッチが素晴らしい。「End Credits」は、メインのマーチのリプライズ(間奏の入る長いバーション)。
このスコアの一部は、イギリスのChandosレーベルから出てるロン・グッドウィン自作自演の新録音コンピレーションCD「DRAKE
400」と、ドイツのLabel Xから出ている「RON GOODWIN CONDUCTS THE ODENSE SYMPHONY
ORCHESTRA」に収録されているが、サントラ音源による完全なCD化はこれが初めてで、ファン待望のリリースと言える。このスコアのマスターテープは過去に廃棄されていたが、グッドウィンが個人的に保有していたコンプリート・スコアのステレオ・テープが存在し、今回のCD化が実現した。
(2006年3月)
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