フィリップ・サルド=ジャック・ルーフィオ監督作品集
MUSIQUES DE PHILIPPE SARDE: BANDES ORIGINALES DES FILMS DE JACQUES ROUFFIO

作曲:フィリップ・サルド
Composed by PHILIPPE SARDE

指揮:カルロ・サヴィーナ、ユベール・ロスタン、ビル・バイヤーズ、ロジェ・ベルティエ
Conducted by CARLO SAVINA, HUBERT ROSTAING, BILL BYERS, ROGER BERTHIER

(仏Universal / 983 956-7)


<収録曲>

1. 仮面/死の処方箋 SEPT MORTS SUR ORDONNANCE
 ・Sept morts sur ordonnance
 ・Cher vieux
2. (未公開)イザベル・アジャーニの女泥棒 VIOLETTE ET FRANCOIS
 ・Violette...
 ・...Et Francois
 ・Violette sans Francois
 ・Sentimental
 ・La lettre de Violette
3. 甘くない砂糖 LE SUCRE
 ・Le sucre
 ・La bourse en caca
 ・Miami
 ・Sous la pluie
 ・Le sucre
4. (未公開)フィレンツェに燃えて/ワーキング・ガールの恋 L'ETAT DE GRACE
 ・La fille aux petits frissons
 ・Florence et Antoine
 ・Autoroute
 ・L'etat de grace
5. (未公開)MON BEAU-FRERE A TUE MA SOEUR
 ・Mon beau-frere a tue...
 ・...Ma soeur
6. (未公開)L'ARGENT
 ・L'amour
 ・L'argent

 

ジャック・ルーフィオ監督(1938〜)とフィリップ・サルドのコラボレーション作品を集めたコンピレーションで、1975年の「仮面/死の処方箋」から1988年の「(未公開)L'ARGENT」までの6作品の音楽を収録。「仮面/死の処方箋」の作曲家を探していたルーフィオは、主演のミシェル・ピッコリからサルドを推薦されて初めて彼に会い、あまりの若さに驚いたという。以来、ルーフィオはサルドに全幅の信頼を置き、ほぼ全ての監督作品で組んでいるが、「サン・スーシの女」(1982)に限ってはサルドの作業があまりに遅かったために別の作曲家に依頼してしまったという(この映画のスコアはジョルジュ・ドルリューが担当した)。

1. 仮面/死の処方箋 SEPT MORTS SUR ORDONNANCE

1975年製作のフランス=ドイツ=スペイン合作映画(英語題名は「Bestial Quartet」/日本初公開は1978年12月)。出演はミシェル・ピッコリ、ジェラール・ドパルデュー、ジェーン・バーキン、マリーナ・ヴラディ、シャルル・ヴァネル、ミシェル・オークレール、モニーク・メリナン、アントニオ・フェランディス、コリーヌ・セロー他。ジャック・ルーフィオの原案を基にジャン=ルイ・シェヴリエ、ジョルジュ・コンションとジャック・ルーフィオが脚本を執筆。撮影はアンドレア・ウィンディング。フランスの地方都市で私立病院を経営するブレゼ(ヴァネル)は、10年前に同じ病院にいたベルグ(ドパルデュー)という若い優秀な外科医を罠にはめ、彼を医学界から追放していた。追いつめられたベルグは愛する妻(バーキン)と子供たちを射殺し自らも命を断つ。一方、公立病院の医師ロスレー(ピッコリ)が軽い心筋梗塞と診断されたのを知ったブレゼは、彼の患者の横取りを画策し、ベルグ同様に罠にはめて彼を自殺へと追い込んでいく……。サルドの音楽は、「Sept morts sur ordonnance」が繊細でサスペンスフルなタッチ。「Cher vieux」は、ライトなジャズ。

2. (未公開)イザベル・アジャーニの女泥棒 VIOLETTE ET FRANCOIS

1977年製作のフランス映画(日本では劇場未公開でビデオ発売済)。出演はイザベル・アジャーニ、ジャック・デュトロン、セルジュ・レジアニ、フランソワーズ・アルヌール、ソフィー・ドーミエ、ローランド・ベルタン、カトリーヌ・ラシャン、レア・マッサリ他。脚本はジャン=ルー・ダバディ、撮影はアンドレア・ウィンディング、衣装はカトリーヌ・レテリエ。生活のために時としてコソ泥を働いたりもするヴィオレット(アジャーニ)とフランソワ(デュトロン)の若いカップルを描くライト・コメディ。サルド作曲の「Violette...」「...Et Francois」は、ややメランコリックで美しい曲。「Violette sans Francois」は、サルド自身のピアノによる寂しげなタッチの曲。「Sentimental」はデキシーランドジャズ。「La lettre de Violette」もメランコリックなタッチ。

3. 甘くない砂糖 LE SUCRE

1978年製作のフランス映画(英語題名は「The Sugar」/日本初公開は1981年12月)。出演はジャン・カルメ、ジェラール・ドパルデュー、ミシェル・ピッコリ、ネリー・ボルジョー、ジョルジュ・デクリエール、ロジェ・アナン、マルト・ヴィラロンガ他。脚本はジョルジュ・コンションとジャック・ルーフィオ、撮影はルネ・マトゥラン。税務署の仕事を辞め、薬剤師の妻ヒルダ(ボルジョー)の財産を管理している初老の男アドリアン(カルメ)は、パリで偶然知り会ったラウール=ルノー(ドパルデュー)という若者の口車にのり、砂糖相場に手を出して半年後に破産してしまうが……。サルド作曲の「Le sucre」は、陽気で躍動的なタッチ。「La bourse en caca」は、ダイナミックなオーケストラ曲。「Miami」も陽気な曲。「Sous la pluie」は気だるいタッチ。「Le sucre」は、明るく陽気なピアノによるメインの主題。サルドの個性がよく出たスコア。

4. (未公開)フィレンツェに燃えて/ワーキング・ガールの恋 L'ETAT DE GRACE

1986年製作のフランス映画(英語題名は「State of Grace」/日本では劇場未公開でビデオ発売済)。出演はニコール・ガルシア、サミー・フレイ、ピエール・アルディティ、フィリップ・レオタール、ドミニク・ラブーリエ、マルク・ベルマン、ジャン・ルージェリー他。脚本はジャック・ルーフィオとジャック・キルスネル、撮影はドミニク・シャピュイ。銀行家の妻で大手スポーツ用品メーカーを経営するフローランス(ガルシア)と、閣外大臣のアントワーヌ(フレイ)の恋を描くドラマ。「La fille aux petits frissons」は、ピエール・ペレによる明るくライトなシャンソン。「Florence et Antoine」は、繊細で美しい曲。「Autoroute」は、ややトラジックなタッチ。「L'etat de grace」は、トゥーツ・シールマンスの口笛によるメインの主題のバリエーション。演奏はパリ管弦楽団

5. (未公開)MON BEAU-FRERE A TUE MA SOEUR

1986年製作のフランス映画(英語題名は「They've Killed Her!」)。出演はミシェル・セロー、ミシェル・ピッコリ、ジャン・カルメ、ジュリエット・ビノッシュ、ジャン=ピエール・ビッソン、ミルヴァ、トム・ノヴァンブル、イザベル・プティ=ジャック、フランシス・ジロー他。脚本はジョルジュ・コンションとジャック・ルーフィオ、撮影はジャック・ロワズルー。若く美しい獣医のエステール(ビノッシュ)から「私の妹が義理の兄弟に殺された」と告白されたアカデミー・フランセーズの教授オクターヴ(セロー)とエチエンヌ(ピッコリ)は、彼女のためにそのミステリを解こうとするが……。サルド作曲の「Mon beau-frere a tue...」は、リリカルで美しく、どこか懐かしさを感じさせる曲。「...Ma soeur」はややコミカルなタッチ。

6. (未公開)L'ARGENT

1988年製作のフランスのTV映画。出演はクロード・ブラッスール、ミウ=ミウ、ミシェル・ガラブリュ、アンナ・ガリエナ、ジャン=ピエール・ビッソン、ロベール・リンボー、ティエリー・フォルティノー他。エミール・ゾラの小説を基にクロード・ブリュールが脚本を執筆。サッカール(ブラッスール)は、3年前に失った財産を取り戻すため、例え法を犯してでもあらゆる手段を講じるが……。サルド作曲の「L'amour」は、繊細で情感豊かな曲。「L'argent」は快活なマーチ調。演奏はパリ管弦楽団

 

尚、この仏Universalレーベルによるフィリップ・サルドのコンピレーションは、アンドレ・テシネ監督作品集、イヴ・ボワッセ監督作品集もリリースされている。

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アンドレ・テシネ監督作品集
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イヴ・ボワッセ監督作品集

(2006年7月)

Philippe Sarde

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