サタンバグ THE SATAN BUG

作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by JERRY GOLDSMITH

(米Film Score Monthly / FSM Vol.10 No.6)

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1964年製作のアメリカ映画。製作・監督は「OK牧場の決斗」(1957)「荒野の七人」(1960)「大脱走」(1963)「墓石と決闘」(1967)「北極の基地/潜航大作戦」(1968)「鷲は舞いおりた」(1976)等のジョン・スタージェス。出演はジョージ・マハリス、リチャード・ベースハート、アン・フランシス、ダナ・アンドリュース、ジョン・ラーキン、リチャード・ブル、フランク・サットン、エドワード・アズナー、サイモン・オークランド、ジョン・アンダーソン、ジョン・クラーク、ハリ・ローズ、ヘンリー・ベックマン、ジェームズ・ホン、ジェームズ・ドゥーアン他。「ナバロンの要塞」(1961)「荒鷲の要塞」(1968)「八点鐘が鳴るとき」(1971)「爆走!」(1972)「軍用列車」(1975)「黄金のランデブー」(1977)「ナバロンの嵐」(1978)「オーロラ殺人事件」(1979)等のアリステア・マクリーン(ここではイアン・ステュアート名義)の原作『悪魔の兵器』を基に、「(未公開)蝿男の恐怖」(1958)「大脱走」(1963)「633爆撃隊」(1964)「将軍 SHOGUN」(1980)等のジェームズ・クラヴェルと、「ベケット」(1964)「絞殺魔」(1968)「シャイヨの伯爵夫人」(1969)「大いなる勇者」(1972)等のエドワード・アンハルトが脚本を執筆。撮影は「オクラホマ!」(1955)「ベン・ハー」(1959)「戦艦バウンティ」(1962)「コレクター」(1965)「卒業」(1967)「スティング」(1973)等のロバート・サーティース。地球上の全生命を絶滅させる能力を持つ恐るべき細菌兵器“サタンバグ”が、米政府の生物兵器研究施設“ステーション3”から2人組の侵入者ドナルド(サットン)とヴェレッティ(アズナー)によって強奪される。政府のエージェント、キャバナー(ブル)とウィリアムス将軍(アンドリュース)は、ステーション3の元保安主任リー・バレット(マハリス)を呼び戻し、事件の調査を命じる……。

これは1960年代にジェリー・ゴールドスミスが手がけた傑作サスペンス・スコアの1つで、以前よりアルバム化が望まれていた作品。そのマスターテープは(その他のユナイテッド・アーティスツ作品のサウンドトラックと同様)過去に廃棄されたと考えられていたが、映画の小道具等を収集しているボブ・バーンズのコレクションから2リール分のステレオ・マスター(スコア全体の約40%)が奇跡的に発見された。このCDは、このステレオ音源(30分34秒)に、1996年リリースのレーザーディスクからアイソレートされた音楽+効果音トラック(モノラル)の抜粋を組み合わせてスコア全体を時系列に編集した“Archival Edition”となっている(このため、特に後半のアクション・シーンのトラックでは銃声やヘリコプター音等の効果音がかなり入っている)。スコア自体は、高音域の弦楽器(ヴァイオリンとヴィオラ)を除いたオーケストラ構成と、初期のシンセサイザー(ハモンド・ソロヴォックスとハモンド・ノヴァコード)を効果的に使用した極めてサスペンスフルな音楽。「Main Title / The Base」は、人間の身体が細菌によって侵食されていく様を描いたデヴィッド・デパティーによるアニメーションのタイトルバックに流れる音楽で、不吉なイントロから、不気味で緊迫感に満ちた、いかにもゴールドスミスらしいメインタイトルが展開。細菌兵器の恐怖を十二音技法によるアブストラクトなタッチで表現していて見事。「Tired Doctor」「No Answer」等は、静かなサスペンス音楽。「The Bottle Snatcher」は、細菌強奪のシーンのビジーで緊迫した音楽。「Dockside」は、主人公のバレット登場シーンでのトランペットソロが印象的な曲。「The Deal」は、バレットが政府関係者から任務をオファーされるシーンの曲。以降、「Chemistry Lesson」「The Vault」「The Telegram / The Killers at Home」「The Skin Diver」「His Master's Voice / The Phone Call」「The Captives」「Escape Route」等、ダークで緊迫感に満ちたサスペンス音楽が連続。細菌の恐怖を描写したシンセサイザーによる不気味なタッチが秀逸。「The Investigator」は、ダイナミックで躍動的な曲。後半の「The Getaway」「Instant Death」「The Hitchhiker」「End of the Line」「Road Block」「The Clue / Traffic Jam」は、激しいアクション音楽の連続で、ゴールドスミスが後に手がける「猿の惑星」や「カプリコン・1」等の原型とも言えるダイナミックなタッチ。ラストの「The Hidden Bottle / Bail Out / End Title」は、クライマックスのアクションからピースフルなエンドタイトルへと展開。最後にボーナス・トラック4曲を収録。3000枚限定プレス。
(2007年6月)

Jerry Goldsmith

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