(TV)引き裂かれた祖国/ブルー&グレイ THE BLUE AND THE GRAY
作曲・指揮:ブルース・ブロートン
Composed and Conducted by BRUCE BROUGHTON
(米Intrada / Intrada Special Collection Volume 57)
1982年製作のアメリカのTVミニ・シリーズ(日本ではビデオ発売済み)。監督は「マクリントック」(1963)「シェナンドー河」(1965)「大西部への道」(1967)「バンドレロ」(1968)「大いなる男たち」(1969)「チザム」(1970)「ビッグケーヒル」(1973)「大いなる決闘」(1976)等の西部劇や「コマンド戦略」(1967)「ワイルド・ギース」(1978)「北海ハイジャック」(1980)「シーウルフ」(1980)等のアクション映画で知られるアンドリュー・V・マクラグレン。出演はステイシー・キーチ、ジョン・ハモンド、ロイド・ブリッジス、ロリー・カルホーン、コリーン・デューハースト、ウォーレン・オーツ、ジェラルディン・ペイジ、リップ・トーン、ロバート・ヴォーン、スターリング・ヘイドン、ポール・ウィンフィールド、グレゴリー・ペック、ジョン・ヴァーノン、パトリック・スウェイジ、チャールズ・ネイピア、グレッグ・ヘンリー、ブルース・アボット、ロイス・D・アップルゲイト、ダイアン・ベイカー、キャスリーン・ベラー、ポール・ベネディクト、フレデリック・クック、デヴィッド・ドイル、ジュリア・ダフィ、ロビン・ガンメル、ジュリアス・ハリス、アレックス・ハーヴェイ、マイケル・ホートン、クーパー・ハッカビー、ジョン・デニス・ジョンストン、ジェームズ・キャロル・ジョーダン、ブライアン・カーウィン、ウィリアム・ラッキング、ジェラルド・S・オローリン、ウォルター・オルケウィック、グレッグ・パーマー、ジョージ・ペトリ、ペニー・ペイサー、クリストファー・ストーン、ロバート・シモンズ、ノーブル・ウィリンガム他。ジョン・リークリーがピュリッツアー賞受賞歴史家ブルース・キャットンに取材して書いた原作『Reflections on the Civil War』を基に、イアン・マックレハン・ハンターが脚本を執筆。撮影はアル・フランシス。画家で記者のジョン・ゲイザー(ハモンド)の視点から南北戦争の様々な人間ドラマを描いた381分に及ぶTVミニ・シリーズ。グレゴリー・ペックがエイブラハム・リンカーンを演じて、作品に重厚な風格を加えている。
これは、ブルース・ブロートンが「シルバラード」(1985)「ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎」(1985)「ミリィ/少年は空を飛んだ」(1985)「ハリーとヘンダスン一家」(1987)等メジャーな劇場映画のスコアを手がける以前に担当した作品で、傑作「シルバラード」の原型とも言えるウエスタン・スコア。戦争のスペクタクルよりはインティメートな人間ドラマに重点を置いた音楽。「Main
Title」は、勇壮なマーチのイントロから雄大なメインの主題へと展開するメインタイトル。ブロートン流の“アメリカーナ”音楽が素晴らしい。「The
Geyser Farm」「John Leaves Home; Gettysburg, PA」は、フィドルによるメインの主題のバリエーションで、牧歌的なタッチがブロートンらしい。「Nell's
Cure」も、ギターとハーモニカによる牧歌的な曲。「Bold Girl; Lester and Emmy」「Jonas and Mary;
Engaged」「Newlyweds」「The Emancipation Proclamation; Sleeping Torment」等は、ジェントルなタッチ。「Searching
Jonathan's; Jonathan Gets Lynched; Sacred No Longer」は、サスペンス調から後半はメインの主題に。「James
Goes to Enlist」「Don't Go Away Mad」は、ややコミカルなタッチ。「Stone Bridge at Bull Run;
Retreat from Bull Run」「Malachy Runs Again; The Confederate Balloon」「The Balloon
Breaks Free」「Rebels Ahead; Reb Ambush」「Whiskey Anesthetic」等は、ダイナミックなアクション音楽。「Lincoln's
Gift」は、後半パワフルに盛り上がる。「The Hot Air Balloon」は、躍動的でサスペンスフル。「Trestle
Fire」は、メインの主題を含むダイナミックな曲。「Mary Dies; Something Wrong」「Another
Murder」「Wilderness Casualties」等は、サスペンス調。「Mark Dies」は、ドラマティックな曲。「John
Returns Home; Mama's Hopes; John's Decision」は、ハーモニカによるメインの主題の牧歌的なバリエーション。「Lee's
Farewell」は、ジェントルで荘厳なタッチ。「Portraits & End Credits」は、メインの主題のリプライズにより締めくくるエンドクレジット。これはブロートンの作品中でもサントラ盤のリリース希望が多かったスコアだが、オリジナルのマルチトラック・マスターが紛失しており、最近になってステレオのセイフティー・コピーが発見されたことで、コンプリートスコアのアルバム化が可能となった。CD2枚組で2時間超の音楽を収録。2000枚限定プレス。
(2008年2月)
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