ライラの冒険 黄金の羅針盤 THE GOLDEN COMPASS

作曲:アレクサンドル・デスプラ
Composed by ALEXANDRE DESPLAT

指揮:アレクサンドル・デスプラ、ギャヴィン・グリーナウェイ
Conducted by ALEXANDRE DESPLAT, GAVIN GREENAWAY

(米New Line Records / NLR 39101)

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2007年製作のアメリカ=イギリス合作映画。監督は「アンツ」(1998)「ナッティ・プロフェッサー2/クランプ家の面々」(2000)の脚本や「(未公開)天国からきたチャンピオン 2002」(2001)「アバウト・ア・ボーイ」(2002)等の監督を手がけているクリス・ワイツ。出演はニコール・キッドマン、ダニエル・クレイグ、ダコタ・ブルー・リチャーズ、ベン・ウォーカー、エヴァ・グリーン、ジム・カーター、トム・コートネイ、サム・エリオット、クリストファー・リー、エドワード・デ・スーザ、サイモン・マクバーニー、ジャック・シェパード、マグダ・ズバンスキー、デレック・ジャコビ、クレア・ヒギンズ、チャーリー・ロウ他。声の出演はイアン・マッケラン、フレディ・ハイモア、イアン・マクシェーン、クリスティン・スコット・トーマス、キャシー・ベイツ他。フィリップ・プルマンの原作『黄金の羅針盤』を基にクリス・ワイツが脚本を執筆。撮影はヘンリー・ブラーム。ファンタジー小説“ライラの冒険”3部作の映画化第一弾。人々が“ダイモン”と呼ばれる動物の姿をした守護精霊を連れ、その人生を共にしているパラレルワールドを舞台に、オックスフォード大学のジョーダン学寮に暮らす12歳の少女ライラ・ベラクア(リチャーズ)が、学長から手渡された黄金の羅針盤アレシオメーターを手に、行方不明の子供たちを捜す旅に出る……。メインの悪役である上流社会の実力者コールター夫人をニコール・キッドマンが嬉々として演じているが、脇の悪役で85歳のクリストファー・リーや69歳のデレック・ジャコビといったイギリスの重鎮が顔を出しているのが興味深い。

音楽はフランス人のアレクサンドル・デスプラが作曲。ファンタジー大作にふさわしいカラフルなオーケストラル・スコアを展開。「The Golden Compass」は、静かにミステリアスなタッチのイントロダクション。「Sky Ferry」は、スカイフェリーの航行シーンの躍動的な曲。スコア中で何度も登場するこのミステリアスなタッチの主題にデスプラの個性を感じさせる。「Letters from Bolvangar」は、ややメランコリックなタッチ。「Lyra, Roger and Billy」は、ライラと親友たちを描いた明るく快活な曲。「Mrs. Coulter」は、ミステリアスでややセンシュアルなコールター夫人の主題。「Lyra Escapes」は、ビジーなアクション音楽。「The Magisterium」は、サスペンス調。「Serafina Pekkala」は、魔女族の女王セラフィナ・ペカーラ(グリーン)の主題。「Lee Scoresby's Airship Adventure」は、テキサス出身の気球乗りリー・スコーズビー(エリオット)のヒロイックな主題。「Iorek Byrnison」は、ライラが鎧熊族のかつての王イオレク・バーニソン(声:マッケラン)を雇うシーンのサスペンス調の曲で、後半はダイナミックなアクション音楽。「Lord Faa, King of the Gyptians」は、西ジプシャン族の長ファー統領(カーター)のダイナミックでヒロイックな主題。「The Golden Monkey」は、コールター夫人のダイモンであるゴールデンモンキーのミステリアスな主題。「Riding Iorek」は、ライラがイオレクの背に乗って疾走するシーンのヒロイックで躍動的な曲。「Samoyed Attack」は、ビジーなアクション音楽。「Ragnar Sturlusson」は、ライラが鎧熊族の王ラグナー・スタールソン(声:マクシェーン)と対面するシーンのサスペンス音楽。「Ice Bear Combat」は、イオレクとラグナーの対決のシーンのアクション音楽。「The Ice Bridge」「Rescuing the Children」は、サスペンス音楽。「Battle with the Tartars」は、クライマックスのダイナミックなアクション音楽。「Epilogue」は、ミステリアスな主題からハッピーエンディングなフィナーレで締めくくるエピローグ。ラストにケイト・ブッシュ作曲・ヴォーカルによる主題歌「Lyra」を収録。どちらかというとアート系のフランス映画の音楽を数多く手がけているアレクサンドル・デスプラだが、すっかりハリウッドのメジャー・コンポーザーのひとりとなった感がある。
(2008年3月)

Alexandre Desplat

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