Date of Birth: 1961/8/23
Place of Birth: Paris, France
Mini Biography:
Alexandre Michel Gerard Desplat learnt to play piano at the age of 6, trumpet at 8, and flute at 10. He took the musical analysis classes of Claude Ballif in the C.N.S.M of Paris, as well as "Les Ateliers UPIC" of Iannis Xenakis, and studied the orchestration in Los Angeles with Jack Hayes. He met Georges Delerue when he was staying in LA, and became interested in pursuing a career as a film music composer. He composed the score for nearly 100 films by Philippe de Broca, Francis Girod, Jacques Audiard, Patrice Leconte, Peter Webber, Florent-Emilio Siri, Jonathan Glazer, Marleen Gorris, Marion Vernoux, Philippe Harel and others. He was nominated for the Cesars in 1997 for "Un heros tres discret" and in 2002 for "Sur mes Levres", as well as to Golden Globes, British Awards and European Film Awards 2004 for "Girl with a Pearl Earring". He won the Silver Bear 2005 in Berlin for "De battre mon coeur s'est arrete" and was nominated for the Golden Globes 2006 for "Syriana".
Official website of Alexandre Desplat: http://www.alexandredesplat.net/
Unofficial website of Alexandre Desplat: http://desplat.free.fr/index_e.htm
ハーフ・ア・チャンス
UNE CHANCE SUR DEUX 作曲・指揮:アレクサンドル・デスプラ 演奏:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 (仏BMG / 74321570422) 1998 |
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1998年製作のフランス映画。これは何よりもスターのカリスマを楽しむ作品である。フランスを代表する2大アクターであるアラン・ドロンとジャン=ポール・ベルモンドが、1970年の「ボルサリーノ」以来28年ぶりに共演したアクション映画。しかも監督が「仕立て屋の恋」「髪結いの亭主」「イヴォンヌの香り」等のパトリス・ルコントという豪華な組み合わせ。共演はヴァネッサ・パラディ、エリック・デュフォス、アレクサンドル・ヤコヴレフ、ヴァレリ・ガタエフ、ミシェル・オーモン他。ブルーノ・タルドンの原案を基にパトリック・ドゥヴォルフ、セルジュ・フリードマンとルコントが脚本を執筆。撮影はスティーヴン・B・ポスター。
ドロンとベルモンドは、ジャック・ドレー監督の「ボルサリーノ」で共演した際に「ポスターに表示される名前の序列」という大スター共演時の古典的なトラブルで裁判までやってくれており、それ以来まさに犬猿の仲ということになっていた。ところが、今回の映画では互いに「ずっと再共演したいと思っていたのにどういう訳か今までチャンスがなかった」などとコメントしており、お互い「相手の事が気になってしようがないライバル」だったのだろう。
この「ハーフ・ア・チャンス」では、2人とも表の顔と裏の顔を持つ男を演じている。ドロンは表向きは高級レストランのオーナーだが実はプロの銀行強盗、一方のベルモンドは高級車販売ディーラーだが過去に外人部隊の兵士だった経歴を持つ、という設定である。そんな2人を結び付けたのはヴァネッサ・パラディ扮する少女で、突然彼らの前に表れ「あなたは私のパパかもしれない」と言う。彼女の母親はかつてドロンとベルモンドの2人を同時に愛したが、どちらが彼女の父親かわからない、との遺言を残して急死したのである。という訳で、ドロンとベルモンドは「どちらが少女の父親か」という謎を巡ってまたもライバル関係となる。一方で、少女がロシア・マフィアの麻薬取引に巻き込まれたことから、犯罪組織に命を狙われるはめになり、2人は自分の娘かもしれない少女を守るために悪人相手に戦いを挑むことになる。
ジャン=ポール・ベルモンドといえば、ジャン=リュック・ゴダール監督の「勝手にしやがれ」「気狂いピエロ」、フィリップ・ド・ブロカ監督の「リオの男」「カトマンズの男」、ジョゼ・ジョヴァンニ監督の「ラ・スクムーン」、アンリ・ヴェルヌイユ監督の「華麗なる大泥棒」「恐怖に襲われた街」等、ダイナミックな陽性のキャラクターの役柄が多く、危険なシーンも殆どスタンド・インなしで自分でこなすアクション派俳優として有名である。日本で彼の映画がTV放映される時には、故・山田康雄氏がよく声を吹替えていたが、確かにルパン三世的な軽妙なキャラクターともいえる(顔は似てないが)。
一方のアラン・ドロンは陰性のキャラクターであり、私生活にも犯罪の影がつきまとっていたりして、概して暗い印象の俳優である。この人は監督に非常に恵まれており、ルネ・クレマン監督の「太陽がいっぱい」、ルキノ・ヴィスコンティ監督の「若者のすべて」「山猫」、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の「太陽はひとりぼっち」、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の「悪魔のようなあなた」、ロベール・アンリコ監督の「冒険者たち」、ピエール・グラニエ=ドフェール監督の「帰らざる夜明け」、アンリ・ヴェルヌイユ監督の「地下室のメロディー」「シシリアン」等、名匠と呼ばれる監督の作品に多数出演している。個人的に印象に残っているのは私の大好きなジャン=ピエール・メルヴィル監督と組んだいくつかの作品で、特に孤独でクールな殺し屋を見事に演じた「サムライ」は私の一番好きなドロンの出演作である(「レオン」のプロモーションで来日したリュック・ベッソンに会った時に聞いたら、彼もこの映画が好きだと言っていた。「レオン」は明らかに「サムライ」を意識していると思う)。メルヴィルとのコンビはその他にも「仁義」「リスボン特急」があるが、これらは共演者の方がいい役をもらっており、ドロンは損をしている。因みにドロンの声は日本では野沢那智氏がよく吹替えているが、彼の陰性のキャラクターにはちょっと明るすぎる声のような気がする。堀 勝之佑氏も時々吹替えることがあるが、彼の方が暗い雰囲気があってドロンのイメージに合っていると思う。(この「ハーフ・ア・チャンス」は日本語吹替版のビデオが出ており、ここでの声優はドロン=野沢那智、ベルモンド=羽佐間道夫だった)
ところで、かつてのアクション・スター達が再度コンビを組んで「もう一花咲かせる」といった趣向の映画が時々あって、「OK牧場の決闘」(1957)で共演した名優バート・ランカスターとカーク・ダグラスが老ギャングを演じた「タフ・ガイズ」(1986)とか、「ナバロンの要塞」(1961)で共演したグレゴリー・ペックとデヴィッド・ニーヴンが再度ドイツ軍相手に戦う「シーウルフ」(1980)とかがその例だが、この手の映画は普通の会話のシーンはともかくとして、アクション・シーンになると年老いたスター達がいかにも「老骨に鞭打って」という感じで頑張っていて、見ていると若干気の毒になってしまう。ところが、今回の映画のドロン(62歳)とベルモンド(65歳)の若々しさはどうだろう。ドロンは時々くだびれた感じにも見えるが、ベルモンドは実に颯爽としており、年齢による演技の深みも増して非常にいい味を出している。特にこの2人のスターが登場するシーンでの圧倒的な存在感は驚くべきものであり、キュートな魅力を振りまくヴァネッサ・パラディや、若い刑事役のエリック・デュフォス等が脇で健闘してはいるが、2大スターの前では全く霞んで見える。
パトリス・ルコントの演出はエンターテインメント性を強調した極めてリラックスしたものであり、全体にコメディタッチで、派手なガンアクションやカーチェイスもハリウッド映画と比べるとどことなくおっとりした感じがして気軽に楽しむことが出来る。また、2大スターの過去の作品へのオマージュも忘れていない。マフィアに戦争をしかける準備の為に武器庫にやってきたドロンとベルモンドが、それぞれモーゼル拳銃とマシンガンを構えて「昔の勘が戻るかな」といって笑うシーンでは、クロード・ボラン作曲の「ボルサリーノ」の1フレーズが流れたりする。こういうさりげないQuoteは映画ファンにとっては実に楽しい。
フランスの作曲家アレクサンドル・デスプラの音楽は、出だしがまるで「レオン」等でのエリック・セラの雰囲気そのままなのが少し気になるが、中盤からロイヤル・フィルを華やかに鳴らす豪快なシンフォニック・スコアとなる。映画の前半に、パラディに気に入られようとドロンとベルモンドが「親ばか」ぶりを競い合い、レーシングカーを運転させたりヘリコプターに乗せたりするシーンがあるが、ここでのデスプラの音楽は、ミシェル・ルグランのオーケストラル・スコアのような華麗でリッチなサウンド。アクションシーンでの緊迫感を持ったダイナミックな劇伴音楽もなかなか良い。大スター共演のエンターテインメント作品にふさわしいスケールの大きいドラマティック・スコアを提供しており、今後の活躍にも期待したい。
(2000年5月)
真珠の耳飾りの少女 GIRL WITH A PEARL
EARRING 作曲・指揮:アレクサンドル・デスプラ 演奏:プロ・アルト管弦楽団 (英Decca / 475 537-2) |
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2003年製作のイギリス=ルクセンブルグ合作映画(日本公開は2004年4月)。監督は「The Temptation of Franz Schubert」(1997)「Underground」(1999)「Men Only」(2001)「The Stretford Wives」(2002)といったTV映画(日本未公開)を手がけているピーター・ウェバー。出演はスカーレット・ヨハンソン、コリン・ファース、トム・ウィルキンソン、ジュディ・パーフィット、シリアン・マーフィ、エッシー・デイヴィス、ジョアンナ・スキャンラン、アラキナ・マン、クリス・マクホーレム、ガブリエル・リーディ、ローロ・ウィークス、アンナ・ポップルウェル、アナイス・ネッパー、メラニー・メイフロイド他。トレイシー・シュヴァリエの原作『真珠の耳飾りの少女』を基にオリヴィア・ヘトリードが脚本を執筆。撮影はエドゥアルド・セラ。17世紀オランダの画家ヨハネス・フェルメール作の絵画「真珠の耳飾りの少女」を題材としたドラマ。フェルメール(ファース)の家に使用人として雇われた少女グリート(ヨハンソン)は、過酷な労働に追われる日々の中で、フェルメールから美的感覚の鋭さを認められる。彼の妻カタリーナ(デイヴィス)は、二人の関係に嫉妬するが、フェルメールは狡猾なパトロンのファン・ライフェン(ウィルキンソン)の挑発に乗せられ、グリートをモデルにした絵を描くことになる……。本作品は、2003年度アカデミー賞の撮影賞、美術賞、衣裳デザイン賞にノミネートされている。
音楽はフランスの作曲家アレクサンドル・デスプラが担当。冒頭の「Girl with a Pearl Earring」は繊細で美しいメインの主題。続く「Griet's Theme」は主人公グリートの主題だが、この非常にリッチで印象的な主題は、「Winter Nights」「Home」等でも繰り返し登場する。「The Master's House」は繊細かつサスペンスフルな曲。「The Birth Feast」は躍動的なタッチで、後半はグリートの主題に展開。「Cornelia」「Van Ruijven」等もサスペンス調。「Vermeer's Studio」は幻想的なタッチ。「Colours in the Clouds」はドラマティックな曲。「Home」でのフルート・ソロは作曲家のデスプラ自身が演奏している。このスコアに関するデスプラへのインタビューによると、監督のピーター・ウェバーは、映画の題材となる絵画のように静かでリリカルな音楽を提供してくれる作曲家を探しており、「リード・マイ・リップス」のデスプラのスコアを聴いて彼に作曲を依頼してきたという。ここで彼が作曲したスコアの3つの重要な要素は、“静寂”“光”そして“謎(ミステリー)”だった。“静寂”とは、フェルメールのアトリエの(絵筆の音しか聞こえないような)“静けさ”と、当時の人々の羞恥心や宗教的な理由からの“沈黙”を指し、“光”とは、フェルメールに代表されるオランダの画家が描く絵画に特有の“光”、“謎”とは、生涯に30程度の作品しか残さなかったフェルメールという画家のミステリアスな存在を指している。このスコアでは特に“謎”の要素が強調されており、フェルメールとグリート、フェルメールとカタリナの間のテンションの高まりや、抑えつけられて爆発しそうになる緊迫した感情がサスペンス調の曲に反映されている。音楽的には、激しく情感豊かなストリングスによりミステリーの要素を表現し、ハープ、チェレスタ、ピアノ、ヴィブラフォンにより光と抑制された愛情を表現している。デスプラが崇拝するフランスの映画音楽作曲家は、モーリス・ジャールとジョルジュ・ドルリューで、監督のウェバーもリリカルでメランコリックな音楽のレファレンスとしてドルリューの名前を頻繁に挙げており、ここでのデスプラのスコアもドルリューの影響を少なからず受けているという。アメリカの作曲家ではバーナード・ハーマン、フランツ・ワックスマン。アレックス・ノース、ジェリー・ゴールドスミス、ジョン・ウィリアムス、ダニー・エルフマンの影響を受けており、特にこのスコアの作曲の際にはゴールドスミスの「チャイナタウン」を大いに参考にしたらしい。
アレクサンドル・デスプラが手がけた多数のフランス映画作品中でサントラ・アルバムがリリースされているのはごくわずかだが、この「真珠の耳飾りの少女」によってハリウッドからも認知されたことで、今後は彼がもっとメジャーな存在になることを期待している。
(2004年3月)
ファイヤーウォール FIREWALL
作曲・指揮:アレクサンドル・デスプラ 演奏:ハリウッド・スタジオ交響楽団 (米Varese Sarabande / 302 066 715 2) |
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2006年製作のアメリカ映画。監督は「リチャード三世」(1995)「(TV)チャーチル/大英帝国の嵐」(2002)「ウィンブルドン」(2004)等のリチャード・ロンクレイン。出演はハリソン・フォード、ポール・ベタニー、ヴァージニア・マドセン、メアリー・リン・ライスカブ、ロバート・パトリック、ロバート・フォースター、アラン・アーキン、カーリー・シュローダー、ジミー・ベネット、マシュー・カリー・ホームズ他。脚本はジョー・フォート。撮影はマルコ・ポンテコルヴォ。冷徹なビル・コックス(ベタニー)率いる強盗グループが、ランドロック・パシフィック銀行のセキュリティ・システムを構築した役員ジャック・スタンフィールド(フォード)に接近し、彼の妻(マドセン)と2人の子供(シュローダー、ベネット)を人質に捕る。コックスは、銀行の高額預金者の口座から1億ドルを海外の指定口座に送金するようにスタンフィールドに指示するが……。
音楽は「真珠の耳飾りの少女」(2003)で世界的に注目され、その後も「コルシカン・ファイル」(2004)「カサノバ」(2005)「真夜中のピアニスト」(2005)「ホステージ」(2005)「シリアナ」(2005)等のスコアを手がけているパリ出身の若手作曲家アレクサンドル・デスプラ。ハリウッドで活躍しているフランス人映画音楽作曲家としては貴重な存在。ここではオーケストラとシンセサイザーにより、ストレートにサスペンスを表現したアンダースコアを展開している。「Firewall」は、映画の中盤でスタンフィールドとその家族が強盗一味からの逃亡を試みるシーンのビジーでハイテンションなアクション音楽。「Surveillance」は抑制されたサスペンス音楽。「Breaking
In」「The Bank」「First Night」「Hostages」「Escape From the Bank」「Exchanging the Files」といった曲も、劇中の緊張感を効果的に高めている。「The
Camera Dances」「The Epi-Pen」はアクション音楽。「The Family Theme」は、リリカルでジェントルなスタンフィールドの家族の主題。「The
Fight」は、クライマックスの激しいアクション音楽。「Together Again」は、ラストをピースフルに締めくくる。劇伴に徹したソリッドなサスペンス・スコア。
(2006年4月)
クィーン THE QUEEN
作曲・指揮:アレクサンドル・デスプラ 演奏:ロンドン交響楽団 (仏Milan / 399 050-2) |
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2006年製作のイギリス=フランス=イタリア合作映画。監督は「マイ・ビューティフル・ランドレット」(1985)「危険な関係」(1988)「グリフターズ/詐欺師たち」(1990)「靴をなくした天使」(1992)「ジキル&ハイド」(1996)「ヘンダーソン夫人の贈り物」(2005)等のスティーブン・フリアーズ。出演はヘレン・ミレン、マイケル・シーン、ジェームズ・クロムウェル、シルヴィア・シムズ、アレックス・ジェニングス、ヘレン・マックローリー、ロジャー・アラム、ティム・マクムラン、ダグラス・リース、ロビン・ソーンズ、ローラ・ペップロー、ジョイス・ヘンダーソン、パット・ラッファン、アマンダ・ハディング、ジョン・マッグリン他。脚本はピーター・モーガン、撮影はアフォンソ・ビート。1997年8月のダイアナ妃の死後、苦悩の末に格調高き英国王室の伝統から一歩足を踏み降ろし、英国民と哀しみを共有した女王エリザベス2世(ミレン)を描くドラマ。プロデューサーのアンディ・ハリーズは、この映画の製作当初、撮影に関して王室と連絡を取った際、エリザベス女王から「そのようなことに関してはコメントしない」とプレスを通じて返答されたという。
音楽はフランス人のアレクサンドル・デスプラが作曲しているが、ここでは作品のテーマにふさわしい英国調の上品でクラシカルなスコアを提供している。「The
Queen」は、格調高いファンファーレからジェントルで静かな主題へと展開。この主題は「H.R.H.」「The Flowers of
Buckingham」等でも顔を出す。「Hills of Scotland」は、抑制された、ややメランコリックな主題で、「People's
Princess I」「H.R.H.」「The Stag」「The Queen Drives」「People's Princess II」「Queen of
Hearts」等で繰り返し登場し、最も強い印象を残す。「A New Prime Minister」は、トニー・ブレア首相(シーン)を描写した躍動的で明るい主題で、「Mourning」「Elizabeth
& Tony」「Tony & Elizabeth」でも登場。ラストにヴェルディ作曲の「レクイエム」からの「Libera me(我を救い給え)」が収録されているが、これはダイアナ妃が生前に愛したクラシック音楽で、その葬儀の際に演奏された曲。
(2006年10月)
ココ・アヴァン・シャネル COCO AVANT CHANEL
作曲・指揮:アレクサンドル・デスプラ 演奏:ロンドン交響楽団 (独Varese Sarabande / VSD-69682) |
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2009年製作のフランス映画。監督はルクセンブルグ出身で「おとぼけオーギュスタン」(1995)「ドライ・クリーニング」(1997)「オーギュスタン 恋々風塵」(1999)「恍惚」(2003)等を手がけている女流監督アンヌ・フォンテーヌ。出演はオドレイ・トトゥ、ブノワ・ポールヴールド、アレッサンドロ・ニヴォラ、マリー・ジラン、エマニュエル・ドゥヴォ、レジス・ロワイエ、エティエンヌ・バルトロミュ、ヤン・デュファ、ファビアン・ベアール、ロッシュ・リーボヴィッチ、ジャン=イヴ・シャトレ、ピエール・ディオ、ヴァンサン・ヌムット、ブリューノ・アブラアム=クレメール、リサ・コーエン他。「パレルモ」(1990)等のエドモンド・シャルル=ルーの原作『シャネル ザ・ファッション』(新潮社刊)を基にアンヌ・フォンテーヌ、カミーユ・フォンテーヌとクリストファー・ハンプトンが脚本を執筆。撮影はクリストフ・ボーカルヌ。フランスの著名なファッションデザイナーで“シャネル”ブランドの創立者、ココ・シャネル(1883〜1971/本名:ガブリエル・ボヌール・シャネル)が、孤児院での幼少時代からキャバレーで歌手を志した若年期を経て、ファンション業界で成功を収めるまでを描くバイオグラフィー映画。シャネルの生涯を描いた作品としては、1981年に「ココ・シャネル(CHANEL SOLITAIRE)」(監督:ジョージ・カッツェンダー/出演:マリー=フランス・ピジェ、ティモシー・ダルトン、ルトガー・ハウアー、ブリジット・フォッセー、カレン・ブラック/音楽:ジャン・ミュジー)、2008年に「(TV)ココ・シャネル(COCO CHANEL)」(監督:クリスチャン・デュゲイ/出演:シャーリー・マクレーン、バルボラ・ボブローヴァ、マルコム・マクダウェル、アニー・デュプレー、サガモール・ステヴナン)が製作されている。「ココ・シャネル(CHANEL SOLITAIRE)」のジャン・ミュジー作曲のスコアは過去にフランスでサントラLPがリリースされているが、優れたスコアでありCD化が望まれる。
この「ココ・アヴァン・シャネル」には、アレクサンドル・デスプラが情感豊かでドラマティックなアンダースコアを作曲している。「L'abandon」は、デヴィッド・アーチのピアノをフィーチャーしたジェントルでややメランコリックなメインの主題。この主題は「Royallieu」「L'Atelier」等でも登場する。「Chez Chanel」「Casino de Deauville」は、優雅なワルツ。「Coco & Boy」「Gabrielle Bonheur」「Confession de Balsan」「Coco reve de Paris」等は、メランコリックなタッチの曲。「Couture」は、抑制されたサスペンス調の曲。「Avenue du Bois」は、ドラマティックでストイックな曲。「Premier baiser」「L'Hippodrome」「Un seul Amour」は、ジェントルな曲。「Arthur Capel」は、荘厳なタッチ。「Le Chagrin de Coco」は、トラジックな曲。「Little Black Baby」は、ヴァネッサ・ワグナーのピアノによるスコット・ジョプリン作曲のジャズ。「Qui qu'a vu Coco」は、ガブリエル・“ココ”・シャネル役のオドレイ・トトゥとアドリエンヌ・シャネル役のマリー・ジランが歌う挿入歌。“ココ”の愛称は彼女がキャバレーで歌ったこの曲のタイトルに因んでつけられたという。
アレクサンドル・デスプラが手がけた作品には、
「(未公開)Ki lo
sa?」(1985)
「(未公開)V.O.」(1987)
「(未公開/TV)Pif et Hercule - Main Basse Sur
L'orteil Sacré」(1989)
「(未公開)Lapse of Memory」(1991)
「(未公開)ファミリー・エキスプレス(Family Express)」(1991)
「(未公開/TV)Le flic de Moscou - Crime
sous hypnose」(1991)
「(未公開)Simon courage」(1991)
「(未公開)Rossignol de mes
amours」(1991)
「(未公開)Au nom du père et du fils」(1992)
「(未公開)Sexes
faibles!」(1992)
「(未公開/TV)Papa veut pas que je t'épouse」(1992)
「(未公開)Départ
en vacances」(1993)
「(未公開)Le tronc」(1993)
「(未公開)The Hour of the Pig」(1993)
「(未公開/TV)J'aime pas qu'on m'aime」(1993)
「(未公開)La Vienne dynamique」(1994)
「(未公開)Jour de fauche」(1993)
「(未公開/TV)Le paradis absolument」(1993)
「天使が隣で眠る夜(Regarde les hommes tomber)」(1994)
「(未公開)Marie-Louise ou la
permission」(1995)
「イノセント・ライズ(Innocent Lies)」(1995)
「(未公開)Les Milles」(1995)
「いちばん美しい年齢(Le plus bel âge...)」(1995)
「(未公開/TV)Le fils de Paul」(1995)
「(未公開)Quand je serai grand, mon père il sera policier」(1995)
「(未公開)Bons
baisers de Suzanne」(1995)
「(未公開/TV)D'amour et d'eau salee」(1996)
「(未公開/TV)Tout ce qui brille」(1996)
「(未公開/TV)Échappée belle」(1996)
「(未公開/TV)Le poteau d'Aldo」(1996)
「(未公開)つつましき詐欺師(Un héros très discret)」(1996)
「(未公開/TV)L'histoire du samedi - L'enfer vert」(1996)
「(未公開)パンチ!(Lucky
Punch)」(1996)
「(未公開/TV)Les mercredis de la vie - Alla turca」(1996)
「絹の叫び(Le cri de la soie)」(1996)
「見憶えのある他人(Passage à l'acte)」(1996)
「ラブetc.(Love, etc.)」(1996)
「(未公開/TV)D'amour et d'eau salée」(1996)
「(未公開/TV)La voisine」(1997)
「(未公開/TV)Un petit grain de folie」(1997)
「(未公開)Sous les pieds des femmes」(1997)
「(未公開)La femme du cosmonaute」(1998)
「ハーフ・ア・チャンス(Une chance sur deux)」(1998)
「(未公開)The Revengers' Comedies」(1998)
「(未公開)Restons groupés」(1998)
「(未公開)Une minute de silence」(1998)
「(未公開)Atilano, presidente」(1998)
「(未公開/TV)N'oublie pas que tu m'aimes」(1999)
「(未公開)Toni」(1999)
「(未公開/TV)Retour à Fonteyne」(1999)
「(未公開)C'est pas ma
faute」(1999)
「(未公開)Le château des singes」(1999)
「(未公開/TV)Brigade
spéciale」(1999)
「(未公開/TV)Juliette」(1999)
「(未公開)Monsieur Naphtali」(1999)
「ありふれた愛のおはなし(Rien à faire)」(1999)
「(未公開/TV)L'histoire du samedi - Petits
nuages d'été」(1999)
「(未公開/TV)Les ritaliens」(1999)
「(未公開)Vive nous!」(2000)
「(未公開)Amazone」(2000)
「愛のエチュード(The Luzhin Defence)」(2000)
「(未公開)Barnie et
ses petites contrariétés」(2001)
「(未公開)Home Sweet Home」(2001)
「(未公開)Les
portes de la gloire」(2001)
「(未公開)Mauvais genres」(2001)
「リード・マイ・リップス(Sur
mes lèvres)」(2001)
「(未公開)Reines d'un jour」(2001)
「(未公開/TV)Campagnes」(2001)
「(未公開/V)Michel Audiard et le mystère du triangle des Bermudes」(2002)
「(未公開/TV)Madame Sans-Gêne」(2002)
「スズメバチ(Nid de guêpes)」(2002)
「(未公開/TV)Une
autre femme」(2002)
「(未公開)11'09''01 - September 11」(2002)
「(未公開/TV)Tous les
chagrins se ressemblent」(2002)
「(未公開/TV)Sauveur Giordano - Noces de
papier」(2002)
「(未公開/TV)Paroles d'étoiles」(2002)
「(未公開)Rire et
châtiment」(2003)
「(未公開)Les baisers des autres」(2003)
「(未公開)サイレンス 血の呪(Le
pacte du silence)」(2003)
「(TV)極限感染/バードハザード(Virus au paradis)」(2003)
「(未公開)Les corps impatients」(2003)
「(未公開)Tristan」(2003)
「陽のあたる場所から(Stormy
Weather)」(2003)
「真珠の耳飾りの少女(Girl with a Pearl Earring)」(2003)
「(未公開/TV)Les
beaux jours」(2003)
「(未公開)Inquiétudes」(2003)
「(未公開/TV)Le pays des enfants
perdus」(2004)
「記憶の棘(Birth)」(2004)
「コルシカン・ファイル(L'enquête Corse」(2004)
「(未公開)A boire」(2004)
「(未公開)Tu vas rire, mais je te quitte」(2005)
「ママが泣いた日(The Upside of Anger)」(2005)
「真夜中のピアニスト(De battre mon coeur s'est
arrêté)」(2005)
「ホステージ(Hostage)」(2005)
「情痴 アヴァンチュール(Une aventure)」(2005)
「カサノバ(Casanova)」(2005)
「シリアナ(Syriana)」(2005)
「(未公開)浮気のアリバイ作ります。(The
Alibi)」(2006)
「ファイヤーウォール(Firewall)」(2006)
「(未公開)La doublure」(2006)
「(未公開)Quand j'étais chanteur」(2006)
「クィーン(The Queen)」(2006)
「(未公開)ペインテッド・ヴェール ある貴婦人の過ち(The Painted Veil)」(2006)
「(未公開)Michou
d'Auber」(2007)
「(未公開)Ségo et Sarko sont dans un bateau...」(2007)
「いのちの戦場
-アルジェリア1959-(L'ennemi intime)」(2007)
「ラスト、コーション(Se, jie, aka Lust,
Caution)」(2007)
「マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋(Mr. Magorium's Wonder Emporium)」(2007)
「ライラの冒険 黄金の羅針盤(The Golden Compass)」(2007)
「メッセージ そして、愛が残る(Afterwards, aka Et
apres)」(2008)
「(未公開)ラルゴ・ウィンチ(Largo Winch)」(2008)
「ベンジャミン・バトン 数奇な人生(The
Curious Case of Benjamin Button)」(2008)
「わたしの可愛い人―シェリ(Chéri)」(2009)
「ココ・アヴァン・シャネル(Coco avant Chanel)」(2009)
「預言者(Un prophète)」(2009)
「(未公開)L'armée du crime」(2009)
「ジュリー&ジュリア(Julie & Julia)」(2009)
「ファンタスティック・Mr.FOX(Fantastic Mr. Fox)」(2009)
「ニュームーン/トワイライト・サーガ(The Twilight
Saga: New Moon)」(2009)
「ゴーストライター(The Ghost Writer)」(2010)
「(未公開)タマラ・ドゥルー〜恋のさや当て〜(Tamara Drewe)」(2010)
「(未公開/TV)The Special
Relationship」(2010)
「英国王のスピーチ(The King's Speech)」(2010)
「ハリー・ポッターと死の秘宝
PART1(Harry Potter and the Deathly Hallows: Part 1)」(2010)
「(未公開/TV)Wild
Kratts」(2011)
「ラルゴ・ウィンチ 裏切りと陰謀(Largo Winch II)」(2011)
「(未公開)La fille du
puisatier」(2011)
「ツリー・オブ・ライフ(The Tree of Life)」(2011)
「(未公開)明日を継ぐために(A
Better Life)」(2011)
「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2(Harry Potter and the Deathly
Hallows: Part 2)」(2011)
「スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜(The Ides of March)」(2011)
「おとなのけんか(Carnage)」(2011)
「マリリン 7日間の恋(My Week with Marilyn)」(2011)
「(未公開)Roman Polanski: A Film Memoir」(2011)
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(Extremely
Loud & Incredibly Close)」(2011)
「最後のマイ・ウェイ(Cloclo)」(2012)
「ムーンライズ・キングダム(Moonrise Kingdom)」(2012)
「君と歩く世界(De rouille et d'os)」(2012)
「(未公開)リアリティー(Reality)」(2012)
「(未公開)A Therapy」(2012)
「ルノワール
陽だまりの裸婦(Renoir)」(2012)
「アルゴ(Argo)」(2012)
「(未公開)ガーディアンズ 伝説の勇者たち(Rise of the
Guardians)」(2012)
「ゼロ・ダーク・サーティ(Zero Dark Thirty)」(2012)
「(未公開)From A to
Z」(2013)
「毛皮のヴィーナス(La Vénus à la fourrure)」(2013)
「ケープタウン(Zulu)」(2013)
「(未公開)Marius」(2013)
「(未公開)Fanny」(2013)
「あなたを抱きしめる日まで(Philomena)」(2013)
「(未公開)Jaguar: Rendezvous」(2014)
「ミケランジェロ・プロジェクト(The Monuments Men)」(2014)
「グランド・ブダペスト・ホテル(The Grand Budapest Hotel)」(2014)
「GODZILLA
ゴジラ(Godzilla)」(2014)
「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(The Imitation Game)」(2014)
「不屈の男 アンブロークン(Unbroken)」(2014)
「誰のせいでもない(Every Thing Will Be Fine)」(2015)
「五日物語 -3つの王国と3人の女-(Il racconto dei racconti - Tale of Tales)」(2015)
「(未公開)Une
histoire de fou」(2015)
「未来を花束にして(Suffragette)」(2015)
「リリーのすべて(The Danish
Girl)」(2015)
「(未公開)L'odyssée」(2016)
「ヒトラーへの285枚の葉書(Alone in Berlin)」(2016)
「マダム・フローレンス! 夢見るふたり(Florence Foster Jenkins)」(2016)
「(未公開)Les
habitants」(2016)
「(TV)マルセイユ(Marseille)」(2016)
「ペット(The Secret Life of
Pets)」(2016)
「光をくれた人(The Light Between Oceans)」(2016)
「あさがくるまえに(Réparer
les vivants)」(2016)
「アメリカン・バーニング(American Pastoral)」(2016)
「(TV)トロールハンターズ(Trollhunters - Becoming: Part 1)」(2016)
「(未公開)12 jours」(2017)
「告白小説、その結末(D'après une histoire vraie)」(2017)
「ヴァレリアン 千の惑星の救世主(Valerian and the
City of a Thousand Planets)」(2017)
「シェイプ・オブ・ウォーター(The Shape of Water)」(2017)
「サバービコン 仮面を被った街(Suburbicon)」(2017)
「犬ヶ島(Isle of Dogs)」(2018)
「(TV)オペレーション・フィナーレ(Operation Finale)」(2018)
「ゴールデン・リバー(Golden River)」(2018)
「潜水艦クルスクの生存者たち(Kursk)」(2018)
「(未公開)Held for a Moment」(2019)
「ペット2(The
Secret Life of Pets 2)」(2019)
「オフィサー・アンド・スパイ(J'accuse)」(2019)
「(未公開)Adults
in the Room」(2019)
「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(Little Women)」(2019)
「ミッドナイト・スカイ(The Midnight Sky)」(2020)
「エッフェル塔〜創造者の愛〜(Eiffel)」(2021)
「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(The French Dispatch)」(2021)
「(未公開)Lui」(2021)
「(未公開)The Outfit」(2022)
「キャメラを止めるな!(Coupez!)」(2022)
「(未公開)Tirailleurs」(2022)
「ロスト・キング 500年越しの運命(The Lost King)」(2022)
「(未公開)A
Cooler Climate」(2022)
「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(Guillermo del Toro's
Pinocchio)」(2022)
「(未公開)Asteroid City」(2023)
「(未公開)Lee」(2023)
「(未公開)The
Palace」(2023)
等がある。
アレクサンドル・デスプラは2006年の「クィーン」、2008年の「ベンジャミン・バトン
数奇な人生」、2009年の「ファンタスティック・Mr.FOX」、2010年の「英国王のスピーチ」、2012年の「アルゴ」、2013年の「あなたを抱きしめる日まで」、2014年の「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」、2018年の「犬ヶ島」、2019年の「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」でアカデミー賞の作曲賞にノミネートされ、2014年の「グランド・ブダペスト・ホテル」と2017年の「シェイプ・オブ・ウォーター」で同賞を受賞している他、
2003年の「真珠の耳飾りの少女」、2005年の「シリアナ」、2008年の「ベンジャミン・バトン
数奇な人生」、2010年の「英国王のスピーチ」、2012年の「アルゴ」、2014年の「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」、2015年の「リリーのすべて」、2018年の「犬ヶ島」、2019年の「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」、2020年の「ミッドナイト・スカイ」、2021年の「フレンチ・ディスパッチ
ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」、2022年の「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」でゴールデン・グローブの音楽賞にノミネートされ、2006年の「(未公開)ペインテッド・ヴェール
ある貴婦人の過ち」と2017年の「シェイプ・オブ・ウォーター」で同賞を受賞、
2005年の「真夜中のピアニスト」、2010年の「ゴーストライター」、2012年の「君と歩く世界」でセザール賞の音楽賞を受賞、2005年の「真夜中のピアニスト」でベルリン国際映画祭の銀熊賞(音楽賞)を受賞、2006年の「クィーン」と2010年の「ゴーストライター」でLA批評家協会賞の音楽賞を受賞、2006年の「クィーン」と2010年の「ゴーストライター」でヨーロッパ映画賞の音楽賞を受賞、2010年の「英国王のスピーチ」と2014年の「グランド・ブダペスト・ホテル」、2017年の「シェイプ・オブ・ウォーター」で英国アカデミー賞の作曲賞を受賞している。
(2009年7月)
(2011年2月)
(2014年8月)
(2017年10月)
(2018年3月)
(2023年7月)
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