妖精たちの森 THE NIGHTCOMERS

作曲・指揮:ジェリー・フィールディング
Composed and Conducted by JERRY FIELDING

(米Inrada / Intrada Special Collection Volume 63)

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1971年製作のイギリス映画。監督は「脱走山脈」(1968)「追跡者」(1970)「メカニック」(1972)「スコルピオ」(1973)「シンジケート」(1973)「狼よさらば」(1974)「リベンジャー」(1979)「ロサンゼルス」(1982)「スーパー・マグナム」(1985)等のマイケル・ウィナー。出演はマーロン・ブランド、ステファニー・ビーチャム、ソーラ・ハード、ハリー・アンドリュース、ヴァーナ・ハーヴェイ、クリストファー・エリス、アンナ・パーク。「(未公開)ヨーロピアンズ」(1979)「ある貴婦人の肖像」(1996)等の原作で知られるヘンリー・ジェームズ(1843〜1916)の原作『ねじの回転(Turn of the Screw)』(1961年に「回転」として映画化された)の前日談として、マイケル・ヘイスティングスが脚本を執筆。撮影はロバート・ペインター。製作はエリオット・カストナーとマイケル・ウィナー。両親を交通事故で亡くした幼い姉弟フローラ(ハーヴェイ)とマイルス(エリス)は、イギリスの田舎の屋敷で老家政婦のグロース夫人(ハード)、家庭教師のジェセル(ビーチャム)、野卑な庭師のピーター・クイント(ブランド)と暮らしている。フローラとマイルスはピーターを信頼しており、彼とジェセルのSM的セックスを覗き見して、それを真似ようとする。グロース夫人は家主(アンドリュース)に訴え出て、ピーターとジェセルを解雇しようとするが、フローラとマイルスは2人を永遠に結び付けようとする……。アクション映画ばかりを連発しており、常々“アート系”作品も撮りたいと考えていた監督のウィナーは、名優ブランドが主演にキャストされたこと知って、次回作「チャトズ・ランド」のクランク・インまで5週間しかないにもかかわらず、この映画を引き受けたという。ブランドは現場でのトラブル・メーカーとして知られていたが、ちょうどパラマウントが「ゴッドファーザー」の主役に彼を起用すると発表したため、このカムバックのチャンスを台無しにしないよう「妖精たちの森」の撮影中は極めて協力的だったらしい。

音楽は「追跡者」(1970)「チャトズ・ランド」(1972)「メカニック」(1972)「スコルピオ」(1973)「(未公開)大いなる眠り」(1978)でもマイケル・ウィナー監督と組んでいるジェリー・フィールディング「Main Title」は、短いファンファーレから、ストリングスとピアノによる室内楽風の流麗かつスリリングなタッチのメインタイトルへと展開。「The Smoking Frog」は、繊細でメランコリックな曲。「Bedtime at Blye House」は、ジェントルで、ややミステリアス。「New Clothes for Quint」は、牧歌的で快活。「The Children's Hour」「Tea in the Tree」「The Flower Bath」「Burning Dolls」等も、ジェントルなタッチ。「Pas De Deux」「Upside Down Turtle」「Through the Looking Glass」は、ミステリアスなタッチ。「Like a Chicken on a Spit」「All That Pain」「Moving Day」は、抑制されたサスペンス音楽。「Summer Rowing」は、ジェントルで美しい主題で、「Flora and Miss Jessel」「The Big Swim」でも繰り返される。「Quint Has a Kite」「Act Two Prelude: Myles in the Air」は、メインタイトルのバリエーション。「An Arrow for Mrs. Grose」は、ヴァイオリン・ソロによる短いアブストラクトな曲。「Pig Sty」は、フィールディングらしい暴力的でサスペンスフルな曲。「Exit Peter Quint, Enter the New Governess; Recapitulation and Postlude」は、メインタイトルのバリエーションからサスペンス調へ。最後にボーナス・トラックとしてソース音楽「Pub Piano」を収録。エレガントかつダークでサスペンスフル。フィールディングの作品中でもユニークなタッチの傑作スコア。

この「妖精たちの森」のサントラについては、米Citadelレーベルが過去にプロモーション盤LPをリリースしており、その後、米Bay Citiesレーベルが1990年に「追跡者」「メカニック」「(未公開)大いなる眠り」「わらの犬」「チャトズ・ランド」「妖精たちの森」の組曲を収録したCD2枚組/1500セット限定プレスのプロモーション盤をリリースしている。今回の米IntradaレーベルのCDは、オリジナル・ステレオ・セッション・マスターによるコンプリート・スコア(23曲/40:12)の初リリースで、1500枚の限定プレス。

因みに、1990年のBay Cities盤の収録曲は以下の通り。

「Jerry Fielding Film Music」(米Bay Cities / BCD-LE 4001/02)

THE NIGHTCOMERS (1972)

・Main Title (2:45)
・Bedtime at Blye House (3:01)
・Summer Rowing (3:19)
・Pig Sty (1:36)
・Pas de Deux (2:23)
・The Smoking Frog (2:08)
・The Children's Hour (2:17)
・Act Two Prelude Myles in the Air (2:24)
・The Flower Bath (2:21)
・The Big Swim (3:30)
・Through the Looking Glass (2:41)
・Tea in the Tree (1:53)
・Recapitulation and Postlude (3:26)

= 2024年3月追加 =

2024年1月に米Intradaレーベルが全23曲/約40分半収録のCDをリリース(Intrada Special Collection Volume 502)。限定プレス。同レーベルが2008年5月にリリースした1500枚限定プレスのCDの再発盤で、リマスターされている。

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(2008年6月)

Jerry Fielding

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