戦場にかける橋2/クワイ河からの生還 RETURN FROM THE RIVER KWAI

作曲・指揮:ラロ・シフリン
Composed and Conducted by LALO SCHIFRIN

作曲・演奏:喜多郎("Japanese Theme")
"Japanese Theme" Composed and Performed by KITARO

(英Harkit / HRKCD 8259)


1989年製作のイギリス映画。監督は「コマンド戦略」(1967)「ワイルド・ギース」(1978)「(未公開)戦場の黄金律/戦争のはらわた II」(1978)「シーウルフ」(1980)「(TV)ダーティ・ヒーロー/地獄の勇者たち」(1985)等の戦争映画を手がけているアンドリュー・V・マクラグレン。出演はエドワード・フォックス、デンホルム・エリオット、仲代達矢、クリストファー・ペン、ジョージ・タケイ、ニック・テイト、ティモシー・ボトムズ、マイケル・ダンテ、リチャード・グラハム、高橋悦史、アレクサンダー・ブレイズ、パトリシア・エドモンドソン他。ジョーン・ブレアとクレイ・ブレア・Jrの原作を基にポール・メイヤーズバーグとサーゴン・タミミが脚本を執筆。撮影はアーサー・ウースター。名匠デヴィッド・リーンが1957年に監督した傑作「戦場にかける橋」の後日談。タイとビルマの国境近くにある日本軍捕虜収容所の連合軍捕虜たちがクワイ河に架けた橋が、連合軍によって爆破される。収容所の田中中尉(タケイ)は、見せしめに捕虜数名を処刑しようとするが、軍の指令を受けた原田少佐(仲代)が到着し、生き残った捕虜たちを日本に移送することになる……。「(TV)スター・トレック/宇宙大作戦」でヒカル・スールー役だったジョージ・タケイと、「(TV)スペース1999」でアラン・カーター役だったニック・テイトが、各々日本兵、オーストラリア兵役で出演している。ここではサディスティックな敵役を演じてるタケイ氏だが、「(TV)スター・トレック/宇宙大作戦」DVDのプロモーションで来日した際に同氏と会食した時の印象は、スールーのイメージそのままのインテリジェントで気さくな紳士だった。その後しばらくして自分が同性愛者であることをカミングアウトして驚かされたが、彼の長年のパートナーが東京での会食にも同席していたマネージャーのブラッド・アルトマン氏であることがわかって更に驚いた(カリフォルニア州法で同性間の結婚が認められたため、2人は2008年9月にロサンゼルスで挙式を行っている)。

音楽はラロ・シフリンが作曲。「Main Title」は、オーケストラによるヒロイックなマーチのメインタイトルで、シフリン作曲の「エアポート'80」に少し似たタッチ。この主題は「No Glory in Dying」「The Take-over」「Escort Hit / Abandon Ship / Sinking」等でも登場する。「Destroyed Bridge/ Meo Tribesmen」「Headman / Crawford」「Miller's Head / Final Mission」「Cambodia」等は、サスペンス音楽。「Firing Squad / Time and Change」は、ジェントルな曲。「Brasil Maru」は、エキゾチックなタッチの主題。「Rickshaw / Runaway」は、ミリタリスティックな曲。「Sit Tight / Anchor Chain」も、シフリンらしい緊張感のあるサスペンス音楽。「End Titles / Pack up Your Troubles in Your Old Kit Bag..」は、メインのマーチのリプライズによるエンドタイトル。最後に日本のシンセサイザー奏者、喜多郎が作曲・演奏しているリリカルな「Japanese Theme」が収録されている。

喜多郎(1953〜)は、愛知県豊橋市出身のシンセサイザー奏者・作曲家(本名:高橋正則)。愛知県立豊橋商業高等学校卒業。1970年代初め、ファーイースト・ファミリーバンドのメンバーとして訪れたヨーロッパで、ドイツのシンセサイザー奏者クラウス・シュルツと出会い、シンセサイザーに魅了される。1980年、ドキュメンタリー番組「NHK特集 シルクロード」の音楽を担当し、そのテーマ曲は代表作の1つとなる。

喜多郎が手がけた映画音楽には「1000年女王」(1982)「黒い雨に打たれて」(1984)「刑事グラハム/凍りついた欲望」(1986)「上海1920/あの日みた夢のために」(1991)「十五少女漂流記」(1992)「天と地」(1993)「宋家の三姉妹」(1997)「(TV)獣兵衛忍風帖 龍宝玉篇」(2003)「早咲きの花」(2006)等がある。
喜多郎は1993年の「天と地」でゴールデン・グローブの音楽賞を受賞しているほか、2001年にアルバム『Thinking of You』で第43回グラミー賞を受賞している(2008年時点で同賞ノミネート13回)。
(2009年1月)

Lalo Schifrin

Kitaro

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