ボディ・ダブル BODY DOUBLE

作曲:ピノ・ドナジオ
Composed by PINO DONAGGIO

指揮:ナターレ・マッサラ
Conducted by NATALE MASSARA

(米Intrada / Intrada Special Collection Volume 86)


1984年製作のアメリカ映画。製作・監督は「ミッション:インポッシブル」(1996)「スネーク・アイズ」(1998)「ミッション・トゥ・マーズ」(2000)「ファム・ファタール」(2002)「ブラック・ダリア」(2006)「リダクテッド 真実の価値」(2007)等のブライアン・デ・パルマ。出演はクレイグ・ワッソン、メラニー・グリフィス、グレッグ・ヘンリー、デボラ・シェルトン、ガイ・ボイド、デニス・フランツ、デヴィッド・ハスケル、レベッカ・スタンリー、アル・イスラエル、ダグラス・ウォーヒット、B・J・ジョーンズ、ラス・マーリン、レイン・デイヴィス、バーバラ・クランプトン、アネット・ヘヴン他。ブライアン・デ・パルマの原案を基にロバート・J・アヴレッチとデ・パルマが脚本を執筆。撮影はスティーヴン・H・ブラム。閉所恐怖症のためにB級ホラー映画の役から降ろされてしまった売れない役者ジェイク・スカリー(ワッソン)は、役者仲間のサム(ヘンリー)からハリウッドの豪邸のハウス・シッターの仕事を紹介される。ジェイクは、その隣にあるアパートで毎晩窓を開けたままストリップ・ダンスをはじめる美女グロリア(シェルトン)を望遠鏡で覗き見するようになる。すっかりグロリアの虜になったジェイクは、怪しい男が彼女をストーキングしている事を知って助けようとするが……。ヒッチコック・マニアのデ・パルマが「裏窓」「めまい」の設定やヒッチ作品の技法を臆面もなく流用したエロティック・スリラー。ポルノ女優役のメラニー・グリフィスが1984年度全米批評家協会賞の助演女優賞を受賞している。

音楽はブライアン・デ・パルマ監督とは「キャリー」(1976)「(未公開)悪夢のファミリー」(1979)「殺しのドレス」(1980)「ミッドナイトクロス」(1981)「レイジング・ケイン」(1992)でも組んでいるピノ・ドナジオ「Vampire's Ceremony」は、冒頭のヴァンパイア映画撮影シーンを描写したダイナミックなホラー音楽。「It's a Chance - Main Title」は、リリカルなタッチのメインタイトル。「Bad Girl; Loneliness」は、ストリングスによる美しい曲。「Childhood Memories」「The Driveway」は、サスペンス音楽。「I Was Looking for You」「Bar Meet」「Pleasure Road」「Peach Flower」等は、ポップ曲。「Telescope」は、センシュアルなタッチ。「The Rodeo Collection」は、ドナジオらしい美しく繊細なタッチの曲で、後半はサスペンス調に展開。「The Elevator Claustrophobia」は、ジェイクの閉所恐怖症を描写した重厚なサスペンス音楽。「Rendezvous; Purse Grab; Tunnel Claustrophobia」は、繊細なストリングスによる美しい主題から、後半はビジーなシンセサイザーによるサスペンス音楽へ。「Reckless Love」「Remembering Gloria」は、ドラマティックで美しい曲。「The Big Drill」は、サスペンス調から後半はダイナミックなアクション音楽へ。後半の「Detective McClane, Please!」「At Night on Mulholland Drive; A Grave for Holly」「Terror in the Grave」「Phobia Release; The Fake Movie Bat」は、ダイナミックなサスペンス・アクション音楽の連続。ラストの「Body Double End Titles」も、サスペンス調のエンドタイトル。サスペンス音楽の部分はバーナード・ハーマンをかなり意識している。
この米IntradaレーベルのCDはコンプリート・スコアの初アルバム化で、3000枚の限定プレス。
(2009年2月)

Pino Donaggio

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