ハノーバー・ストリート/哀愁の街かど HANOVER STREET

作曲:ジョン・バリー
Composed by JOHN BARRY

指揮:ハリー・ラビノウィッツ
Conducted by HARRY RABINOWITZ

(米Varese Sarabande / VCL 0309 1090)

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1979年製作のアメリカ映画。監督・脚本は「カプリコン・1」(1977)「アウトランド」(1981)「2010年」(1984)「プレシディオの男たち」(1988)「エンド・オブ・デイズ」(1999)「ヤング・ブラッド」(2001)「サウンド・オブ・サンダー」(2004)等のピーター・ハイアムズ。出演はハリソン・フォード、レスリー=アン・ダウン、クリストファー・プラマー、アレック・マッコーウェン、リチャード・マズアー、マイケル・サックス、パッツィ・ケンジット、マックス・ウォール、シェーン・リマー、キース・バックレー、シェリー・ヒューソン、シンディ・オキャラハン、ダイ・トレヴィス、スザンヌ・バーティッシュ、キース・アレクサンダー、ジェイ・ベネディクト他。撮影はデヴィッド・ワトキン。第二次世界大戦下のロンドン。イギリス人の看護士マーガレット・セリンジャー(ダウン)と偶然知り合ったB52爆撃機の操縦士デヴィッド・ハローラン大尉(フォード)は、彼女が人妻と知りながらも、たちまち恋に落ちてしまう。イギリス諜報部員であるマーガレットの夫ポール(プラマー)が特殊任務のためドイツに潜入することになり、ハローランが彼の輸送を命じられる。その爆撃機が敵の砲撃を浴びて墜落したため、2人は協力して任務を遂行することになるが、その時になって初めてハローランはポールがマーガレットの夫だと知るのだった……。主役の2人には当初クリス・クリストファーソンとジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドがキャストされていたが、クリストファーソンが撮影開始前日に突如降板したため、ハリソン・フォードが「ナバロンの嵐」に続いて軍人を演じることになった。

音楽はジョン・バリーが作曲しており、これは彼の作品中でもアルバム化の希望が多かったスコアの1つ。「Main Title」は、ピアノとストリングスによるロマンティックでビタースイートな“バリー節”によるメインタイトルで、スコア全体がこのメインの主題のバリエーションにより展開していく。「David Meets Margaret」は、デヴィッドとマーガレットの出会いを描写したジェントルな曲。「The Bombing」は、メインの主題から後半は重厚でダークなタッチに。「On Hanover Street」「Making Love」も、メインの主題のバリエーション。「Countryside and Courtship」「Christmas Eve」は、メランコリックなタッチの曲。「Trying to Forget」は、ヴァイオリン・ソロをフィーチャーしたメインの主題。「Message from Paul」は、ドラマティックな曲。「Direct Hit」は、ダークでダイナミックな曲。「Bail Out Over France」は、ジェントルなメインの主題のバリエーション。「Gestapo Headquarters」「Motorcycle Chase and Bridge Battle」は、ジェームズ・ボンド調のサスペンス音楽。「Cover Blown」の後半は、ダイナミックなアクション音楽。「Finale」「End Credits」は、メインの主題のリプライズにより締めくくる。

このスコアは、予算上の制約で映画の撮影が行われたイギリスで録音されたが、ジョン・バリーは既にアメリカに移住しており、イギリスには戻れなかったため、これは彼が自分でオーケストラの指揮をすることができなかった初めてのスコアとなった。バリー自身は、作曲した後の様々な調整や修正に対応するため、自分で指揮することを非常に重要視していた。監督のピーター・ハイアムズも、後半30分のフランスでの戦闘シーンでのスコアをより緊張感のあるものに修正することを希望したが、指揮を担当したハリー・ラビノウィッツはバリーの作曲した音楽に手を加えることを躊躇した。このため、バリー自身がスコアを修正して再録音が行われたが、これらの音楽は、このCDにボーナストラックの最後の4曲「Gestapo Headquarters (Revised - mono)」「Cover Blown (Revised - mono)」「Motorcycle Chase And Bridge Battle (Revised - mono)」「Finale (Revised - mono)」として収録されている。特にラストのフィナーレは、より壮大でドラマティックなエンディングとなっている。Varese Sarabande CD Clubによるリリースで、3000枚の限定プレス。
(2009年5月)

John Barry

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